劇場公開日 2022年1月21日

  • 予告編を見る

「2人の揺れ動く感情に心が乱される」声もなく kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.52人の揺れ動く感情に心が乱される

2022年1月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

韓国映画の子役の演技はレベルが高い。児童虐待や誘拐の映画だとそれが際立つ印象だ。本作もそう。
マフィアの下請けで死体処理をしている2人に、誘拐した少女を預かるよう依頼(命令?)が来る。この少女と一緒に暮らすことになった口のきけない男と幼い妹の生活を描いた物語だ。
疑似家族のような関係が続く中、いつの間にか信頼関係ができてって話になると思っていた。それで最後泣かすんでしょ?と。ある意味間違ってはいないのだが、テイストは予想と大きく異なっていた。
疑似家族のようなのに、本当の家族ではないという点を最後までブレさせなかった。だから、彼らの行動が不可解に思えることも多い。どっちなんだよ?と。今の生活を続けるのか元の生活に戻るのか、どちらにも揺れる2人の演技は見もの。ユ・アインは声を出さない演技がゆえにとても深みのある表情を見せてくれた。でもやはり本作の見どころはチョヒ役のムン・スンアだと思う。子どもらしい表情と母親のような態度、聡明なのに無邪気、その危ういバランスの上で成り立つ素晴らしい演技だった。ラストに見せる複雑な感情を抱えた表情が切なくて仕方ない。やはり韓国の子役はレベルが高い。
ただし、最後がキチンと終わらないところが消化不良。いや、そんなもんなのかもしれないけど、彼らのその後が気になってしまう。個人的な好みだが、そこまで高い点はつけられなかった。

kenshuchu