劇場公開日 2021年11月19日

「映像と音楽は素晴らしいが…」パワー・オブ・ザ・ドッグ 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5映像と音楽は素晴らしいが…

2022年5月7日
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鑑賞方法:映画館

1925年、西部モンタナ。マッチョな牧場主の主人公が、弟の結婚相手とその連れ子を毛嫌いするが、自らの秘密を連れ子に知られてから、徐々に連れ子と親密な関係になっていく。
荒涼とした山並みや牧場風景を写し撮った映像は素晴らしく、生楽器を使った音楽は、不穏で緊張感のある作品世界に大きく貢献している。
題材はホモセクシャルだが、主人公が粗暴で無礼な振る舞いをするのも、自らの性向を隠すためだということがわかってきて、中性的な連れ子に徐々に惹かれていくあたりは、物悲しく、憐れみさえ感じてしまう。
結末は衝撃的で、それまでの伏線が回収され、なるほどと思いつつ、描きたかったのはこっちなの?だからどうしたの?とも思ってしまった。後味がすっきりせず、自分にはあまり響かなかったのが正直なところ。
役者陣では、B・カンバーバッチはがんばっていたが、何と言っても、連れ子役が、表面的な線の細さと、内面的な芯の強さ、不気味さを醸し出していて、出色だった。

山の手ロック