余命10年のレビュー・感想・評価
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良かった点、悪かった点
良かった点
主役の小松菜奈さんの
苦しさと悲しさをオーバー過ぎず表現した演技
家族
父親役の重松豊さん
母親役の原日出子さん
姉役の黒木華さん
の主人公を見守るそれぞれの気持ちが分かる演技
友人役の山田裕貴さん、奈緒さん
特に黒木華さんの演技には感動すら覚えた。
悪かった点
相手役を坂口健太郎さんのようなイケメン過ぎる俳優にキャスティングした事。
役と彼の雰囲気に対する違和感が最後まで付きまとった。
(坂口さんファンの皆さんこれは坂口さんに対する悪口ではありません、あくまでもキャスティングした人に対しての言葉ですのであしからず。)
もっと生きたい
事前のあらすじを読んだだけで、既に号泣間違い無しな内容でしたが、想定通りでした。
一番切なくなったのは、和人との最後の思い出旅行を過ごし、別れを告げて(「これ以上、一緒に居ると死ぬのが恐くなる、死ぬ準備をしなきゃ」と・・・)自宅に戻ってきた茉莉が母親に「わたし、もっと生きたい!」と泣きじゃくる場面。強く強く生きてきた茉莉がせっかく生きる意味を見つけたのに・・・と、完全に涙腺崩壊。
そして最後の場面・演出も感動でした。
終活としてビデオカメラの映像・思い出を1つずつ削除していく茉莉。(冒頭の場面で亡くなった方も最後にビデオカメラで思い出の映像を見ていたっけ。)そして最後に観たのが、和人を最初にビデオカメラで撮影した場面で伝えた言葉だった。
「私も”頑張る”から、もう死にたいなんて言わないでください」
これを削除しようとしながらも削除する踏ん切りがつかず(もっと生きたい!と)、そのまま昏睡状態に。そこから和人が最後に会いに来て伝えた言葉が、
「”頑張った”ね、”頑張った”ね」
生ききった茉莉。
ここでの走馬灯の演出では、過去の思い出ではなく、未来を見せていたのが素晴らしかった。短くても完全に生ききった茉莉が未来を想像して亡くなっていったことに救われた気がした。
死のうとしていた和人の生きる希望になった茉莉。茉莉が生きた証となった和人。
茉莉は本としてその証を残し、和人は念願の自分の店名として茉莉を残した。
悲しいけど、短いけど、生ききった、素敵すぎる物語でした。
いいとこそうでないとこ
いいとこ、映像、役者。小松菜奈はほとんどTVドラマに出てない、特に軽いラブコメに出てないのがいい。(関係ないケド最近イチオシだった清原果耶がよせばいいのにラブコメしかも軽めなやつで自分の中のランキング落としてる中、ほぼノーマークだった小松がちょっと上昇。今週舞台挨拶でみた河合優美には勝てないが。)
俺たちの菅波、坂口健太郎も好きなんだけど、今回はスジ的演出的にちょっとムムムな点も。まずアッコから落ちて死ねんじゃろ!それと3年も進展なかったようだけど、早く知った上で二人で考えて行く、という展開を想像してたので、そのほうが良かったんじゃないかと。また演出的には、ロッジから帰る茉莉に追いすがって倒れて立ち直れないって、中島みゆきか!あり得んやじゃろ!!
てなわけて、そこから先、奈緒や黒木華の涙に誘われて泣いてしまったが、どうしても坂口健太郎に乗れず。
藤井道人監督作ではデイアンドナイトとヤクザと家族が好きで、新聞記者と宇宙でいちばん…がダメなワタシ。今回映像は違和感無かったけど、桜ひらひらひらひら。全体には星3つ止まり。
余命10年って長いの短いの?意外と恋愛映画じゃないパラレルワールドを生きている
「全人類から10分ずつ寿命をもらい君の中どうにか埋め込めやしないのかい」
野田洋次郎が歌うこの歌詞に家族や愛する人を失ってしまう者全員が祈るであろう切なる願いがある。
映画「余命10年」はこれまでの余命悲恋お涙頂戴モノとは一線を画す出来である。
①まず余命10年って
私だって平均寿命まであと健康で生きられるのはあと20年あるかないかだ、とつい昨日考えていた。
それって長いの?短いの?
