「圧巻でした」ほんとうのピノッキオ イザナさんの映画レビュー(感想・評価)
圧巻でした
公開前からずっと気になってた本作品を先日観てきました。予告から漂うダークファンタジー感に気圧されつつ、きたいしつつ。
総合的な感想は『何も包み隠さず語ったピノキオ』ていう感じでした。まさにほんとうのピノッキオ。
ディズニーのピノキオは見たことありますが、嘘つくと鼻が伸びるとか鯨に飲み込まれるとかそういう要点を覚えてただけでほぼ忘れてるので初見状態。
初っ端からジェペットの元を離れていくピノッキオ。『人に従いたくない』という彼に一体何があったのかはわかりませんが、生まれて間も無くなかなかのヤンチャボーイだなと思いました。
その後、ジェペットが嘘をついてまでして手に入れた教科書を、人形劇を見るために同じ店に教科書を売るピノッキオにはぞわっとさせられましたね。それと同時に今後の成長への期待も膨らみました。
作中で一番衝撃的だったのはやはり子供達がロバに変わっていくシーン。"おもちゃの国"で思いっきり自由に遊んで楽しむ子供達、しかし翌日にはそこが"ロバの市場"になるなんて。思わず息を呑んで口を手で覆ってしまいました。
そしてサーカス団に引き取られたピノッキオは火の輪を潜るショーをさせられて足を負傷したせいで海に沈められる。予告でも見た水中に沈むロバの周りを漂う魚の群れのシーンは美しくも残虐でまさにダークファンタジーの権化のようなシーンでした。
そして色々あってクジラに飲み込まれるピノッキオ。と、思いきや飲み込んだのはサメ。ここも子供向けとして作られたクジラのストーリーではなく、サメを出してきたのは"ほんとうの"ストーリーだったからなのかなと考えました。
漸くジェペットと会えたピノッキオ。その見た目では計り得ないほど奇想天外な冒険をし、経験をし、成長してきた。
人に嘘をつき、信じてくれた人を裏切り、信じた人に裏切られ。一概には言えませんが人間の子供も同様にこういった経験をしていると思います。だからこそただピノッキオが優しい性格になる物語ではなく、人の汚い部分を知り得た上で成長したからこそ"人間"になれて、ジェペットへの本当の"優しさ"を得られたのではないかと解釈をします。
あまりこういった感想は書き慣れないので読みにくい部分はあったかとは思いますが、とても素晴らしい作品でした。
ただ一つ最後に言うのなら、イタリア語の巻舌すごい。