死刑にいたる病のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
阿部サダヲの狂気。それはまるで和製ジョーカー。人身掌握のプロであり、全てが掌の上での出来事なのかと思わんばかりのシーンの連続で、あの目が脳裏に焼き付いて離れなくなるスリラーサスペンス。
面会室という密室で繰り広げられる会話劇に息すら忘れて食いついている自分がいた。そして阿部サダヲの声に耳を傾けているうちに自分までもが操られてしまいそうになる恐怖を感じることができた。アクリル板越しに岡田健史と阿部サダヲが重なっていく演出には唸ってしまった。同化していってるなー、今は気持ちが離れているなー、ということが視覚的に伝わって映画的で良き。
ラストシーンの個人的見解としては、宮崎優も以前ターゲットとなっており、主人公同様手紙で執着されていたのかもしれないと感じた。岩ちゃんも宮崎優も操れた阿部サダヲが唯一操れなかった岡田健史に対しての次のアプローチとしてのラストカットなのではないかと。そう考えると、いつか岡田健史にもこの病が伝播していまいそうで怖い。そもそもあの無秩序な殺人も次の伝播先を見つけるための策なのかもしれない。
阿部サダヲの持ち味全開のサイコサスペンス
やはり、白石監督と阿部サダヲが紡ぎ出す作品は平常心で観ることはできない。衝撃的で心揺さぶられる。全編、不気味な雰囲気が漂い、絶えず鼓動は収まらず、画面に釘付けになる。
鬱屈した大学生活を過ごしていた筧井雅也(岡田健史)の元に、猟奇連続殺人犯で死刑が確定している獄中の榛村大和(阿部サダヲ)から一通の手紙が届く。最後の殺人は冤罪であり、真犯人がいることを証明して欲しいという内容だった。筧井の地元でパン屋を営んでいた旧知の榛村からの依頼を受け、筧井は一人で真相を究明していく・・・。
冒頭の榛村が用水路の水門を開放しようとするシーンは、フランス映画の衝撃作マドモアゼルを彷彿とさせるものであり、本作が只ならぬ物語であることを予感させる。
榛村は殺人犯であるが、物腰は柔らかく穏やかで人間関係も良好。誰にでも好かれている。殺人のプロセスも同様であり、相手を言葉巧みに信用させてから犯行に及ぶ。犯行そのものは極めて冷徹、残酷で目を覆いたくなる。阿部サダヲが卓越した演技力で、善なる榛村と狂気の榛村を完璧に演じ切っている。榛村に成りきっている。
筧井は榛村との面会を繰り返し、地道に榛村との会話の裏付けを取っていく。徐々に榛村の境遇が明らかになり真相究明に近づいていくが、榛村は筧井を己の会話の術中に嵌ようとする。筧井の顔と面会室を仕切る透明アクリル板に写る榛村の顔が重なるシーンが象徴的である。それでもなお、筧井は榛村の呪縛を振り払って真相に迫っていく。
ラストシーンは、そう来たかという感じで、インパクトよりは不気味さが際立つ幕切れだった。真相究明も連続殺人の理由も決定的なところまで辿り着いていない。榛村の心の闇にもっと迫って欲しかった。
しかし、鳥が突然人間を襲う恐怖を描いたヒチコック監督の“鳥”のように、理由が分からない方が、恐怖、不気味さは増すのが人間の心理なので、サイコサスペンスとしての醍醐味は十分に堪能できる作品だった。
一部グロいが引き込まれた
大学生の雅也に連続殺人犯の榛村から1通の手紙が届いた。24件の殺人容疑で逮捕され死刑判決を受けた榛村は、犯行当時雅也の地元でパン屋を経営していて、中学生だった雅也もよく店を訪れていた。手紙の中で、榛村は自身の罪を認めたが、そのうちの1件は冤罪だと訴え、犯人が他にいることを証明してほしいと雅也に依頼した。独自に事件を調べ始めた雅也は・・・という話。
最初に水門を開けて桜の花びらのようなものを撒くシーンから始まるが、それが○○だったとは、驚いた。
観ていて引き込まれ長さを感じなかった。
榛村役の阿部サダヲの凄みを堪能できた。岩田剛典は出ているのさえ気がつかないほどで、あんなに顔を隠すなら誰でも良かったような気がした。
灯里役の宮崎優は可愛かった。
