ほんとうのピノッキオのレビュー・感想・評価
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鬼才が手掛けてこそ原作の旨味引き立つ
マッテオ・ガッローネ監督といえば、たとえ現代を描いた作品でもそこには濃厚な寓話性が染み出してくることでお馴染みだ。そんな彼がイタリアの代表的な寓話を描くとなると、かなりダークでブラックな一作に仕上がるのではと覚悟はしていたものの、いざ出来上がったのは原作の味わいを生かしつつ、妙ちくりんなれどしっかりと感情が香り立つ温かい作品だった。思ったよりおしゃべり少なめでピノッキオへの愛情を迸らせるベニーニがとてもいいし、ピノッキオの極めてwoodyな特殊メイクもこのCG全盛の時代に最高級の意匠を刻む。それに各場面を彩る奇妙なキャラクターたち一人一人がなんとも味わい深い。名曲「星に願いを」で知られるディズニー作品や、ベニーニの主演、監督作のことなどが頭をよぎる一方、スピルバーグ 作『A.I.』をもう一度見直したくなったりも。誕生から140年、シンプルなれど人を魅了し続ける物語の強度を再認識させられた。
私には合わなかったです
自分には合わないような気がしたけど高評価なので観始めました
「ライフ・イズ・ビューティフル」の時からロベルト・ベニーニがほんと苦手だったからスタート時から観るのが苦痛な感じも
良い人なのにいい加減なのが私は嫌なのかもしれません
ストーリーが面白かったら良かったんだけど、出てくるキャラ全てが私には受け入れられませんでした
楽しい事にすぐ流されるピノキオだから全部自業自得だし、妖精も甘いし、それにあの裁判も謎すぎだし
同じ2時間なら他のを観れば良かったと思ってしまいました
ディズニーとの違い
この映画の目的のひとつは、ディズニーによって作られたピノッキオの誤ったイメージを塗り換え、原作の真の姿を世界に知らしめることであったのは間違いない。ディズニーのピノキオはそれほどまでに原作とかけはなれたものなのだ。原作を知るイタリア人は怒っている。ディズニー映画は子供あいての夜の歌舞伎町、あるいは麻薬のようなもので、現実感覚を失わせる。それに、たいていの場合、何も印象に残らない。
原作のピノッキオはもっと素朴な物語で、忘れがたいイメージがいくつもある。この映画は原作に沿って、どの場面も完璧な絵画のように美しく描き出す。しかも、その絵画は派手なわかりやすいものではなく、かなり渋めで、くせのあるの幻想派絵画なのだ。
この「くせのある幻想性」はこの映画のオリジナルではなく、原作からして既にそうなのである。グリム童話もそうなのだが、そこに漂う妖しい魔術的な雰囲気はどこか理屈を超えている。こういうものを映像で再現するには、歌舞伎町的な色彩感覚では絶対にダメで、かなり高度の美的感覚を必要とする。この映画はそういうものを持った人々によって作られた、相当に贅沢な、通好みの映画なのである。
ところで、この映画には新奇なものは何も出てこない。出てくるのは、何もないような草っ原だったり、使い古した廃墟のような建物だったり、使い古した廃墟のような老人ばっかりだったりする。まるで禅画。わびさびの世界。ところが、これがいい味を出している。ゼペットは今まで一度も結婚しなかったような寂しい爺さんだが、初めて恵まれたピノッキオという家族に全愛情を注ぎこむ。何たる慎ましさ、素朴さ。歌舞伎町の対極だ。「ほんとうの」幸せを見失ったスマホ時代の我々に、まっとうなことを教えてくれるようじゃないか。
老残の詐欺師である、キツネとネコも凄い存在感だ。これも人間なのか、動物なのか、妖怪なのかよくわからない存在だが、原作には、ただ「キツネ」「ネコ」とあるだけで、彼らについては何の説明もない。カタツムリも、原作にはただ「カタツムリ」とあるだけで、何の説明もない。これが映画では、巨大な殻を背負ったお婆さんとして登場する。
