ある男のレビュー・感想・評価
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いくつもの人生が交錯する重厚なストーリー。観賞後、ずっしりと胸に溜まる。
それを、
一人ひとりの人生を思い返しながら
ゆっくり消化していく…
そんな作品だった
さすが、平野啓一郎。唸ったー
どうしても自分では剥がすことのできない「レッテル」を、貼り付けたまま生きていかなければならない人がいる
それは、
「加害者家族」、「在日韓国人」ということだったり、「大きな事業の創業者家族」ということだったり…
「自分ではない自分になりたい」「違う人生を生きたい」と願いながら、
懸命に自分の人生を生きようとする姿が胸を打つ
最愛の夫の突然の死と戸籍詐称という真実に
苦しみながらも、
一緒に過ごした時間の幸福を信じ、
愛し続ける里枝の一途さにも、胸を打たれた
登場人物も多く、複雑に絡む原作のストーリーを
すっきり、うまくまとめたなー
という印象だった
全体がミステリー的な展開の中に
様々な人生の物語があり、
そこにまた社会的な問題もさり気なく織り交ぜた
秀作だと思う
窪田正孝、熱演だった
妻夫木聡と安藤サクラもよかった
まだ、この作品を消化中…
3.6個々の役者さんの感情が見れてとれて😄
実は誰なの?ミステリー映画
ユナイテッドシネマ浦和にて鑑賞。
夫が死亡したら「実は別人だった。じゃあ、いったい死んだ夫は誰?」という予告編が面白そうだったので観に行ったら、次から次への展開に驚かされる面白い映画だった。
しかし、本当に、安藤サクラは演技が上手すぎて、安藤サクラが涙を流しはじめた瞬間に「男」が入って来る…といった石川慶監督の演出も上手い!
町の文房具屋で店番をしている女性=里枝(安藤サクラ)。絵を描くための文房具を買いに来た男(窪田正孝)、二人は結婚。して一女をもうけるが大祐は仕事中の事故で死んでしまう。しかし、死んだ大祐は別人だった。「実は誰だったのか?」の調査依頼を受けた弁護士(妻夫木聡)が調べていくと……という[実は誰なのミステリー]的な映画。
こうしたミステリーは、1940~1950年代のノワール映画にも見られる展開で、真相を追う楽しさがある。
本作の予告編にもあった安藤サクラの「私はいったい誰の人生と一緒に生きていたんでしょうね…」というセリフが印象的。
序盤は安藤サクラと窪田正孝を中心に、中盤以降は妻夫木聡を中心にした物語、ホントに面白い。
冒頭にルネ・マグリットの絵画「不許複製」を効果的に使った映画的な見せ場から始まる佳作であった。
<映倫No.122665>
視線が形作る「自分」
何もないからそれが良い
話はサスペンスにしようとしているが、あまりにも内容が薄くて肉厚にならない。しかし最後まで観れるのはキャストの演技や演出が素晴らしいから。
ただの入れ替わりで事件性も少なく脚本段階ではこれが面白くなるのかって思っていたのでは。
ボクシングの経緯だけで物語作ったほうが面白いと。
過去を引きずる者たち
芥川賞作家・平野啓一郎の原作の映画化。原作は、発刊当時に既読。ほぼ同じ展開でストーリーは流れる。平野作品からは、人にはいくつもの顔がある『分人主義』の様な考え方が感じ取れ、大どんでん返しや山場となるクライマックスがあるわけではなく、モノトーンの淡々とした描写ではあるが、人の内なる心情や葛藤にスポットを当て、心動かされる印象が強い。
そんな平野作品を、ヒューマンタッチな映像を得意とする、石川慶監督が、『愚行録』でもタッグを組んだ妻夫木聡を主演に、演技派の安藤サクラ、窪田正孝、柄本明等の俳優陣を揃えて映像化している。人々心の奥底にある願望と現実の狭間を、切なく、哀愁が漂う物語として仕上げている。
我が子が病死したことで、悲しみに暮れて離婚をし、実家に戻った里枝。そこに、林業に携わる大祐が現れて恋に落ち、再婚に至るシーンから物語は始まる。新たに子供も授かり、幸せな日々を送っていた最中、大祐は、仕事中の不慮の事故で死んでしまう。そこに、大祐の兄が供養に訪れるのだが、その遺影を見て、「これは大祐ではない」と言い切る。里枝が愛した男は、いったい誰だったのか…?そこから、大祐と名乗った『ある男』の正体を巡っての、ミステリーとしての謎が深まっていく。