一部グロかったが、どんでん返しもあり面白かった。
「爪、綺麗だね。」「剝がしたくなる? 私わかるなあ。好きな人の一部を持っていたいって気持ち。」
冷静なのか冷淡なのか、終始感情が揺れることなく落ち着き払う榛村(阿部サダヲ)。
生気もない青年が、次第に力強く、何かを得たかのように変貌していく雅也(岡田健史)。
対照的だった二人なのに、次第に榛村に導かれるように雅也の中の何かが共鳴していくようで、ゾクゾクが止まらなくなっていった。そう、ガラス越しに向かい合う二人の影が重なっていくのがその暗示のように。しかしそれは、榛村に"操縦"されていたのだった。雅也も、映画を観ている僕も。「死刑にいたる病」とはをうまくタイトルをつけたもので、ああ自分にはこの人の・・と思い込ませる仕掛けがあったわけか。
そしてその操縦は、ひとりふたりで済むことはなく、しかも、ずっと続いているってのがおぞましい。解けない魔法のような榛村による巧妙な操縦が、今も。それを目の当たりにして、得体のしれないものに出くわした気分の雅也。ああたしか、「凶悪」の山田孝之も、ラストこんな気分だったような。白石監督の仕掛けの妙かな。
なお、ロケ地は主に地元宇都宮。いたるところに既視感ある風景。だけどいませんよ、あんなパン屋さん。でも、いやだなあ、桜の花びらが人の爪に見えるようになったら。事件の真実を求めようとした雅也のように、何かに追い立てられるように、几帳面で高校生に優しく声をかけるパン屋さんがいるんじゃないかと近所を探してしまう衝動が起きるかもしれない。
シリアルキラーファンタジー
原作未読、予告などを見てかなり期待して観ましたが、映画にいまいちのめり込むことが出来ず、心の底から楽しむことが出来なかった。その理由は、おそらく計算され過ぎていたからだと思う。この作品に限った話ではないが、個人的には計算され過ぎた狂気というものはどこか現実味に欠け冷めた目で見てしまう場合が多い。
今作は凶悪のようなリアリティは無く、ファンタジーとしてシリアルキラーを描いた作品だと思う。
そのため、物語としてはよく出来ていて、一応最後まで納得させられる出来栄えにはなっている。特に作品の前半はとても良く出来ていて目が離せない。しかし中盤以降大きな盛り上がりはあまりなく淡々とこの物語の種明かしがされていく。しかも種が明かされれば明かされるほどこの作品の不自然さが目に付いてくる。
その不自然さとはリアリティのあるシリアルキラーとして描こうとしているのにあまりにも計算され過ぎているのだ。計算高い脚本、キャラクターが駄目だとは思わない。例えばソウの一作目とジグソウというキャラはその典型だと思う。しかしそこに映画としての不自然さは感じなかった。それはジグソウには核となる思想があり、その思想も作品を通して観客は理解できるようになっていたからだと思う。
一方で今作の榛村にはそこまで納得できるような思想は感じられなかった。シリアルキラーとしての趣向はあれど、観客を納得させるほどの思想が無いのでジグソウのような納得感があまり感じられなかったように思う。
最後に明かされる仕掛けもアイディアとしては面白いとは思うのだが、今一つ登場人物の行動原理にリアリティがないので、驚きよりも何で?の方が先行してしまい、プロット優先でキャラクターが動いてる感が否めなかった。
細かい部分だが、何気ない大学の風景として映される生徒たちの描写にもちゃんと意味があったのは素直に感心しました。あと役者達の演技は本当に素晴らしかったと思う。
白石監督好きなんだけど、邦画として普通のサイコサスペンスでした。
レイトショーなのにも関わらす、ほぼ満席でした。
白石監督の作品が好きなので、喜ばしい限りです。
最初の1/4までは、どんどん酷い話になるのかなと期待しましたが、そのまま平坦に終わってしまいました。
白石作品に期待するのは、グロ描写ではなく、暴力描写です。
また、我々誰もが持っている暴力性に気づかせて暮れることです。
R指定されないように抑えているのでしょうか?
