「無題」ある男 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)
無題
重く深いテーマを娯楽作品として見事に構築した面白い作品でした。
映画サイトも高評価が多いのだけれど、評論やレビューを読んでも具体的にこのドラマの何処が良かったのかを言及している書き込みは極端に少なく、言語化するのが難しい作品だったのかも知れません。ベースが推理サスペンス形式のドラマだったので、物語に引き込まれ面白く感じただけの人も多くいたでしょうしね。
“自分の過去を消し去りたい”というというモチーフで、私は今の日本の社会問題である“宗教2世問題”を想起しましたが、他にも“加害者家族”“前科者”や“犯罪被害者への二次的被害”等々、一度過去を全て消し去りリセットしたいというモチーフは、面白い作品が非常に多くある気がします。
その理由は何故か?なのですが、本作では柄本明の役(レクター博士の役割)がその象徴であり、いわゆる現実の人間社会は“性悪説”で成り立っているという事なのでしょう。
だからこそ更に“善”の部分が美しく感じるという事なのだと思います。
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