「よかった」ある男 ティム2さんの映画レビュー(感想・評価)
よかった
役者がみんなよかった。
前半が幸せでとても丁寧でこの謎を本当に知りたくなる。
安藤サクラと家族と過ごす彼を見てたから変な推理をしないで見た。
林業の男(大祐またはX)を演じた窪田正孝がすごくいい。絶妙。
いろいろわかった後に彼を思う。
人によってはX(窪田正孝)と自分に線を引いて遠いものとして彼について何も思わないかもしれない。
他人事だと本物の大祐の兄(眞島秀和)みたいにわからないで終わる。
妻夫木聡演じる弁護士を通して見たから視聴者にも届いたと思う。弁護士は自分のルーツから嫌な経験をしてて、Xの生きづらさを考えてた。
弁護士(妻夫木聡)のつらさは、在日だからと色々言われるのも嫌だろうけど、目の前にいる自分がどういう人か知ってる人も、ルーツの偏見を捨てられないで接してくることだと思った。
安藤サクラの正体を知った後だけど「知らなくてもよかった」っていい。うれしい言葉。
でも、
世の犯罪者のご近所や知り合いが取材されたとき、いい人だったとかそんな事するような人には見えなかったとか、人には隠れてる面があって見たままではわからないこともあるから難しい。
犯罪じゃなくても浮気とか、目の前の人が分からなくなるものはあると最後わかりやすく描かれてた。
どんな生まれとか関係なく、最低なことは誰でもするし、最低な奴には誰でもなれる。
血のつながりとか生まれながらのもののどうしようもなさ、それを悪く思われて扱われるつらさを感じて考えた。
親と子、血のつながりがあっても別人で同じではない。
容姿は確かに似てるが同じことをするわけではないと見ててわかるけど、親子で描く絵が似てるのはあれなんだろう。血のつながり・容姿・絵で三つ同じところがあるから、こういう共通点が多いと知らない人は怖いと思うのかもしれない。共通点はあっても関係ない、と彼を知らない人はわからない。
この映画をミステリーだと思って見てなかった。
安藤サクラの子供ゆうとの最後のシーンは泣けた。ゆうとがいたからミステリーではなく、人が亡くなって悲しい気持ちを忘れず、Xが亡くなったことを悔やむことができた。