「写真家のジャニス(ペネロペ・クルス)は、故郷の村にあるスペイン内戦...」パラレル・マザーズ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
写真家のジャニス(ペネロペ・クルス)は、故郷の村にあるスペイン内戦...
写真家のジャニス(ペネロペ・クルス)は、故郷の村にあるスペイン内戦初期の遺骸の発掘を通じて法医人類学者のアルトゥロ(イスラエル・エレハルデ)と知り合う。
アルトゥロは妻帯者であったが互いに惹かれ、ジャニスは妊娠する。
出産を控えて入院した病院で同室になったのは17歳のアナ(ミレナ・スミット)。
ともに予想外の妊娠だったが、シングルマザーとなることを決意したふたり。
同じ日に、ふたりとも無事に出産。
出産をしたジャニスのもとへ、妊娠後に疎遠となったアルトゥロが現れ、ジャニスが産んだ女児をみるが、ふたりのどちらにも似ていないことに気づく。
産みの親のジャニスはにわかには信じられななかったが、不安からDNA鑑定をしたところ、血縁関係は否定されてしまう・・・
といったところから始まる物語は、是枝裕和監督『そして父になる』などでも描かれた「予期せぬ取り換えっ子」の物語で目新しさはありません。
(ここのところ、目新しさはありません、と頻繁に書いている気がしますが)
で、目新しくなくても面白ければいいんです。
が、あまり面白くないんだなぁ、これが。
よくある「取り換えっ子」物語だと、子どもたちが産みの親のもとへ戻ってチャンチャンとか、産みの親より育ての親だということで取り換えられたままでチャンチャンとかなのだが、この映画ではジャニスが産んだ子どもは乳幼児突然死症候群で亡くなってしまうにもかかわらず。
たぶん、ふたりの取り換えっ子物語よりも、冒頭に語られるスペイン内戦初期の惨状や、そんな悲惨な中でもシングルマザーとして生き抜いてきたジャニスの母や祖母の物語に気を奪われてしまったせいでしょう。
なので、終幕近くの、遺骸発掘と生存者たちの語りのシーンのほうが俄然興味深く、いやぁ、こちらの方をメインで描いてほしかったなぁ、というのが鑑賞後の正直な感想でした。