青い髪の妖精は、この作品の中では最も神秘的な存在で、初めは妖しげな少女として登場し、後で、大人の女性として登場する。これも何の説明もない。ディズニー映画では、わかりやすい女神様のような存在だが、原作およびこの映画では、そんなわかりやすい存在ではない。ピノッキオが野盗に追われて初めて妖精の館に来て「開けてください」と頼んでも、二階の窓から「ここには死人しかいない。」と言って、開けないのだから。この点でも、この作品がいかに「一筋縄では行かない」ものであるか、わかろうというものだ。
以上、原作およびこの映画がディズニー映画とは全くの別物であり、独特の味わいを持つものであることの一端は示せたのではなかろうか。
ダークファンタジーなピノッキオ
イタリアの有名な児童文学「ピノッキオの冒険」を原作にした物語で今までにディズニーや色んな会社がアニメや実写作品をつくっていて、近年ではギレルモ・デルトロのストップモーションアニメーション映画やロバート・ゼメキスが製作したディズニープラスの実写映画などがあり今作には2002年製作の実写映画でピノッキオを演じたロベルト・ベニーニがゼペット役で出演している。
超イタズラ好きなピノッキオと世界観がダークでイタリアの監督らしく芸術的で独特なデザインのキャラクターの数々が登場します。
好き嫌いが別れるピノッキオです😅💦💦
「ほんとうのピノッキオ」「TOVE」の2本立て上映にて鑑賞。
サメの腹の中にマグロ
ゼペット爺さんがまず初めにイヤな感じがするのよねープライドだけが高くて嘘つき、でピノキオも造形が怖い。勿論いい子ではない。これはまぁ物語の中でもそうなのでそれはそうとして、出て来るキャラクター達がグロテスクで子供向きではないかなぁ。
ほんとうの、ピノキオはこうなんだ。
妖精やカタツムリは出てきたっけ?ピノキオを作る木はあんな風に動いたんだっけ?と自分の記憶が曖昧で、でも、「ほんとうのピノッキオ」とあるんだから、これが元の童話に近いお話なんでしょうね。なんか改めて,見入ってしまった。最後の人間になったピノッキオ外伝かわいらしかった。
クジラじゃなくてサメだったんだ。
「美しくも残酷に…」という紹介のとおり、キャラクターの造形はリアル...
「美しくも残酷に…」という紹介のとおり、キャラクターの造形はリアルとファンタジーの狭間で、若干の怖さを感じるような不気味さと可愛さ(ほぼ前者)があります。
ピノキオの不安定で愚かな行動の数々と全体的に寒々しい色味の画面がマッチしていて、ホラーでもスリラーでも無いのにゆるいヒヤヒヤが続くような不思議な作品でした。
(”残酷”というワードに関しては、「グロテスクな」という意味では無いので、その点は気にせずに鑑賞できます!)
普通のピノキオ
邦題の「ほんとうの」ってなんだよ。普通にピノキオだよ。「あなたの知らないグリム童話」みたいなほんとうは怖い話なのかと思うじゃんか。
なかなかキレイな実写化でした。観てないけど何年か前のベニーニ主演のピノキオは悪評ふんぷんでした(ベニーニはラジ―賞を獲ってるらしい。これがあったから「ほんとうの」ってしたのかな)。今回はベニーニ面目躍如かな。ほんとにゼペット爺さんって可哀そすぎる泣。キリスト教の世界では「人形に命を与える」という行為は神の領域を犯すとして罰せられる、って面もあるんだろうね。
フィレンツェ(ピノキオ発祥の地)に旅行に行ったとき、市場でものを薦められて「今日は持ち合わせがない、明日来るね」と言ったら店員に「お前はピノキオだ」と鼻の伸びるしぐさをされたのは自慢です笑。
何の教育も受けていないのだから仕方がないが、ピノッキオの馬鹿過ぎる...