10年って長いように思えて年を取れば取るほどあっという間の月日だ。
70歳を超えた知人曰く「50歳を過ぎたら10年があっという間だから」。
だから思う。人は誰でも余命を生きている。それが長いか短いか、それは人それぞれ。
今作の場合、ヒロインがまだまだ若いということが悲しみを増幅させる。仕事したいし、恋もしたい、結婚もしてみたいし、子どもだって産みたい。そんな未来を夢見る年齢だからこそ、「余命」を言い渡されることで諦めなければならないことを考えるようになる。
「恋はしない」と。
恋をすれば互いに別れが辛くなる。5年後、7年後に死が訪れると思えば今この時も心から楽しめないかもしれない。が、それは同時に恋がしたい、という想いを掻き起こすことにつながった。だから出会ってしまう、ずっと一緒にいたいと思う相手に。
②意外と恋愛映画じゃない
確かに恋をして蜜月を過ごし、成長していく2人を描いてはいるが、そこにどっぷりではない。どちらかと言うと家族の物語に重心が感じられた。
ヒロイン茉莉を取り囲む、お父さん・お母さん・お姉ちゃん。みんな茉莉を優しく見守っている。
特にお姉ちゃん役の黒木華ちゃんが巧い。病気だからって甘やかさない、ドクターとのやり取りを聞いて涙する際もひとりトイレに駆け込んで嗚咽を堪える。
似てない姉妹と家族だけど、家族の普遍性が随所に感じられて、ここはやっぱり藤井道人監督の凄さだよなぁ、としみじみ。
愛する人を失ってしまう喪失の物語は多々あれど、本作では「ただいま〜」と帰ってくる娘の姿、迎えに行こうか?という親父の心配が繰り返し映し出されることで茉莉亡き後のこの家族の心情を思い浮かべることになる。
もう「ただいま」を言って帰る娘はいないのだ、と。
私自身も癌を宣告された時、自分も(痛み)が辛いけど死んでしまった後の家族の痛みを思うといたたまれなかった。(幸い今は寛解して元気にしてます)
③桜の突風と幸せな未来
花の画面から始まり桜の画面に終わる。その中で2人で歩いた桜並木で急な突風に身をすくませるシーンが2度。これは神風?
パラレルワールドがあるのなら本当は2人が結ばれて子供を授かる幸せな未来への道があったのでは?と思わせる。けど、こちら側では茉莉が病を患いカズくんは1人でも強く生きる道を選択する。
姉の結婚式と茉莉の結婚式の2度の結婚シーンが描かれるがどちらもそのカメラの美しいこと!海辺のデートや御徒町の宝石屋、谷中ぎんざの夕暮れ散歩、上野公園の花見などセリフなし回想(?)シーンの光のあたり方が本当に綺麗できれいで泣けてくる。
まとめ
余命幾許もないお涙頂戴映画と思って見にいくとなんか違うから。
そこにあるのは家族の普遍性。生命の有り様だ。
それを揺るぎなく感じさせるのが役者陣の厚い演技力。原日出子よし、松重豊よし、リリー・フランキー何やらせても巧し!奈緒ちゃんや裕貴くんも隣に居そうな友だちや同級生。
でも、間違いなく映画を崇高に仕立て上げてるのが主演、小松菜奈の演技力。黒木華とは別の儚さと芯の強さを感じさせ、強いからこその脆さみたいなものを見事に体現している。
久々に映画で涙が溢れた 小松菜奈可愛い
普段映画で目頭が熱くなることはあっても涙が溢れることはないのだが、この映画を見てる時はちがった
覚えてる涙流したところ
歩道橋で「同窓会行かなきゃよかった」と茉莉
かず君との結婚生活の茉莉の夢
他にも何ヶ所か涙したところがあった
