「過去を捨てるということ」ある男 たつじんさんの映画レビュー(感想・評価)
過去を捨てるということ
クリックして本文を読む
映画の流れとしては前半部分がかなり退屈でしたね。事件が起こるまでがすごく長く感じました。その分は減点です。
減点しましたが、この映画で主張したいことがこれでもかと伝わってくる迫真の演技、映像が素晴らしかった!
妻夫木さんの在日三世を指摘された時の困ったような、それでいて怒っているような実に複雑な表情の演技がとてもよく、それがあってこそのラストシーンだと思います。
もちろん主演の妻夫木さんは素晴らしかったんですが、戸籍交換をして生きていた誠を演じた窪田正孝さんのものすごくリアルな演技がなければこの映画は成立したかったと思います。前から知っていましたが、これは最上級の演技ではなかったでしょうか。人殺しの息子のレッテルを剥がしたく苦悩した末に表舞台にたちたくないとはっきりとしたメッセージを残し、戸籍を二度も変えて、ようやく安らぎの生活を手にしたのに事故死。曽根崎時代の演技はなかったですが、原誠時代、谷口大祐時代の2つの演技は本当に素晴らしいものでした。
どこか行っちゃってた伊香保の旅館の次男坊谷口大祐が中野太賀さんなのは、超もったいない。もっと演技させてあげて!!
原作を知らないのですが、この三本柱の人生の機微が描かれているのが本線なんでは無いのかと思いました。もしくは元々曽根崎だった人も含めて描かれているのかもしれませんね。最初の結婚に至るまでの描写を少なくして、中野さんの部分を厚くして欲しかったな。
まあ、とにかく心に響きました。
ぜひみんなに見て欲しい。
コメントする