(もちろん、監督には期待されているものではない、新ことをどんどんやって、良い意味で裏切って欲しいです。)
原作は読んでいませんが、近いのはトマス・ハリスの『羊たちの沈黙』じゃなくて、『レッドドラゴン』でしょう。
『レッドドラゴン』は電話越しに、遠隔地で話が進んでいるはずなのに、後半にかけてどんどん恐怖が増していきます。
本作は緊迫感が感じられませんでした。容疑者捕まってるし、怪しい人たちは主人公よりは弱そうだし、走れば逃げれそうだし、銃も無い。
凶器は文房具とヤットコ位しか出てこない。すでに終わった事件の感想をみんなで言い合っているようです。
岡田健史さん、よくやってました。
阿部サダヲさん、『彼女がその名を知らない鳥たち』ではウザいダメ男役が最高でした。
今回は、普通に良い人に見える人がシリアルキラーと言う役所ですが、普通すぎで本当は何にもしていないのに、異常な承認欲求を満たすために嘘ついているのかと思ってしまいました。
サイコパスなんだから、一見普通なんだけど、どこかに不自然な言動があって、この人気持ち悪いと思わせないと。まあ、これは脚本の問題かもしれませんが。
岩田剛典さん。誰が演じているのかわかりませんでしたが、ミスキャストでは?
無理におどおどしているように見えます。結構、難しい演技が要求うされていますよ。
あと、原作の問題ですが、痣を隠して髪伸ばすって何だよ。太田母斑なら、気にせず露出して生きている人は山ほど居るし、小さい時からコツコツレーザー治療ができるし、カバーマークで綺麗に隠すこともできますよ。最初のころは普通に公園で遊んでたじゃないの。ちゃんとリサーチしたのかな?
面会室の映像は、どこまでが現実かわからなくなるようにしてあったので、全編この調子にすればもっと良かったと思います。
総合すると、邦画で見られる普通程度(偉そうで済みません)の作品でした。
サスペンスとしてなかなか
単純に気色怖い
阿部サダヲがキモチ悪い、気色いサイコキラーを演じていますが。
18歳未満の賢い子供達を手懐け殺害している犯罪者なんだが、殺害した中に成人した女性が一人います。
それは自分の犯行ではないと主人公に訴えて捜査させるのだが、サイコキラーは主人公を自分と同じ存在にしたかったのかどうか。
最後に主人公の彼女が阿部サダヲに共感しているように主人公に迫っていましたが。
阿部サダヲ演じる犯人の掘り下げが薄いので何がいいたいのかが分かりづらい作品ですね。
なかなかエグい作品だった
阿部サダヲ最恐
オープニングからタイトルがでるまでがゾクゾクした。韓国映画みたいにあのままのグロで最後まで突っ走ってくれればよかったのに。
刑務所に入ってしまっているから無理か。
途中で、ん?てのが何回かあった。最後に回収されたけど、すっきりしなかったな。もう一度観たいとか、原作読んでみたいっていう内容の話ではないから、途中で引いてしまったのが残念だった。
何が伝えたかったんだろう、と身も蓋もない感想を持ってしまった。
主役のふたりはよかったけれど、中山美穂と岩田剛典はどうだったんだろう。面白いキャスティングだけど、あんな中山美穂や岩田剛典は誰も見たくないんじゃないかな。
父親役、弁護士役の俳優さん、あまり見かけない方(失礼)だったのがかえってよかった。
傍聴席に阿蘇山大噴火が座ってたのはなんだかなぁ、この作品にこういった遊びは必要ないような気がする。
阿部サダヲ「マザー」のクズ男も良かったけど、今作のシリアルキラーは最恐。人の良さそうな俳優さんがこういう役すると本当に怖い。
上映前の予告編、阿部サダヲ主演の「アイアムまきもと」。英国映画「おみおくりの作法」のリメイクらしい。すごく楽しみ。
白石監督渾身の残虐シーン
死刑にいたるその病に興味なし
この病については 2時間観たところで理解できる類のものではないし、関心持てないし 一般人が理解できる範疇超えてて だから何なの?と言いたくなる。
より激しい グロテスクな映像が
凄い映画ではないと思うし。
ラストの終わり方が ますます難解で
得られたものは 何もありませんでした。
その疫病は伝染する…
阿部サダヲはどちらかというとコミカルな作品のイメーシがあるが、その演技の幅は広い。この作品を見るにあたり昨晩、白石和彌監督の「彼女がその名を知らない鳥たち」観直した。そこでは歪で醜く純粋な無償の愛の体現者を演じたが、本作では最悪のサイコパス、まさに純粋悪として観客を釘付けにすることだろう。
実は本作での榛村/阿部サダヲの登場の比率は少ない。岡田健史演じる雅也がメインとなり話は進んでゆくサイコスリラーなのである。しかし、ラスト近くの阿部サダヲの演技によって、結局この映画は「阿部サダヲのものである」ことを知らしめてしまうのが凄い。恐るべし阿部サダヲ!