余命10年なら何をしようか
今を大切に生きたい
あと、小松菜奈可愛い
悲しさより苦しさが重なる、茉莉目線が貫かれたドキュメンタリー
余命ものは、時に家族や友人の視点を通じて感傷的に描かれる。しかし本作は、一貫して主人公の茉莉(小松菜奈)目線だ。
そして彼女は、周囲の人間を心配させまいと強がって心を閉ざす。双方向のコミュニケーションを受け入れるのはごく限られた場面で、やり取りがなかなか噛み合わないのがもどかしい。
生きることに諦めているのにやりきれない。言葉とは裏腹な心情を表現する、小松菜奈の得意分野が生かされた独壇場だ。
茉莉中心の作品である一方、近すぎず遠すぎず絶妙な距離感で、様々な人が茉莉の人生と交差する。そしてそれを演じる俳優陣が豪華だ。少し野暮だが、一人ずつ触れていきたい。
茉莉に添い遂げる人生を選択した和人(坂口健太郎)が、一番辛かっただろう。茉莉に翻弄されながらも、最期にようやく心から笑い合えたのだろうか。
寡黙に寄り添う父(松重豊)、娘の悲しみを正面から受け止める母(原日出子)、誰よりも妹を大切に思う姉(黒木華)。茉莉にとって家族との時間が一番心が安らいでいたように感じる。
加えて、茉莉を励まし就業面でもサポートする友人たち(菜緒、山田裕貴)や、和人を後押しし背中で語る店主(リリー・フランキー)の存在も大きい。
全体としては、ドキュメンタリーのように淡々と事実を積み重ねる。2時間で10年を描くのだから当然といえばその通り。終わりが分かっている悲しさというより、繊細な劇伴歌も相まって苦しさが勝る。胸が張り裂けそうで終始涙が止まらない。
終盤"じゃない方"の人生を盛り込んだからこそ、"今"と向き合った茉莉の真摯な生き方が際立つ。どんな10年を切り取っても胸を張れる、そんな生活を送りたい。
↓
3/23追記
感情を表に出さない印象が強かった茉莉の心境変化に注目して2回目の鑑賞。特に印象に残った場面三選
★見舞った和人の言葉を静かに聞き入り憤る場面
瞬きもしない表現力に圧倒された。語気を荒げないことで、希望を失った和人への同情も感じさせる
★和人へ少しずつ心を開いていく居酒屋の場面
病室での一言に対する気まずさから表情に困っていた前半とは一変、和人の勘違いに思わず笑いを堪えきれない。茉莉が見せた取り繕わない初めての笑顔に救われた一方、真実を伝えられない悲しさも垣間見えた
★生きることへの執着を家族にぶつける場面
和人に別れを告げ吹っ切れたと思ったところでの不意打ち。打ち明けるにつれ高揚する茉莉を受け止めようとする両親には、身につまされる思いがした。
小松菜奈はやっぱり最高の俳優。以上です。
煽りすぎ
実話に基づく話ということで故人のご冥福をお祈り申し上げる。
以下はあくまで映画の感想。
観終えての感想は、カズ君カスじゃね?というものだった。
不治の病と打ち明けられてあっさり別れてしまう。
ラストにとって付けたようなフォローはあったが、逆に鼻白んだ。
出版された小説を手に、このカズ君って俺だよとご満悦の光景が目に浮かぶ。
心の汚れた爺の見解だろうか。
余命1ヶ月の花嫁と終始比較してみていたが、雲泥の差と感じた。
では、全くダメだったのかというと途中までは結構泣けた。
泣くつもり満々で足を運んだので、冒頭でまず涙。
その後も主人公2人よりも姉や友人、居酒屋のマスターに目頭が熱くなった。
しかし、思ったほどではなく、泣ける泣けると煽りすぎでは?