その謎解きの調査をするのが、且つて里枝の離婚調停をした弁護士・城戸。城戸は、『ある男』に関わってきた、様々な人々を辿って、話を聞く中で、正体に近づいていく。そこには、已むに已まれぬ、幼少期のトラウマや育成環境等が混在して、『ある男』を生み出している過去と繋がりが、明らかになっていく。
主演の妻夫木聡は、在日朝鮮人としての宿命を背負う中、その葛藤と重ねる中で、『ある男』の調査にのめり込んでいく弁護士を演じている。安藤サクラは、乱れ髪を直しながら、哀しみを湛える演技に、女の色気を感じずにはいられない、相変わらずの安定感のある名演技。窪田正孝も、過去を引きずり、孤独さの中に猟奇的な影が見え隠れする青年役は、ハマリ役。そして、懲役囚を演じた柄本明の妙演もまた、大変印象深い。
人は、置かれたシチュエーションや相手次第で、その場に応じた様々な自分となる。それが自然な立ち居振る舞いとして赦され、受け入れて生きていくものであると、訴えかけてくるようなラスト・シーンだった。
「問題提起」の仕方
「死んだ夫は、実は(その身元とは)全くの別人だった」
ミステリーでは「実は別人」という設定、割とよくある「古典的手法」だと思います。
本作の予告を初めて観たとき、ふと思い出した作品(恐らく、私だけじゃないと思いますが)が『噓を愛する女(18)』です。ただ、『噓を愛する女』は前半のシリアスさに対し、解決していく過程では全くテイストが変わってコメディ要素が強くなり、観終わって正直「つまらない上に下手くそだな」と思った記憶があります。内容はほぼ覚えてませんけど。
では、果たして本作『ある男』はどうなのか?
まず、鑑賞前は「比べるまでもあるまい」と思っていました。その理由は何をおいても「石川慶監督への期待感、いや信頼感と言ってもいい」と監督を信じていたからです。しかし、、鑑賞しながら既に、その期待を下回っている印象を誤魔化すことも出来ず、観終わって今「残念ながら、あまり良くなかった」と感じています。
まず脚本も今一歩な感じですが、何より今回は「ミステリー」を意識的に強調するあまり、石川監督の編集がかなり「裏目に出ている」ような気がします。まぁ、今までの作品を振り返っても、割と「手数の多い」方だと思いますが、特に今回はこの作品の世界観に対し、やや「しつこい」と感じました。
そして、登場人物たちの行動の裏にある心理としての「差別」について、その「問題提起」の仕方がやや強引な割に中途半端で、妙に悪目立ちな感じもするし、反ってそれが「登場人物たちに対する行動原理」に対する言い訳がましい印象として残ります。
それにしても、「実は別人」という設定は「ギミック」として使われても「チート感」否めないし、どうやったらこのアイディアを旨く使えるんでしょうかね?
まぁそう考えれば、本作は健闘しているとも言えるのかもしれません。と言うことで、ギリ星3つかな。
家族のせいで差別されちゃう社会に物申す。
男の子の母親の里恵(りえ)は大祐(だいすけ)と再婚して、娘を産んで幸せに暮らしていたが、大祐が事故で突然亡くなってしまう。一周忌に初めて旦那の家族であるお兄さんを呼んだら、この写真は弟ではないと主張される。不思議に思った里恵は、昔、離婚調停でお世話になった弁護士の城戸に真相究明をお願いする。それから大祐の真実を明らかにしていくお話。
大祐は悪い奴なのかなってちょっと思ってたんだけど、窪田正孝君が演じてるからいい奴にしか見えなかった。それって俺だけかな?
何かしら事件が起きるわけではなく、真相を探しあてるだけの話なので、ハラハラドキドキはありません。でも、俳優さん達がとても良くて、結構、ウルウルしちゃった。
特に良かったのは、里恵役の安藤サクラさん、ずっと演技じゃなくて本気でドギマギしてる様に見えた。
自分の家族には犯罪者はいないし、在日外国人でもないし、老舗温泉旅館でもないので、登場人物達の生きづらさは分からないけど、辛そうなのは良く分かる。人生をやり直すって、別人にならなきゃできないのね。たーいへん。
ん?最後のシーン、もしかしてマジで?
