「自分てなんだ?」ある男 ユウコさんの映画レビュー(感想・評価)
自分てなんだ?
クリックして本文を読む
「自分」という物を消し去らなければ息苦しくて生きていけない人間がいる。「自分」を取り戻すために「自分」を捨てるというこの理不尽。
自分を捨てなくても幸せでいられる人たちもいる。その人たちには分からない生きる辛さが見てる側に刺さる。アイデンティティのぐらつきに初めて直面してしまう息子(僕の名前はどうなるの?という問いかけが秀逸)
過去を乗り越えたと思いこんでた城戸弁護士(妻夫木聡)が、辛い人たちと向き合うことで押し殺した自分に気づいてしまう。理解から距離が縮まったと思ったのに、本当の自分を隠すことに走る妻に気づき、新たな仮面をかぶってみる城戸。彼の今後はどうなるのか…。
名前なんて戸籍なんて強固なものではなく取り替え可能とあざ笑う囚人(柄本明)の関西弁がいかにも怪しいイントネーションなのが、そういったゆらぎを表しているようで興味深かった。
そして、窪田正孝の静かだけど全身で語る芝居の良さ。
安藤サクラの安定感(初っぱなの情緒不安定な泣き顔に引き込まれた)。
邦画は割と台詞聞き取りにくかったりするけど、この映画はとても聞きやすかったし、画面の暗さもただ暗いのではなく場面にあっててとてもよかった。
でも、なんかちょっと長かったなあ。
コメントする