「景色は美しいが、心が見えない」声もなく tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
景色は美しいが、心が見えない
闇社会の底辺で生きる男と、誘拐されてきた少女。二人が出会うことによって生まれる化学反応こそが、この映画の見どころとなるはずなのに、あろうことか、二人の心の交流というものがまったく描かれない。
男が話せないということも、男に妹がいるということも、男と少女のコミュニケーションを妨げるようにしか作用していない。だったら、なぜ、わざわざ、そのような設定にしたのか?
心の機微が分からないので、男が、なぜ、人身売買の現場から少女を救い出したのか、少女は、なぜ、それでも男のもとから逃げ出したのか、さらには、助けてくれた男を裏切ったのか、その理由もよく分からない。
終盤、唐突に、女性警官のくだりがあるが、なぜ、ストーリーの流れを阻害するような、こんな余分なエピソードを入れ込んだのか、その理由も分からない。
田園風景の美しさが印象に残る反面、そんな「分からないこと」だらけの映画であった。
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