何の教育も受けていないのだから仕方がないが、ピノッキオの馬鹿過ぎる行動に何度もイライラさせられる。
しかし、「父親」とサメの腹の中で再会し、脱出してからは「父親」のために働き、やさしい少年に成長していく姿には心を動かされた。
人形小屋の主が見た目と違って意外と情にもろかったり、無実なら牢屋に入れられ、罪を犯せば釈放されるという国の存在がおもしろい。
あと、悪さばかりしているキツネとネコにはもっと明確な天罰が下ってほしかったかな。
美しい妖精
邦題が「ほんとうのピノッキオ」となっているので、子供の頃に読んだピノキオとは違うのかと思って観ましたが、特に違和感のないものでした。ファンタジーの世界が美しい実写で観られるのは素晴らしいですね。ピノキオが悪い大人たちに何度も騙されてしまう物語が子供の頃からあまり好きではなかったのですが、そこは今観ても同じでした(苦笑)。だからこそ、最後の感動があるわけですが。ピノキオがイタリアの物語だと初めて知りました。
「人間」になるためのリアルな試練
本作は100年以上読み継がれてきた不朽の名作である児童文学を映画化。
現実と幻想が交錯する不思議な世界観を映像化している。
「ダークファンタジー」と銘を打つのであれば、もう少し恐ろしい展開や救いようのないラストでもよかった気はする。
原作を台無しにしてしまうが・・・
「なぜ勉強する事・働く事が必要なのか」という問いに対する一つの解を示す児童文学としてのストーリーはそのままに、一歩引いて見守る妖精と擬人化したキャラクターたちとともに風刺を交えた物語の進行と不思議な映像体験で新鮮な作品として生まれ変わっている。
現実社会で擦れてしまった「ロバ」たる大人たちにも楽しめること間違いなしだろう。
ダークで残酷な中にもある、星に願いを
映像化は数知れず。
最も有名なディズニー・アニメ、『ベイブ』のスタッフによる1996年の実写版、何の気の迷いかロベルト・ベニーニが演じちゃった2002年の珍作…。(本作ではベニーニはジェペット役!)
映画にアニメにTVドラマに漫画に小説に。日本でも手塚治虫による翻案漫画も。
直近でも3本が公開/待機中。
本作と、9月にロバート・ゼメキス×トム・ハンクスによるディズニー・アニメ版の実写化(ディズニープラスの配信のみで見れないのが残念…!)、ギレルモ・デル・トロによるストップモーション・アニメが12月にNetflixで配信。
一体急にどうした、ピノッキオ・ブーム…?
今から100年以上も前、イタリアの作家によって書かれた児童文学。これを児童文学らしいファンタジーとして見るか、書かれた当時の社会風刺として見るかで、ピノッキオは作り手、国、時代によって様々な形に作り変える事が出来る。
おそらくディズニー・アニメの実写はオリジナル同様愛されるだろうが、本作とギレルモ・デル・トロ版は好き嫌い分かれる事必至。
知ってるようで知らなかった“ほんとうのピノッキオ”に驚いた。
ストーリーはよく知られているから割愛…いや、“よく知られている”のはディズニー・アニメの翻案。『美女と野獣』も『リトル・マーメイド』もそうだが、今ではディズニーの翻案こそがスタンダードになっていて、元の原作小説が全く知られていないというある意味異常事態。
『ピノッキオ』も然り。ディズニー翻案とは違う、原作忠実点を初めて知った。
ピノッキオ誕生は、ディズニー・アニメではお空の星から現れた妖精“ブルー・フェアリー”によって生命を与えられた事になっているが、本作(原作通り)によると…
意思を持って喋る丸太。それをジェペットが同じ大工の“さくらんぼ親方”から譲り受け、木の人形を作る。
妖精の魔法ではなかった…!