白紙の状態で臨めたならもう少し見方は変わっていたかもしれない。
いずれにしろ、原作には興味が湧いたので読んでみたい。
原作とは変更されてるところが多かった。
原作ではコスプレや漫画を書くことが茉莉の生きがいになっていたが、本作では小説になっていた。また、和人も茶屋の息子ではなく会社の社長の息子という立ち位置だった。
原作に慣れてしまっていると、少し違和感を感じる方もいるかもしれないが、別物としてみればやはり命の尊さを感じる良い作品なのではないかと思う。
1番最後には小坂流加さんの人生を映画にしたものとわかる一文が載っており、壮絶な人生を送ってきたのだと感じることが出来た。
簡単にまとめると原作とは全く別物だと考えてみることをおすすめします!
掛け替えのない10年
命と誠実に向き合う特別な2時間。
余命を受け入れ生きる小松菜奈さん演じる茉莉が色々な場面で見せる表情全てに感情が揺れました。
死にたくないと思わない為に、もっと生きたいと思わない為に、大切な人との関係にブレーキをかける茉莉が決めた生き方。どれだけの覚悟が必要だったか。
藤井道人監督作品の中でも特に好きです。挑戦的な作品も好きですが、純粋に生きようとする人を丁寧に描く本作の監督の眼差しがとても好きです。
終盤、茉莉そして原作者の小坂流加さんが叶えることが出来なかった未来が描かれます。スタッフの流加さんへの想いを感じた温かいシーンでした。
藤井監督と小松菜奈さん坂口健太郎さんのキャリアの中でも特別な輝きを放つ意味のある作品だと感じました。
いくつもの場面で感情が刺激され途中手持ちのティッシュが切れる非常事態に。
余命10年(鑑賞した方に読んで貰いたいです。
まずは、作者の小坂流加様突然のご病気でお亡くなりになった事この作品を鑑賞してから知りました。ご冥福をお祈りします。
私は今回映画化が決定した時に小説を買い、敢えてラストのみを残して今日の公開日当日に鑑賞致しました。率直な感想として、原作とは異なる内容が多くありました。ですが、上手く話が繋がり茉莉の残りの3年程からのシーン以降は、ずっと涙が止まりませんでした。
まずは、キャストについてです。今作の主役である茉莉を演じた小松菜奈さん。菜奈さんの作品は菅田将暉と出た「糸」以来でしたが、変わらず美しく少しでも長くそして生きていたいと言う自分の運命に抗おうとするシーンには、鳥肌が止まりませんでした。素晴らしかったです。特に私は、家に戻りお母さんに今までの苦しい気持ちをぶつける所は、大泣きでした。
真部和人役の坂口健太郎さん。和人は、小説とは異なり家元の話はなく、家族とは疎遠、げんと言う居酒屋で1人立ちのためにバイトからの自分のお店を持つようになるという少し頭に(?)が付きましたが、一つ一つのシーンに和人のどんどん成長していくのが伝わり坂口さんの表現は凄く上手でした。
他のキャストの方々も想像通りで文句は無しでした。沙苗役の奈緒さんとのシーンがもう少し欲しいと思いました。沙苗との電話の所欲しかったなぁ〜と思いましたね笑タケは、うるさいし美幸も想像通りでした笑
監督についてです。「ヤクザと家族」という素晴らしい作品を作り上げた藤井道人監督のカメラワークと茉莉の病気に戦う姿和人の成長していく姿そして作者に捧げる実話を元にしているからこその映像の難しさなどを感じました。この監督さんの今後の作品を楽しみたいです。