演出として特筆すべきは、拘置所の接見室での描写だろう。これがなかなか凝っていた。
接見室のガラス越しに映るシリアルキラー榛村の体の上に雅也の顔が重なり、榛村が雅也を侵食し、取り込むような様は鳥肌が立つ。やがて接見も終わりに近づき、ガラス越しに重なる両者の両手はゆっくり引き離れ、榛村の侵食から開放される雅也。しかしその時にはすでに榛村の病に犯されるのだ。
そしてその病とは…裁かれ死にゆく榛村が自身の分身をこの世に残すというもの。自分の意志を残すべく獄中から巧みに人を絡め取り侵食する最悪の疫病…それが榛村だったのだ。
雅也は一時、本当に取り込まれてしまうかに見えたが、最後にそのからくりに気づき抗い、その思惑を打破してゆく。そしてゆっくりと席巻室のガラスに重なる二人の姿は離れてゆく。雅也は榛村になることはなく榛村は落胆する。
…しかしラスト、更なるどんでん返しが待っている。そこで雅也は榛村の分身は確実にこの世の中に残されていることを知り、驚愕と絶望で作品は終わる。それはもしかしたら他にももっとにもいるかもしれないとさえ思わせる終わり方だ。そう、死刑に至る病は確実に伝染してゆくのだ。その辺詳しくは映画館でぜひ体感して頂くといいだろう。
あと裁判ウォッチャーの阿曽山大噴火が傍聴人のエキストラに紛れて数度登場してるのはご愛嬌w
はあ...凄い。
正直、結末は、どっちなんだろう...の二択なので
驚くって訳ではないのですが...
ゾッとしました。
よく“そう言う人には見えなかった”と言いますが
いやどっかしら違和感あるでしょ、と思っていました。
が、この映画で雅也視点で大和と関わると
自然と大和を信じていたし、雅也は大和にとって特別だったのだと思ってしまっていました。
結果すべて大和にコントロールされていたのだと分かり、
実際に関わったらわたしも騙されるのかもしれない、と
本物のサイコパスの怖さにゾッとしました。
生まれ育った環境が複雑だと
人の顔色を必要以上に伺いコミュニケーションが苦手だったり、
自己肯定感がものすごく低かったりと精神的に不安定になる子が多いなか
ものすごく対人関係をうまく築き、
他人の心理を見透かしコントロールまでできてしまうサイコパスになる人は
どうやってそういう人格になっていくのか...。
大和の成長期が気になりました。
というか改めて言うのもって感じですが
阿部サダヲ、さすがですよね本当、凄い...。
まぁまぁですね
薄い…?
土曜日にやっている情報番組で推していたので急遽見てきました。
阿部サダヲさんは大好きな俳優さんだし、見てみようと。
感想は…
うーーん、色んなところの背景が薄い?
そもそもなんでこんなことになってしまったのか私にはイマイチわかりませんでした。
私の問題なのだろうか…
でも俳優勢は本当に素晴らしかったです。
中山美穂の無駄遣い感はありますけど…
ここからは映画の感想ではないのですが、
隣の席の方が、エンドロールでスマホを取り出して触ってました。
当然眩しいですし、気も散ります。一緒に来ている方も注意することもないし…
いつもこういう場面で注意したらいいのか迷います。
気にしすぎと言われたらそこまでなのかもしれないけど、私はエンドロールまで楽しみたい派なので。
結局、映画のストーリーへのモヤモヤよりも隣のスマホへのモヤモヤが大きくなんとなく残念な帰り道となりました。
背筋が凍るラスト
恐ろしけな雰囲気はいいし怖いんだけど、主人公の行動が納得いかないことが多くて最初は戸惑う。
いくら知り合いだったとしても、20人以上殺した犯人に会いにきて欲しいと言われても自分なら行かないし、そこで一つだけやってない事件があると言われても、自分なら無視するだろう。
実は、小さい頃から犯人に獲物として洗脳?されていて、しかも同じような人間がたくさんいることがクライマックスで明らかにされ、ここが背筋が寒くなるポイントで白眉なのだが、前半はあまり分からないから主人公が犯人の言いなりに動くのが不自然に感じる。
面会のシーンで、主人公と犯人を重ね合わせるシーンが何度も登場する。完全に重ねてみたり、少しずらしてみたり、体だけ重ねたり、何かを暗示するようで不安になる演出はなかなか良かった。
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