劇場公開日 2021年11月19日

パワー・オブ・ザ・ドッグのレビュー・感想・評価

全146件中、141~146件目を表示

4.0不思議な作品です。

2021年11月21日
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休日に、何かやってないかなーで入った感じです。

時代は1925年のカウボーイを世界観に進みます。
うーーん、無能な母・都会派(効率)な弟・サイコな連れ子・闇ありの兄と表現すれば分かりやすいでしょうか。

カンバーバッチが今まで観たことのない粗野な役柄でありつつ、一種難しい役を演じています。(裸体=神聖)

とても良い映画なのは間違いないのですが、勧めるというと難しいかもです(*´Д`)
ただ、一昔前のアメリカを感じたい方は是非、観て下さい。衣装・環境背景など造り込みが凝っています。(そういえば、この時代=の拳銃・猟銃が一度も出てきません)

あまり上映が多く無いですが、是非観て下さい。

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白長須鯨

3.0ブロンコ・ヘンリーの教えって…

2021年11月20日
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怖い

難しい

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Bacchus

5.0できれば、映画館で全集中で観ていただきたい

2021年11月19日
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鑑賞方法:映画館
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グレシャムの法則

5.0ラデツキー行進曲を口笛で吹くー明るく不穏

2021年11月19日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

台詞の一つ一つ、映像の一つ一つが磨かれていた。美しい珠のようにそれが繋がって、ある所からロープのようにねじれていく。

ホモソーシャルでミソジニーの世界の中で、インテリ=マチズモのフィルは自分と真逆の弟の所在をしょっちゅう尋ねて気にしている。他者を威嚇しつつ他者に依存するフィルは矛盾そのものだが、自分はそこから目を逸らしている。

ウサギ、ロープからだんだんと逆転が始まる。「僕には最初から犬が見えていた」。ピーターのこの言葉が想像を超えていたのはフィルの驚愕した表情からもわかる。ピーターの年齢だった頃の自分と今の自分。非合理な社会的「常識」を正しく認識し批判できる知的強さが「犬の力」に対抗できる。対抗できなかった自分と対抗できる可能性を秘めたピーター。ピーターに色々と教えてあげたい、ロープを作ってあげたい。そのための皮が消えてしまったことを知ってフィルは目に涙をいっぱい溜めて取り乱す。フィルは実は純粋で単純な男の子。一方、それを待っていたピーターは賢く粘着質の男。

Cumberbatchの俳優魂、素晴らしい。タバコを巻いて吸ってバンジョー弾いて馬に乗る姿が生まれつきのカウボーイのようで、タバコと土と汗と動物の匂いが染みついた体臭が漂ってくるようだった。一方でイニシャル刺繍入りの布を肌に這わせて目を閉じ水に浮かぶ裸のフィルは静謐で美しい。なんて複雑で難しい役柄なんだろう。役を徹底的に洞察し追求するCumberbatchにはいつも感動する。今回もすごい。

キャンピオン監督、素晴らしい。フィル役をCumberbatchにキャスティングした感覚が凄い。マッチョと程遠い役者、どちらかといえば年齢より若く見えるし、天才とか繊細な性格やフェアな役をしている俳優をこの役にしたのが凄い。彼がやるからいい。

おまけ
カウボーイのゲイの恋愛を描いた「ブロークバック・マウンテン」もこの映画も、マッチョで男らしい強いアメリカの象徴の(今は居ない)「カウボーイ」を使って価値観の変化を観客に示している。それくらいのレベルの映画は日本で作れるのかな?作って欲しい。

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talisman

4.0台詞は少なく、妙な空気感が全編を漂う作品です。

2021年11月19日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

お嬢ちゃんと言う名の一見ひ弱そうにみえる実は恐ろしい悪魔に魅入られた兄弟のお話。

この悪魔は中々の強か者で、過去にも似たようなことをやってのけている気配がするし、この先も何かを仕掛けてきそうな気配がします。

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ちゆう

4.0「犬の力」という呪縛

2021年11月3日
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東京国際映画祭にて。
今年のヴェネツィア国際映画祭、銀獅子賞受賞作。
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を直訳すると「犬の力」なんだけれども、旧約聖書に収められた詩篇から取られているそうだ。
ベネディクト・カンバーバッチの兄とジェシー・プレモンスの弟。基本はイケてる兄と地味な弟という構図である。兄フィルはなんでもできるが、できない(と判断する)人間に嫌悪感や侮蔑を隠さない、高圧的ないけすかない野郎として登場し、対する弟ジョージは気弱で地味(そして恐らく頭もあまりよくない)。ところがこの兄弟、ひとつベッドで眠るのである。極めて近しい距離感。兄が弟を探す様は、ある種の依存にも見える。
この兄弟は複雑な兄と単純な弟という見方もでき、その弟が複雑な未亡人ローズと結婚することで兄弟の間に軋轢が、というか兄の猜疑心が静かに爆発するのである。小説の解説によればそれこそが「犬の力」であるそうだ。
そういえばキルスティン・ダンストは現実でもジェシー・プレモンスと夫婦なんだよな..,。
閑話休題。
さて物語はここから兄弟の葛藤になるかと思いきや、ローズvsフィルの心理的圧の闘いとなる。
この物語でいちばん動きが読みにくい人物がキルスティン・ダンストのローズ。わかりやすいように見えながらその奥底が謎、恐らくいちばん複雑怪奇なものを抱えている。登場時と後半で全然印象が変わる人物でもある。
そして後半はフィルと、ローズの息子ピーターとの複雑な関係性の物語になる。
中性的で「お嬢さん」と嘲られるピーターとあるきっかけで近づくフィル、そして大団円…とは勿論ならない。
後半は前半に緻密に配置された意味ありげな伏線を、極めて曖昧な形で解いていく展開。そして名前しか出てこないくせに呪縛のような存在感を放つ「ブロンコ・ヘンリー」。登場人物全てが抱える抑圧と支配。そして「障害物」。
原作を読めていないからわからないのだが(8月に角川文庫から出た。映画化に合わせたのだろう)、この結末の意味を考えたとき、救いなのか、怨嗟なのか、愛なのか、ものすごく色々と考えてしまう。
ジェーン・カンピオン監督は物語の背景を説明的に描写しないまま断片で示していて、極めて映画的ながら読み解きを難解にしている。だからこそ何回も、色々なシーンの意味を思い返して考えてしまうのだ。ものすごく余白に満ちた物語で、それぞれの捉え方がその人物を表してしまうような。試されている気がした。
正直ベネディクト・カンバーバッチにあまり興味を持っていなかったのだが、本作では極めて複雑な男を見事に演じのけていたと思う。原作だと「快活で賢い」という描写らしいが、一貫して影のある表現だった。ピーター役のコディ・スミット=マクフィーの表情の読めなさも素晴らしかった。

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