しっかりとしたドラマ
自己って何、自己ってどうやって作られるの?ってことでしょうけど~~~
素晴らしいストーリーと出演者の演技が堪能出来た
里枝(安藤サクラ)は離婚後に息子を連れて故郷へ帰り、やがて出会った大祐(窪田正孝)と再婚し、新たに生まれた娘と4人で幸せな家庭を築いていた。だが、大祐は仕事中の事故で亡くなってしまった。その一周忌に、長年疎遠になっていた大祐の兄に来てもらったところ、遺影に写っているのは大祐ではないと言われ、愛したはずの夫が全くの別人だったことが判明したのだった。そのため、里枝は以前離婚の際世話になった弁護士の城戸(妻夫木聡)に大佑の身元調査を依頼した。城戸は男の正体を調べていく中で様々な人物と出会い、真実をみつけていく、という話。
大佑は誰なんだろうという疑問に城戸の調査の面白さ、過去を調べるにつれわかってくる真実に深みが有って良かった。
調査の中に出会う清野菜名、河合優実も良かったし、詐欺師で服役中の柄本明のいやらしさ、もさすがだった。
弁護士の城戸もルーツに公にしたくない秘密が有ったり、妻にも秘密が有ったりするのも面白かった。
もちろん、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝の3人は素晴らしかったし、特に窪田のボクサー姿は体の鍛え方も凄かった。
里枝が前夫との息子と真剣に話をするシーンはグッと引き込まれた。あんなお母さん、いいなぁ、って思う。
人それぞれ、事情や人に言えない秘密があり、その葛藤を堪能できる素晴らしい作品です。
「ある男」というタイトルをずっと回収し続ける映画
上映開始から観終わった今も、ずっとどきどきしているんですよ。私は映画が大好き過ぎて、どれだけ大好きかと言うと、映画を擬人化するとして、映画が恋人だとしたら、私の愛が重た過ぎて多分半年も経たないうちにフられるでしょうなというぐらい、とても重たい愛が出て来てしまうぐらい好きで…。でもそれは勿論、例えば男好きな人が、男なら誰でも好き〜という訳じゃないのと一緒で、映画の中でも、好き・嫌いが勿論あります。
で、本題に入りますと、「ある男」はもう、それは本当にもう、がっつり好きでした。大好きです。多分初めて知ったばっかりなのにもう重た愛が発動しております。で、今どきどきしているという訳です。(何じゃそりゃと思う人いるかもしれませんが、人が、好きになる人それぞれ好みがあるように、映画も人それぞれなのでご了承を)
石川慶監督始めとした製作陣&俳優陣の方たち…全ての人が素晴らしい一本の作品を作ってる事に、脱帽しかないのですが、そんな敬意を忘れてしまうぐらい没頭して観てたなあ。映画っつーのはこうも丁寧に作れるものなんですね…作った事は無いので分からないけど、なんか丁寧な伝統芸能の技を観てる感覚と近いぐらいの作品だったよ。丁寧の種別で言うと、凄腕の料理人が、人間が食べる為に殺した生き物を、死を無駄にしない為にも骨から毛から余すとこなく美味しく料理する、あの丁寧さに酷似しています。
予告編を観ている人は何となくのストーリーが分かると思いますが、愛していたはずの夫が、亡くなった後、違う人間の名を名乗っていた事が発覚して、弁護士に調べてもらう…というお話です。私はこの手のストーリーは正直あまりそそられないっちゃそそられないのですがね、上映開始直前まで、まだ終わってない仕事を置いて会社を後にしたのを若干そわそわ負い目を感じてたのですが、始まった瞬間一目惚れした時みたいに没頭も没頭してしまいましたよ。いやあ…丁寧だなあ…とても丁寧に作られているし、開始数秒で心掴んでくるよね。一人一人の人間が、登場人物が、嘘が無いというか…演技って所謂虚構のはずなのに、この作品に出て来る人達は全員その登場人物の生い立ちを生きてて、まじで感動した。職人技ってこの事なのかな。
妻夫木聡…優しい人間を演じたら右に出る者がいないくらいピカイチなのに、優しさの中にある自己嫌悪やトラウマや罪悪感を垣間見せるのを演じさせてもピカイチですね。かっこ良い。
安藤サクラ…安藤サクラが流してる涙と同じ分量の涙を、劇場で流しました。母として強く生きる姿も、子供も含めた周りの人に少し寄りかかる(頼りにする)姿も、全てが愛おしかった。抱きしめたくなる人を演じていた。かっこ良い。