長々と感想を言いましたが、とやかく言わずに映画館に行きこの素晴らしい映像と四季折々に変わる全てを楽しんで泣いてください。ハンカチ必須 マスクの変えも必要となります。是非皆さん映画館で楽しんでください。小説を見てから見るも良し初見で見るも良しです。そしてRADWIMPSのうるうびと やばいですので是非
追記
DVD&Blu-ray好評発売中 サブスクでも随時配信中です。アマプラでもう1回観ようと思ってます。
全ての桜は美しい。
素人の特権は、しがらみ無しのぶっちゃけ感想を、好き勝手にほざける事です。と言う事で、無茶苦茶ぶっちゃけますw
まずですよ。藤井道人さんの監督作品がですよ。実は、今一つ好きじゃありません。画力の高さに比して、脚本の現実感の緩さと言うか、煮詰めの甘さと言うか、登場する人々の幼稚さと言うか。いや、全部w
と。オチになる「事実の暴露」の既視感。ありふれ感。時として、そりゃあり得ないにも程があるにゃん!と言う置いてけぼり感。なもんで、シラーってなってしまうんです。でも、評論家は褒めちぎるし、アカデミー賞まで獲っちゃうと言うw
桃井かおりさん&清原伽耶さん共演映画が臨界点。Day&Night、新聞記者、ヤクザと家族の三作は、個人的には「無し」。
兎に角、脚本です。画力の高さはピカイチなだけに、シナリオさえしっかりしてればと。それだけが口惜しく。「監督・脚本=藤井道人」じゃなく、「監督=藤井道人」の作品が見たかった。
と言う事で、これには期待してました。ものすごく。
予告でも見せてくれたシーンの数々の画力はさすがです。文句の付けようの無い美しさです。
居酒屋での同窓会のシーン。カメラは「若者たち」を画面下端に据え、天井を画面上側に映します。レンズの中心が向いているのは「虚」です。
茉莉と和人が意思疎通する辺りから画角が変わって行き、2人の心理の変化を象徴して行きます。こんな心象表現とか大好き。
砂浜を海に向かって歩く4人。ドローンがゆっくりと高度を上げて行きながらも、海の奥行と砂浜までの距離を明確にしていく画面配置。あー、これは「これから迎えて行くであろう時の流れ」の映像表現やなぁ。とか感じさせてくれます。
半裸で鏡に向かう茉莉。その向こうのガラス窓の外には雨垂れ。茉莉の頬に零れ落ちる涙。と言う対比。もうね、拍手して良いですか?拍手したくなりますがな。美しくて哀しいシーンです。
茉莉の車いすが花の中に佇む。夜桜の中で花弁が二人を囃して行きます。和人の横顔が桜を見上げます。はいはい、このテーマ性のある流れだけでもノックアウトでーす。
つながれた二人の手が西日を隠しつつ遠ざかろうとします。「日の終わり」を無くしてしまうかの様に。この時を永遠にと願う茉莉のココロの映像表現でしょうか。素敵過ぎます。
橋をくぐる遊覧船を追い越して、夜空に打ち上げられる花火に向かっていくドローンの映像。花火に、はしゃぐ心情を見事に表現しています。
などなどなど。
その画力・映像表現力の素晴らしさには感嘆するしかありませんでした。
ベタでありふれた短命モノですが、コテコテ演出に走らず、御涙頂戴なセリフも無く、クールな画力で美しさ追求です。藤井道人さんの真骨頂発揮で、ボロボロには泣けなかったけど、個人的には満足でした。
結論。監督=藤井道人で、もう数本撮って欲しいです!
