ある男のレビュー・感想・評価
全537件中、281~300件目を表示
ミステリーより人権とかの印象
締めが自分の好みじゃなかった分▲。
原君の思い的なのもう少し大切にして欲しかった。
丁寧に描写してるんだろうけど冗長にも感じた。
戸籍レンダリングは面白かったし、柄本父はやっぱ迫力ある。
その人の辛さや苦しさはその人にしかわからない
二世三世の受難如何程?と想い巡らす内に幕。 悪いが、気にし過ぎじゃ...
社会問題を巧みに取り入れた上質のミステリー
谷口里枝(安藤サクラ)の再婚相手、大祐(窪田正孝)が事故で亡くなり、疎遠だった大祐の兄に連絡して葬儀に来てもらうと、亡くなった大祐は本当の大祐ではなかった。そんなミステリアスな出来事を、弁護士の城戸(妻夫木聡)が解き明かしていくミステリーでした。
非常に評価できるのは、近頃国会などでも話題になることが多い「ヘイト」の問題や、自分が自分であることを証明することの難しさなど、「謎解き」というミステリーの娯楽要素に留まることなく、現実の社会問題を物語に巧みに取り入れていたこと。流石は芥川賞作家である平野啓一郎原作と思わせる展開でした。
役者陣では、刑務所に服役している詐欺師役を演じた柄本明が、相変わらず不気味な笑みを浮かべつつ物語の鍵となることをしゃべっていたのが良かったです。
また物語的にも、亡くなった夫が誰であるかが解明されて一定の平衡状態を取り戻した里枝や、本当の大祐とは裏腹に、城戸が家族の崩壊危機に陥ってしまうラストは、人生の浮き沈みを象徴しているようで、印象的なものでした。
物語よし、背景もよし、演技もよしということで、評価は★4としたいと思います。
過去が消せないなら、わからなくなるまで上から書くんだ。
原作既読。
映画は、小説にもでてきた、ルネマグリットの「複製禁止」という絵のショットから始まる。
戸籍ブローカーの仲介を経て、他人の人生を生きている男、他人に自分の人生を売った男の話。小説を先に読んでいるので、ああ、この男が殺人犯の息子として生きてきて、今、別の人生を生きているんだなという視点で見つめていた。何も知らずに観ていたら感じることのない疼きが心に刺さってくる。それは窪田正孝の物静かな佇まいがそんな感情を起こさせるのだろう。そして、最後に息子悠人がいう「父親が優しかった理由」がすでに頭にあるせいでもある。誰かになりすますことで、原誠は幸せだったのだろうと思う。(この子役、とてもよかった)
弁護士城戸役の妻夫木聡の表情が絶妙だった。谷口大祐の素性を探すことは、どこか在日である自分の本性をほじくり返す行為にも感じていたのでないだろうか。そのくせ、自分に害が及ばないのだから、傷つくこともない。だけど、そのかわり彼の中で何かが変わってしまった。あの、皮肉そうな笑顔もそうだし、どうも善意だけの行動には思えないんだよな。たぶん彼自身、変身願望があったのだろう。在日を隠したい気持ちが在日であることを晒しだしてしまう。小見浦の言う「先生は在日ぼくない在日ですね。でもそれは在日ってことなんですよ。」が的を得ているように。
正直、小説は設定が面白いわりにはなんかスカしていて満足度は低かった。それは作者の文章のせいであり、インテリ臭いマウントをとられている不快感のせいでもあった。だけど、映画は上質。余計な横道にそれず、核心へとずいずいと誘っていく。とてもソリッドな展開だった。ラストも、小説の幸福な着地点とは異なり、どこか城戸自身の変化や問題を抱えて終わる。小説にも城戸が試みになりすましてみる場面が、調査の途中の過程として登場するが、この映画では最後のここで出てくる。それは、なりすますことに妙な悦楽を知ってしまったような城戸の心の闇がちらついて見えた。(ただ、はっきりとなりすましたとは断言できない。そういう人がいた、ともとれる会話だったが。)
そしてまたルネマグリットの「複製禁止」が登場する。この鏡を覗いているのは誰なのかという想像の迷路に迷い込まれていく。ちなみにこれ、鏡の下に置いてある本はちゃんと反転しているのに、男はそうではない。そもそも鏡を向いているのに、向かい合っていないのだ。だからどこか感覚が狂わされる。まるで鏡張りの小部屋に閉じ込められているようだ。城戸も、こうして鏡に向かい合っている気分なのだろうか。その見ている自分は"どの自分"なのだろうか。ああどんどん迷い込んでいく。
そうそう、最後に初対面の男に城戸は自分の名を、何と答えたのだろうね。そりゃ僕は間違いなく、こう答えたと思う、・・・・・(ブチッ)。
↑ ↑ ↑
なんだよ!って思いますね。一応、タニグチがセオリーのようですが、ハラマコトだとざわつきは半端ないかも。
いわゆる「カンヌに出しますよー!」という系譜の作品としては近年では...
