「君が言うことをきかないからだ。」ほんとうのピノッキオ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
君が言うことをきかないからだ。
"ほんとうの"と謳っているので、グリム童話とかの、実はこの後こうなりました、という大人の世界の残酷物語を描くのかと思ってたがそうではなかった。たしかに大筋で絵本の通りなのだが、実写にするとこうもグロいのか。だいたい、子供に読み聞かせる話は、根底には"こういうことをしたら、あとでひどい目にあっちゃうよ"という「怖がらせ」の裏筋がある。日本の桃太郎だってウサギとカメだって、ほかのどの昔話もそうだし、雷様がヘソをとるとか、川で遊ぶと河童が足を引っ張るとかもそう。子供たちはそういう情操教育を知らず知らずに受けて育つ。そんな絵本の中では愛嬌たっぷりのキャラクターが、この映画ではちょっとキモチワルイ。美術としての完成度を観賞するとかよりも先に、「これを子供に見せるのはむしろトラウマ」という思いの方が強い。
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