ーーーー
3/6 追記
endingの解釈ですが、和人の表情に悲壮感は無く、電話(相手はタケル)の声も軽い。花束は「お祝い」の花束にも見えます。
誰かの、何かの、小さなお祝いの場に参加するのか。きっと祝う相手はタケルです。
それとも。
上京組で集まる約束でもしたのか。
突然の風が和人に桜の花びらを吹き付けます。茉莉との、あの晩の様に。
そうだ。きっと。
茉莉が、今、ここにいたならば。
はしゃぐ様に言葉を交わしながら。
この桜の中を歩き
約束した場所に向かっていただろう。
的な感じでしょうか。
藤井道人作品で、このラストがいちばん好き。
記録、記憶、証
20歳の時に肺動脈性肺高血圧症を発症し闘病の中で自身の病気の10年生存率が殆どないことを知り、恋愛はしないと決めた女性が、中学校の同窓会で10年ぶりに出会った男性と惹かれあう様になっていくストーリー。
三島を離れ東京で暮らしていた同級生は3人という縁もあり、3人が交流していく中で、そういう流れになっていく展開で、そういう背景とか病名は別として、どこかでみたことがある様な話という印象がついてまわる。
この様な境遇で恋愛を避けてその後の時間を過ごしたって、誰も責められないし、それ以外のところでも彼女は決して後ろ向きだったり悲観的に生きている感じはなかったし…。
病気のことを誰にも話さず周囲の人達と過ごして来た主人公が執筆した際の沙苗のリアクションは胸アツだったし、その後も悪くは無いのだけれど、予定調和な感じがしてそれ程は響かず。
俳優陣も素晴らしいし、とても良かったとは思うけれど…自分はどうも擦れ過ぎなのかな。
【“夢なき僕は笑顔の君に、生きろ!と叱咤激励された。彼女が不治の病を抱えている事も知らずして。”小松菜奈さん演じる茉莉の、募る恋心を抑えようとする姿が切ない。後半は歔欷を堪えるのが難しき作品。】
ー 2011年から物語は始まる。不治の病と闘っていた茉莉は、同じ病室の幼き子を持つ女性が窓の外に桜舞う中”卒業式は無理だ、と言われたけれど”と嬉しそうに語り合っている。
だが、女性は亡くなってしまう。
葬儀場の隅に参列した茉莉は泣きじゃくる女性の夫の姿をぼんやりと見ている・・。-
◆感想 ー 印象的なシーンは数々あれど・・-
・四季の風景、春は桜、夏は海、冬は舞い散る雪を効果的に映し入れながら、哀しき物語は進む。
特に、随所で映される、桜咲く風景の使い方は絶妙である。
・茉莉が、中学の同窓会で会った覚えなき和人との距離を徐々に縮めていくシーン。
- 父との齟齬により、生きる意味を見失っていた覇気なき、和人。一方、茉莉も
”生きる事に執着すると人を傷つけてしまうから恋はしない”
と決めてはいたが、徐々に心優しき和人に惹かれて行く。
茉莉の悩みながらも恋心を抑える姿、和人の茉莉の本心が分からず混乱する姿を、
ー夏の夜祭で茉莉と手を繋ごうとするも、スルッと手を解かれてしまう・・。-
小松菜奈さんと、坂口健太郎さんが流石の演技で魅せている。
■茉莉と和人を心配し、陰ながら支える人々の描かれ方も良い。
1.茉莉の両親(口数少ないが支える父(松重豊さん)。明るいが常に茉莉を支える母(原日出子さん)
2.最新の医療施設を紹介したり、あれこれと世話をする姉(黒木華さん)
3.茉莉の友人、出版社に勤める沙苗(奈緒さん)は、茉莉の文才を知っており、自分が勤める出版社を紹介する。他にも茉莉の隊員を祝う仲間達(三浦透子さん・・豪華過ぎるキャスティングだろう・・。)
4.和人の友人、タケル(山田祐貴さん)は皆のリーダー格で、精気のない和人を心配し、就職先を世話する。
5.和人の就職先の主、無口な居酒屋を営むげんさん(リリー・フランキーさん:この多才な方がスクリーンに映るだけで、もう安心である。)
- 皆が二人を心配する善人である。茉莉と和人の人柄であろう。-
・”カズ君”と茉莉から呼んで貰えるようになった和人だが、茉莉の態度は上記に記した理由により、煮え切らない。(・・ように和人には見える)。
- 彼が、茉莉がいつも降りる駅で、彼女を探し漸く抱きしめ、キチンと”好きだ”と言うシーン。
げんさんの店で働くようになり、顔付もしっかりして来た和人。
和人の胸に、素直に顔を埋める茉莉。
二人の心が、漸く一つになった佳きシーンである。ー
・その後、二人は急速に距離を縮める・・。スノーボードに二人で行って楽しそうに遊んだ後、和人が差し出した白い箱に入った婚約指輪が、雪上の白と重なり、一瞬無くなる。
そして、茉莉が言った”格好悪いから、受け取らない!”と笑いながら言うシーン。
その夜、二人は結ばれる。深夜、風呂で一人背を丸めて泣く茉莉。
ー あれは、茉莉の嬉し涙だったのだろうと私は解釈した。
早朝、独りロッジを出る茉莉。そして、気付いて追いかけて来た和人に言った哀しき言葉。
”カズ君は、私の病気が治ると思っているけれど、私の病気は治らないんだよ・・”ー
・家に戻り、母が作るポトフを見ながら、自分より小さき母の肩に頭を乗せ涙する茉莉。そして滂沱の涙を流しながら言った言葉。
”結婚したい。もっといろんな所に行きたい・・。生きたいよ!”
