ある男のレビュー・感想・評価
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誰しも
誰しも有るのかも知れない。
人に知られたく無い、いや自分の経歴自分の記憶からすら無かった事にしてしまいたい過去や事実。
そんな個人の「秘め事」をミステリとして解釈し暴いてしまう映画です。
知りたいと思う、知る権利が有る。
まあそりゃ解る、俺も映画館に足を運んでしまったのだ、人の秘密となれば暴いてみたい知りたいのです。
本作では主演、妻夫木聡や安藤サクラが「知りたい者」として描かれ、最終的にその秘密を知る事とゴールを迎えます。
まあそれなりのハッピーエンドだ、目的は達成されエンドロールですよ。
が、この映画の面白くも怖いところは
じゃあ、あなたが秘密を暴かれる側になったらどうなの?
じゃあ、求めてもいない秘密を知らされても受け止められるの?
って、意地悪に提示してくるんすよ。
人の秘め事を探し暴くのも大変だけど、それを知り受け止めるのにも命張って下さい。
たぶんそうしないと釣り合わないんですよ、知るって行為は。
残尿感
必ずしも安易なハッピーエンドは望んでいない。
むしろ心に何らかの痛みがあった方が心地良い。
だが、今回のそれはいまいちスッキリしない。
予告編からはサスペンス的な展開を期待していたが、ほぼその要素はない。
柄本明の怪演は見事だったが、それはあまり活かされていないように感じた。
根底に流れるヒューマニズムがこの映画のメインテーマで、それは子供の言動を通じて心に響いた。
一方で死刑囚の子供に対する差別と同様もしくはそれ以上に
在日差別をクローズアップすることに違和感を禁じ得ない。
これは子供の頃に学校の映画観賞で「橋のない川」を観せられて何のこっちゃと思ったのに似ている。
だから、この映画の本質、妻夫木の存在意義が理解できていないのかもしれない。
在日の方々なら深く感情移入できるのだろうか。
全体としてはつまらなくはなかった。
どうなるのか興味津々で過ごすことができた。
だからこそ中途半端な感じのラストに理解しきれていない感じが残った。
これから他の方のレビューを拝見して考えたい。
そういうことね…
何故か落ち込んだ
ある男たち、ある女たち
笑顔に隠された心のざらつき
弱者と言われたがらず、弱い人と決めつけたがる
本物
それぞれの人生の重し
過去に引き摺られることとは
僕って誰?
予告編や宣伝の惹句からは、
〔嘘を愛する女(2018年)〕の類似のプロットとの受け取り。
長年連れ添い、子まで成したパートナーの突然の死が契機となり
その人物の経歴が、聞かされていたものとはまるっきり違っていることが判明するとの
驚天動地の展開。
ちなみに先作は
「TSUTAYA CREATERS'PROGRAM FILM 2015」のグランプリ。
そして本作は、『平野啓一郎』による2018年刊行
「第70回読売文学賞」受賞小説が原作。
とは言え、やはりプロの文筆業者による作品は
シチュエーションの設定は似ていても、
単なるサスペンスにとどまらず、今ある社会問題を複数盛り込み
より高レベルに昇華させている。
離婚をして長男を連れ故郷の宮崎に戻って来た『里枝(安藤サクラ)』は
林業に従事する『大祐(窪田正孝)』と知り合い結婚、
長女も生まれ幸せな生活をおくっていた。
しかし、『大祐』が事故で亡くなり、
彼の実家に連絡を取ったことから、
実は全くの別人だったことが判明する。
『里枝』は旧知の弁護士『城戸(妻夫木聡)』に
身元の調査を依頼するのだが、
そこからは悲しい過去が浮かび上がって来る。
彼は実際には「誰」で、戸籍を変えてまで消したかった過去とは
いったい何だったのか。
先に挙げた「社会問題」は
大まかには「差別」とカテゴライズすれば良いか。
それは民族であったり、出生地であったり、親族が犯した罪であったりと、
何れもが自身にはどうにもできない性質によるもの。
