「この作品には誤解、偏見を招く看過できない箇所があります。」ある男 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
この作品には誤解、偏見を招く看過できない箇所があります。
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まず、最初に作品全体としてはミステリ風味のヒューマンドラマという点では、演者の熱演、怪演も相まって非常にレベルの高いものである、と評価したいです。
だがしかし・・・原作によるものか映画自体の脚本によるものか原作未読の私には判別出来ませんが、明らかに偏見を助長する内容が明示されており、それには閉口いたしました。
いわゆるこの作品における社会派きどりの論点です。
それは死刑囚の実父が獄中で描いた絵を経験上その絵を知り得ない子供がほぼ同じ筆致で再現できたという点。おいおい、普段の風景画とまるで画風が違うじゃんかというツッコミつきです。
それが暗喩されるレベルならまだ救いがあるが、物語のキーポイントで使われ、人物特定されてしまうくだり。
犯罪心理学的に凶悪犯(作中では死刑囚)が描く絵の一部に一種の特徴、異常性があることを示唆する内容で、それは研究論文もあることから一定の評価をすべきです。
が、この凶悪犯の異質な感覚、精神構造子孫にも遺伝する・・・的なところを物語上の確定情報として記すのは大変ナンセンスかつ誤解を招く内容だと思います。
あとテレビでやってるヘイトスピーチについても扱い方が雑、かつ非常に表面的で、在日問題の芯をまるで捉えていない。ここは全く論点ではない。
こんな扱いなら無理に触らないほうがまし。冒頭にあった義父の発言のほうが余程、感覚的には的を射ています。こちらはいわゆる老害レッテル張りの高齢者ヘイトですけどね(笑)。
じわっとくる読後感は良かっただけに、作品の完成度としては非常にもったいないなあと思いました。
では。
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