なんか色っぽい安藤さくら、ほれてまうやろー。
社会派とは
こういうのみたかった。背景として社会問題を扱いつつ、主張するわけでなく、でもきちんと心に残る描き方。
自我、国籍、戸籍、血脈、日常の差別、社会的な差別、死刑制度、犯罪者家族など、考えさせる要素はたくさん。
柄本明の芝居がかった演技をする芝居はやっぱりすごくて、対峙する妻夫木も大変だっただろうな。こんなに骨のある役者になっていたなんて。
真木よう子は優しいのか優しくないのか…。なんで結婚したのかな2人は。
真木よう子は両親の差別的な言動に苦笑いするだけだけど、スナックの子は店長にちゃんと反論するのがいい。いつも俯いて笑うだけだった妻夫木もハッとするんだよね。
大祐とは出会いから家族になるまでが腑に落ちる。子どももいい子だ。
血筋や家系に否定的な気分なので、こういう形の映画は新鮮で面白かった。逃れられない血筋への意識と、それを超えてつながる親子がいる現実。
彼を【ある男】や【X】と呼びたくない
1度しか観てないので台詞がうろ覚えなんだけど
安藤サクラさんが演じられた里枝さんが後半に言った「過ごした時間は事実ですから」がほんとそうだなと。
たまたま死刑囚の子に産まれてしまっただけで、その男性には何も罪がないのに、遺伝で似てきてしまう顔に絶望とも言える苦しさや生きづらさを感じていた中で、やっと普通の暮らしを手にいれたのに
ただただその1人の男性のことを考えると胸が苦しくなった。
戸籍のことは不勉強でわからないのだが、里枝さんの旧姓としてお墓に入れられることは可能なのだろうか…。
そして物語が終わりを迎えたのに、ラストシーンに向かうランチシーンからは必要なのかと思ってしまった。これがあるので物語が終わりを迎えない気がして…きっと誰しも別人になりたいときはあるを訴えたかったのかと私は思ったのだが…少しそこが気になった。
ただそれを含めて映画として面白かったので、もう一度観たいそう思う映画だった。
私も今を捨てて別の人間として、やり直したい。
過去は変えられるのだよ、偽造として。
自分を捨てたくなる時って、切ない…。
好きな作家 平野啓一郎さんの原作で、観たい俳優 妻夫木聡さんの出演作、楽しみにしていた。
仕事帰りのレイトショーは大きなスクリーンに私も含め観客は3人だけで、内容と同じ冷え冷えした静かな空間が落ち着いた。
最初から引き込まれて、妻夫木さんの視点で鑑賞。
窪田さんの出演作は初めて観たけれど、メンタルしんどい役だなと感じた。
ここしか居場所がないと思っちゃうと、袋小路に入る。
家族や周りの人たちから嫌われないように、自分を抑えて、我慢しなきゃと思い込んでしまう。
ホントは、そんなことないのになあ…。
不愉快なことを言われたら、やめてと言う。
希望があれば、こうして欲しいとお願いする。
きき入れてもらえないなら、そこから、その人から離れてみる。
その気になれば、世界中、どこにでも、自分の居場所はあると信じてみる。
死ぬまで付き合うのは、自分だけ。
家族ですら、人生の一部でしかない。
なら、最大限、自分を尊重してわがままに生きていい。
間違えたら、謝って修正したらいい。
色々な体験をして、優しい自分も、ずるい自分も、怒り狂う自分も、情けない自分も、失敗しながら受け入れていけばいい。
だからどうか、自分を捨てないでと祈る。
妻夫木君が、ラストシーン、なんと名乗ったのかすごく気になった。
私なら・・・。
タイトルなし(ネタバレ)
本当か嘘か?正しいか正しくないか? 過去がどうあれ未来がどうあれ‥‥ しかし知りたくなる、その人のことを。 人は皆、肩書きで人を見ている。実際、私もそうである。それによって振り回されている。しかし意外とその人とあった事実だけを見ていくとその人が見えたりするものだ。たぶん知らんけど!
自分てなんだ?
