「暗く重たく染み入る」ある男 まままさんの映画レビュー(感想・評価)
暗く重たく染み入る
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あっさりと夫が死に、あっさりと実は夫の名前は全くの別人だったことがわかる。それ以降はむしろ妻夫木聡がメインとなってXさんと素性を探る。
自分という存在は何によって決まるのか。実存だとか原作者の主張する分人主義だとかの話に最終的に行き着くのだろうが、その手前の段階として普通に物語としていい。
戸籍を変えると別人になるのか
父親が代わり苗字が変わると別人になるのか
死刑囚の息子は死刑囚の息子でしかないのか
温泉屋の息子は温泉屋の息子でしかないのか
在日は在日でしかないのか
帰化して名前を変えるのはなりすましなのか
安物のワインにビンテージのラベルを貼る例え。
中身を分かってる奴なんて案外いないと。
死刑囚の息子が、鏡の中の自分に死刑囚の父親を感じるシーンはなかなか切実
田中慎弥の共喰いにも似たような感情描写があった
ボクシングをしてその顔を傷つける
ボクシングが強いのも死刑囚の息子だからなのか
妻夫木聡の奥さんの家族もなかなか
生活保護や在日へのヘイトがリアル
そういった捜索を経て戻ってくると、最初に当然のように描かれた日常風景がどれほど優しい時間だったかが視聴者にもひしひしと伝わってくる
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