声もなくのレビュー・感想・評価
全58件中、41~58件目を表示
「シベールの日曜日」という映画を思い出した。
作家の中野翠が激賞しているので、鑑賞してみた。
ヤクザの下請けで死体処理の仕事をしている話すことができない障害を持つ青年と誘拐された親からの愛情を受けていないと思われる少女との交流を描いた映画である。観終わって激賞に値する映画だろうかが私の正直な感想である。社会の最底辺で暮らす若者の話でなので暗いかと思ったら、色調は明るく時に写し出される自然も優しい。伴奏する音楽が魅力的だ。50年前に観た「シベールの日曜日」を思い出したけど、内容は忘れてしまった。青年と少女の心のふれあいを描いたことしか覚えていない。
軽く描いてはいるけれど…
2人の揺れ動く感情に心が乱される
韓国映画の子役の演技はレベルが高い。児童虐待や誘拐の映画だとそれが際立つ印象だ。本作もそう。
マフィアの下請けで死体処理をしている2人に、誘拐した少女を預かるよう依頼(命令?)が来る。この少女と一緒に暮らすことになった口のきけない男と幼い妹の生活を描いた物語だ。
疑似家族のような関係が続く中、いつの間にか信頼関係ができてって話になると思っていた。それで最後泣かすんでしょ?と。ある意味間違ってはいないのだが、テイストは予想と大きく異なっていた。
疑似家族のようなのに、本当の家族ではないという点を最後までブレさせなかった。だから、彼らの行動が不可解に思えることも多い。どっちなんだよ?と。今の生活を続けるのか元の生活に戻るのか、どちらにも揺れる2人の演技は見もの。ユ・アインは声を出さない演技がゆえにとても深みのある表情を見せてくれた。でもやはり本作の見どころはチョヒ役のムン・スンアだと思う。子どもらしい表情と母親のような態度、聡明なのに無邪気、その危ういバランスの上で成り立つ素晴らしい演技だった。ラストに見せる複雑な感情を抱えた表情が切なくて仕方ない。やはり韓国の子役はレベルが高い。
ただし、最後がキチンと終わらないところが消化不良。いや、そんなもんなのかもしれないけど、彼らのその後が気になってしまう。個人的な好みだが、そこまで高い点はつけられなかった。
声は届かない
信用出来る人
韓国の闇…
ほのかに切ないドラマ
ありがちな擬似家族物ではない
コンパクトな時間の中で語るシンプルな悲劇
皮肉を重ねた巧さ
韓国の闇社会をネタにしたコメディ。
コメディはコメディでも、完璧なブラック・コメディ。
テインは耳は聞こえるが喋れず、妹ともども元々孤児で、犯罪組織の下請けをやっているチャンボクに投げやりに育てられ、まともな教育どころか善悪基準が欠落しているというキャラ。
誘拐された子・チョヒは、早くうちに帰りたいが、どこか自分の運命を受け入れて達観しつつも、殺されるよりはマシと見張りのいうことをきこうとしているうちに、いわゆる「ストックホルム症候群」らしき感じでテインに懐き、同情する。
チョヒによってテイン(とその妹の二人)が、人間性を得ていく過程はなかなかの見もので、しかし生活のために行っているテインの仕事は死体の処理というアンバランスさ。
ここに、笑えない笑いがある。
テインにとっては不運が雪だるま式に増えていく展開ではあるし、作中ラストは投げっぱなしなものの、絶対にテインは捕まるし、妹と離ればなれになる未来しか見えず、やはり笑えない。
だが、チョヒとテインの関係性の黒い笑いと、テインを演じるユ・アインの台詞なしの演技力を見るのが本作のポイントなのかな、と。
そして、絶望の中に見える空の色の美しさ。
綺麗な田園風景などの画面設計の妙。
皮肉を何重にも乗せた内容に、緻密な計算を感じました。
ユ・アインはいいけど、、、
素晴らしい作品の包容力
全58件中、41~58件目を表示