そのブルー・フェアリーに該当する妖精は、森で奇妙な擬人化生物たちと暮らし。
ピノッキオの“良心”として助言し、冒険にも同行するジミニー・クリケットは居ない。…いや、“コオロギ”は登場するが、その他のキャラ程度。
終盤ピノッキオとジェペットを飲み込んだのは鯨ではなく鮫だったりと、細かく挙げたら相違点は多々。
如何にディズニー・アニメは我々をこんがらがせ…いや、巧みな翻案/脚色に苦労したか。
もし小さな子供がディズニー・アニメより先に本作を見たら(見ないだろうが)、『ピノッキオ』に対してトラウマになっていただろう。それくらい奇妙な世界。
擬人化された“カタツムリ”“コオロギ”“マグロ”などの見た目や造形はかなり不気味。
奇妙で不気味で怖さが滲む、グリム童話のような雰囲気。
それでいて、ティム・バートンやギレルモ・デル・トロ作品を彷彿させるような独創性と美のダーク・ファンタジー。
映像、美術、音楽、オスカーにノミネートされた衣装やメイクのクオリティーは一見の価値あり。
ディズニー・アニメでも感じていたが、『ピノッキオ』は改めて見てみれば残酷な話である。
卑しい大人。そんな大人に騙され、罠に嵌められ、何もかも失う。
窃盗、誘拐、命の危険。
我が身の危機ばかりではなく、自分自身にも否があれば罰が下る。
猿判事の裁判所。無罪は牢屋送りとなり、有罪は釈放という不条理。
ここら辺に原作者が執筆した当時の社会風刺が見て取れる。善悪のあやふや、混迷するカオス…。
ピノッキオも決してイイ子ちゃんではなく、怠け者で楽な道や旨い話を選ぶやんちゃ者。素直で純真でもあるけれど、それは時に世の甘く危険な罠の格好の餌。
ディズニー・アニメのような教訓と夢のハートフル・ファンタジーを期待すると、痛い目に遭う。シビアで痛くて苦くて、寧ろビジュアルより余程恐ろしい。
“ほんとうのピノッキオ”は残酷物語だった…!
でも、全てがそうじゃない。
後悔、反省からの成長も描かれる。
勿論最後は、お馴染み。数々の苦難、体験、冒険を経て、報われる。
だから我々は『ピノッキオ』を見る時、必ず信じるのだ。
夢は叶うと。星に願いを。
リアルピノキオ
グリム童話の原作は怖い話だと聞いたことがあったので、ピノキオの原作も怖い話しなのか気になっていましたが、そんなことはありませんでした。
登場人物がリアルに造形されていたため、始めは取っ付き難かったですけどね。
それより私が昔読んだ本では、ピノキオは鯨に飲み込まれると書いていたのですが、原作は鮫だったんですね。
(鮫には見えませんでしたが)
ピノキオは、今まで本やアニメ作品しか知りませんでしたが、本作品のようなリアルな作品も、好きになりました。
小さな子供達には、怖いと感じられるかもしれませんが、見せて損は無いと思いますよ。
色彩がダークよね
ピノッキオの良い意味で“天真爛漫”
ちょっと悪く言うと“子どもゆえの我が儘”で、
いろいろなトラブルに巻き込まれつつ、
妖精に助けられ、成長してゆくのは知っていたので、
どちらかというと演出や映像、演技などの方で、ワクワクと楽しめました。
ダークというのは、色彩が抑え気味なのと、
クリーチャーたちが、少し不気味かも、
小さな子どもは怖がる子もいるかな?ってところかしら。
でも、カタツムリのヌルヌルで滑るコネタとかは、面白かったな。
大人になると、
なんで木の人形が動いて、みんな普通に接するんだろう?
なんで、濡れて腐らないんだろう?
とか、いろいろ???が増えるのだけど、
そういうことは置いといて、童話の世界に入り込んで、
物語を楽しむと、本当に面白い作品でした。
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