「自分」という物を消し去らなければ息苦しくて生きていけない人間がいる。「自分」を取り戻すために「自分」を捨てるというこの理不尽。
自分を捨てなくても幸せでいられる人たちもいる。その人たちには分からない生きる辛さが見てる側に刺さる。アイデンティティのぐらつきに初めて直面してしまう息子(僕の名前はどうなるの?という問いかけが秀逸)
過去を乗り越えたと思いこんでた城戸弁護士(妻夫木聡)が、辛い人たちと向き合うことで押し殺した自分に気づいてしまう。理解から距離が縮まったと思ったのに、本当の自分を隠すことに走る妻に気づき、新たな仮面をかぶってみる城戸。彼の今後はどうなるのか…。
名前なんて戸籍なんて強固なものではなく取り替え可能とあざ笑う囚人(柄本明)の関西弁がいかにも怪しいイントネーションなのが、そういったゆらぎを表しているようで興味深かった。
そして、窪田正孝の静かだけど全身で語る芝居の良さ。
安藤サクラの安定感(初っぱなの情緒不安定な泣き顔に引き込まれた)。
邦画は割と台詞聞き取りにくかったりするけど、この映画はとても聞きやすかったし、画面の暗さもただ暗いのではなく場面にあっててとてもよかった。
でも、なんかちょっと長かったなあ。
楽しくて仕方なかった。(楽しいストーリーじゃないけどね)
原作を読んでみたくなる
これは、ヘイトスピーチの問題をテーマにしているのだろうか。
だとしたら、この作品の表現力は凄いと思った。
でも、最後まで見ていると、逆にヘイトスピーチという大きな社会問題から、もっと小さな集団の中での「生き方」に対するメッセージにしているのではないかと思うようになった。
どんなに小さくても、ある集団の中に人は生きていて、それは民族や国籍という大きな集団でなくても差別や偏見があり、その中で人は大なり小なりストレスを抱えて生きていく。
その中で、人はどう生きていくべきなのか?
強烈な衝撃を受けました。
戸籍の入れ替え、、、そんなこと実際にあるのか、あったとしたら、やっぱりそれは駄目ですよ。どんな事も試練だと思って、乗り越えることこそが素晴らしい人生に繋がるのだと思うと同時に、本当に戸籍を入れ替えられるなら、どんな人と入れ替わりたいかな、、、と思ってしまう自分もいて、とても複雑な気持ちなり、また深く考えさせられる内容でした。
内容は最後がちょっと理解不能で、、、その代わりもう一度観てみたいと思わせられた、または原作を読んでみようかと。
城戸は在日であることの差別に悩み続けるも、やっとそれを乗り越えたと思ったら、奥さんとのすれ違いについに自分の人生をやり直すために「谷口」の戸籍と入れ替えてしまったのか?
また、個人的にはキャスティングが最高!!
妻夫木聡さん、安藤サクラさん、柄本明さん、真木よう子さん、でんでんさん、眞島秀和さん、などなど好きな演技派俳優さんがぞろりと!!
で、窪田正孝さんってあんな演技上手かった???(ファンの方ごめんなさいm(__)m)
迫真の演技だったと思います。
上から発言ですが、窪田さんの俳優として確立された作品といっても過言ではないくらい凄かったです。
あと、悠人演じるあの男の子、、、何者???超演技上手い!!
時代にマッチしてる。すごく面白い。
面白かったなあ。
特に窪田正孝さん、深みのある演技というと欠かせないのでは。恥じらいとかそういうリアルな感情がこの人からは細やかに感じられる。
朝ドラのエールでもだけど、悶え苦しみ泣くシーンは秀逸。民放ドラマとかじゃ物足りないのでは?と思っていたら、こんなに深みのある演技を要求される映画には適役としか言いようがない。
優しいひと、というところが本当にリアルに思えるからね。
いろんな、その人それぞれの過去、背景、国籍、学歴…
みんな自分が望むものでないものも背負って生まれて生きている。
そうした肩書きや、情報や、評価や、果ては言葉や目に見えるもの、当たり前かもですが、それに頼って生きてる。
そして苦しむ人も。
なりすましが多い現代社会だし。人が自分ですって証明できるものって顔とかいじったらもう無いわけで怖くなりますが。
でも自分がシンプルに行き着いたものは、
結局、信じるものは自分の感じたものだけ。
やはり何を自分が信じて、幸せと感じるか
自分の内証に、自分の声に従うしかない。
自分の中に誰もが絶対ってものはあるから。
間違うことでまたお勉強して
自分の行きたい方向に向かえるものを自分で見極める。
そうした智慧を磨いていくしかないのかな。見える何かに従いたければそれもそれで生き方のひとつだけど
時に簡単にそれが崩れる時があるから。
安藤サクラの、里枝が、「知らなくても良かったのかも」と言ったことが全てなのかもしれないと思いました。
でも、知らないと不安になるから正しかったという裏付けはやはり求めてしまうけどね。
全537件中、281~300件目を表示