なのに個人を識別するラベルの様に、好むと好まざるとにかかわらず
執拗に一生付いて回り、当人を評価するべく機能する。
人間の本質とは、まるっきり関係の無いことであるのに。
とは言え、考えてみれば、名前も似たような性質を持っているかもしれぬ。
本来は個々人を識別するための呼称なのにもかかわらず、
なんとなく人となりさえ現わしてしまうように思えるのは、
我々が名前に対して言霊に近い殊更の価値を見い出しているからなのかもしれない。
全ての疑問が解き明かされた時に、
主人公二人の馴れ初めのシークエンスには
実は重要なヒントが幾つも隠されていたことに今更ながらに気付く。
原作の功か、脚本の巧さかは知らぬが、
なかなかに良く出来たエピソードの埋め込み。
そして最後のシーンでは、実は人間は思いの外
容易く他人を詐称できることが示される。
ちょっとしたきっかけで、
人のエピソードを拝借する
或いは成りきるのは、普通の人でもあること。
ましてやアイデンティティーが揺らいだ時であれば、
猶更のことだろう。
要は程度問題なのだから。
冒頭とエンディングで示される絵画、
『ルネ・マグリット』の〔複製禁止〕はきわめて示唆的だ。
カエルの子はオタマジャクシ
東劇の試写室にて鑑賞。
座席がフカフカで感動した。
役者が豪華でみんな存在感がある。
序盤は窪田正孝さんと安藤さくらさんの出会いから夫婦になるまでを丁寧に描いている。
画材屋さんでナンパとかすごいな。
自分の絵を他人に見せるって割と勇気がいることなのに、見せてくれた絵が特別に上手いとかではなくて、一生懸命褒め言葉を探している感じがリアルで笑ってしまった。
家族4人。幸せに暮らしていたのに、谷口(窪田正孝)が不慮の事故で亡くなってしまうことから物語は急展開を見せる。
彼の実兄が「これ、弟じゃないです」と遺影を見ながら言い放つ。この時も淡々と会話が進むのだけれど、会話のテンポにリアリティがある。
自分の日常だと思っていた世界が実は虚構だったと知らされて驚いてしまう。
里枝(安藤さくら)が離婚する時にお世話になった弁護士の城戸(妻夫木聡)が谷口(窪田正孝)の正体、事実を確認していく。
物語はここで2つの視点に分岐する。
1つは「夫が何者であっても、愛していけるか」
2つ目は「カエルの子はカエルなのか」
後半戦の主役は完全に妻夫木聡演じる城戸に視点が移り、在日韓国人である自身のコンプレックスや一見幸せそうに見えてるけどギクシャクした妻(真木よう子)との夫婦関係が描かれています。
生い立ちを隠して結婚生活を送っていた谷口夫妻と経済的にも安定して生活している城戸夫婦の対比も面白かったです。
妻夫木聡さんが笑うと嘘くさいのはすごいなと思う。
作り笑顔の名手だと思う。絶対裏があって、激昂してキレそうな含みのある笑顔が怖いのよ。怖いの。笑顔なのに不穏なのってすごいですよね。
ラストである男の正体が判明するのですが、二転三転する物語の展開と登場人物の多さに頭がこんがらがります。
劇中でもホワイトボードを使って関係性を整理してくれるのでありがたかったです。
原作は未読なのですが、映画版と原作ではラストが違うそうです。
原作では谷口夫婦の話に視点が置かれた結末だそうです。
映画では「ある男」の過去を消し去る方法に視点が置かれた結末でした。
個人的にはミステリー色が強くなって映画版のラストでも良かったとは思うのですが、ラストを付け加えることで蛇足感があったかなぁとも感じました。
実際のところどっちだったの?
妄想?現実?とモヤッとした気持ちが残りました。
明日を生きる自分を作れるのは今の自分しかいないので、自分の生き方に後悔しないように生きていきたいなと考えさせられる映画でした。
ミステリーかと思ったら社会問題がテーマの作品でした。
見応えのある作品ですので、邦画が好きだよと言う方にオススメです。
RE:BORN
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