劇場公開日 2021年11月19日

「もしやブロークバックマウンテン系?と思いきや!!」パワー・オブ・ザ・ドッグ まっちゃまるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0もしやブロークバックマウンテン系?と思いきや!!

2022年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

カンバーバッチの視線、その態度がスクリーンに緊張感を生む。 時に生ぬるく、冷たく乾いた風をこちらも感じるかのように、ずっとなんだか緊張しながらスクリーンを見つめることになった。 特別意地が悪く、執拗に嫌がらせするわけではない。ただ、心理的に「あの人苦手・・・怖い」と思ってしまったらどうすることもできなくなる人はいるだろう。 知性的だけど野性味が強く、男らしさを誇る、本当は悪気はない人なのかもしれなくても、 ハラスメントにしか感じないその佇まい。 ところが、後半その雰囲気が徐々に変わり、自分が以前可愛がってもらった伝説のカウボーイのように、弟の妻の息子に目を掛けるようになり、話の流れが徐々に変わっていく。
 いつも自己主張強めの女性を演じるキルスティン・ダンストが逆に今回受け身で翻弄される女性、共感しにくい女性を敢えて演じている感じ。 だからこそのずっと流れる緊張感と不安定な感覚にリアリティが出たように思う。 最後にピーターが読んでいた詩篇22章20節がちらっと映り、なんとここからパワー・オブ・ザ・ドッグなのか、と理解した。 突然全ての流れを理解し、へえ~っと感心してしまった。 インテリジェンスがあり、単なる粗野なカウボーイではないフィルと、繊細で好奇心が強いピーターの化学反応を予感していたところでのどんでん返し。 そう、ピーターは無くなった父に言われた通り、彼はやはり強い、芯が強い人だったということか。 ジェーン・カンピオンの描く美しく強い野性味あふれるカウボーイ作品、そのテイストはとてもオリジナリティがあった。

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まっちゃまる