窪田正孝…元々、影のある人間やストイックな人間を演じるのがとても上手い俳優さんだとは思っていたし、「ふがいない僕は空を見た」で初めて観てからずっと我々を裏切らず真っ直ぐな演技と如実に年々凄く良くなる繊細な演技を見せてくれて…。かっこ良い。
清野菜々…相変わらずこの人も嘘が無い演技が上手いなあ。笑っているのに、笑顔を随時見せるのに、興味深々にチャレンジしたりするのに、心の奥底で本当は、寂しい、悲しい、逢いたい、という気持ちをひた隠しにしている役。顔いっぱいの笑顔なのにふいに見せる、隠している部分が見えてしまう時、こちらは彼女の何倍も泣いてしまったよ。涙を溜める瞳が多分一生心から離れないと思う。かっこ良い。
仲野太賀…数秒でこちらに色んな過去や想いを伝えてくれる演技をするのは神の領域だよ…。さすが石井裕也監督に、日本では数少ない、「その人自体がもう映画」と言わしめた人だね。かっこ良い。
柄本明…ここ最近の柄本明の中でいちばん好きでした。勿論ベテランもベテランなんだからそりゃ上手いよ。しかしこの作品の柄本明は誰もが惚れ直す柄本明だった。妻夫木演じる弁護士との掛け合いのシーン最高。掛け合い方…数秒の狂いも無いのに一切わざとらしさ無しのやつ。これも職人技なのか、それとも映画の神降臨なのか…。かっこ良い。
一人一人への想いを書いていると多分今日眠れなくなってしまうので自分の健康面を考えて一人一人への想いは一旦終わりにして…。
この作品のいいなと思うところは、俳優陣の演技力をひたすらに信じているところだけじゃなく、ちゃんと見た目や中身を取り入れた、言わばもはや当てがきなんじゃ?と思われるような脚本なところ。簡単に言えば、映画は、現実を描いているようで、普通の生活じゃ考えられないとても綺麗な男性女性が揃えられて観せてくる作品物なんだから、観ているこっち側としては【登場人物達はストーリー内容を真剣な顔で演じてはいるけどさ…その前に、「わーイケメンだな!」「うお美少女きた」とか、一発目でまず思うよね…?人間なんだから…】という違和感を抱えて観ることには多からず少なからずあるんだけど、この作品は大袈裟ではないがそれをきちんと出してくれててそこも無茶苦茶魅力的だなと思った。そこ凄く好きなポイント。観たら分かるのでそれを是非感じて欲しいです。
そして、人が生きてく中で、日々の生活やニュース番組や記事を読んで感じる、差別・偏見などの嫌〜な気持ちになる事を練り込んで、生々しい「人間の嫌な部分」とそこから生まれる「違和感」「事件」「展開」から、すーっと心に響く「感動」「涙」「人間愛」を、余す事無く、かと言って押し付けがましくも無く自然な感じに私の心に届けてくれるところもかなり好きでした。
あともうひとつ、アートとかアート系な何かと言うものは私が言えた筋合い無いのですが…冒頭と終わり方、最高過ぎでしょう。鳥肌立っちゃったよ。ある種冒頭から最後の最後まで、ずっとこの作品名の「ある男」というタイトルを回収して回収して、ある男を表現し続けているんだね、この作品は映画は。ストーリーも何もかも感動に次ぐ感動なんですが、ここもですか…(帽子で換算すれば約5000くらい脱帽してるはず)ってもう、感動に対して感動疲労(造語)した困憊な私でした。
これ観た後、色んな場面を思い出すだけで思い出し泣きします。というか、タイトルを思うだけで思い出し泣きします。
あーほんと面白かったな。出来るなら、劇場内で一緒に観ていた人達全員とハイタッチして劇場を後にしたかったぐらい面白かったな。最高の夜ってのはこの事ですよ。今夜も自分の激重な愛に自分でひいております…。感想終わり。
暗い原作。もっと明るい作品が見たい。ラストのどんでん返し。妻夫木...
暗い原作。もっと明るい作品が見たい。ラストのどんでん返し。妻夫木のキャスティングでわかっていたはず、はまり役。サクラさんは今回は幅のない役。世間体に殺される国。だから作品の枠組みがつまらない。平野は病気かと思った。ただ、別人になることを描きたかったのかとも思った。その点では、ラストは面白い。でも、在日の使い方も記号的。アイデア自体は面白い。
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