劇場公開日 2022年11月3日

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「歴史を覆い隠すことは出来ない。」パラレル・マザーズ レントさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0歴史を覆い隠すことは出来ない。

2022年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

かつての内戦により多くのスペイン人が虐殺された。本作は二人の世代が異なる女性の出生児取り違えの物語を通して、科学技術の進歩により確立したDNA鑑定が過去の歴史的暗部を暴いてゆく様を描く。

スペイン人監督が言いたかったことを主人公ジャニスに代弁させているのだろう。彼女は親子ほど年の離れたアナに言う。過去に自国で起きた悲劇を知るべきであり、自身のルーツは自身の先祖が眠るこの地にこそ見出すことができるのだと。内戦の過去など知ろうともしない今の若い世代への嘆きなのだろう。これはどこの国でも考えられること。歴史を学ばないどころか歴史を修正捏造する国まであるくらいだから。

赤ちゃんの取り違えによる物語は正直ジャニスの行動が理解できずにあまり入り込めなかった。鑑定で実の子ではないと知ったとき、アナの子と取り違えられたと気づきながら、何故電話番号を変えてまで雲隠れしようとしたのか。何年も育ててきて愛着があるというならまだしも、出産間もない時期だし、何よりも本当の自分の子のことが気になるはずだ。
にもかかわらず、アナやアルトゥーロに再会したときはあっさり新しい番号を教えたり、実子の死を聞かされた時もさほどショックを受けなかったりと、私にはこの物語が一体どこを目指してるのかが理解できなかった。
終盤発掘される先祖の遺体がDNA鑑定でジャニスの先祖ではないと判明して、今まで信じていた自身のルーツが覆されるという、ジャニスのとった行動への皮肉を込めた落ちなのかなと思ったが、そうではなかった。

スペインの名匠アルモドバル作品は初体験だったが、いまいち私には本作に込められた作品意図がわからなかった。
ちなみにペネロペクルスは久しぶりに見てもその相変わらずの美しさに驚いた。

レント
ミカさんのコメント
2022年11月15日

ご無沙汰しています。私も映画館になかなか行けてないです。微妙な作品のレビューはかなり適当に書いてましたが、本作は考えすぎなほど、想像力を発揮して書いてます。私はアルモドバルが大好きなんです。だから、鑑賞もレビューも気合が入りました。

ミカ
bionさんのコメント
2022年11月13日

スペイン内戦を酷さはよく理解できたのですが、僕もストーリーに関しては、ちょっと乗れなかったですね。
映像はさすがでしたけど。

bion