”もっと泣いて良いんだよ・・”と母は優しく言い、その言葉を涙を流しながら聞く父の姿。
- このシーンを見て、それまで堪えて堪えて来た、私の涙腺は崩壊した・・。-
・時は流れ、茉莉は再び病院に入院している。窓の外では桜が咲き誇っている。
- 茉莉を演じる小松菜奈さんの顔が、物凄く小さくなっている・・。-
<和人が独立した際に、沙苗が記念品として持ってきた茉莉の”余命10年”の製本前の原稿。
その文章には和人への数々の想いが綴られていた。
”余命10年”が製本され、本屋の店頭に並んだ際に手を取った和人の表情。
そして、オープニングと同じく、桜散るシーンでラストを迎える。
今作は、日々、健康で生きている事の有難さを思い出させてくれた作品。
そして、病院のベッドで茉莉がビデオに撮った思い出のシーンを過去に遡って震える指で、一つ一つ消去して行くシーンにも涙した作品。
劇中に流れるRADWIMPSの楽曲群も良く、エンドロールで流れる”うるうびと”の詩が心に響いた。 ー あの歌詞は、初期の彼らの代表曲「オーダーメイド」を想起させる。-
今作は、今や邦画監督を代表する一人になった藤井監督が、四季の映像を効果的に使った、切なくも愛しきラヴ・ストーリーである。>
10年という数字
原作未読で鑑賞しました。
10年という数字が彼、彼女にとって捉え方の全く違う10年というものを表している作品でした。
タイムリミットの迫っている茉莉にとって、終わりの10年が始まっていき、和人にとっては茉莉や仲間に出会って進んでいく10年が始まっていきます。
愛するが故の2人の行動と、終わりの迫っている茉莉の焦りがどんどん出てきて後半は5分に1回ペースで
胸が熱くなり、涙が止まらなくなりました。
走馬灯のシーンは茉莉がどれだけ生きていたかったか、生きて何をしたかったのかが綺麗な映像・音楽で描かれていて気づいたら涙が出ていました。
特に茉莉の父を演じていた、松重豊さんの込み上げてくる涙に心がやられました。
また、前半の出会いの部分や年月の経過は
緩急が上手く使われていて壮大な音楽とも兼ね合いもあり
後半では緩やかな死へと近づく様子を丁寧に描いていて全体的に飽きず観ることが出来ました。
彼女は最後の10年を生きる
まるで、人生の始まりみたいに
このフレーズが頭から離れない
モノサシ(定規)の話なのかな
彼女には余命を測るモノサシがある
彼も測られた
彼女は永遠(未来)を測ろうとしていた
いつからか彼は彼女が未来を測れるように手を添えていた
彼女は届く範囲の数字(景色)を鮮明に測った
彼には二人のモノサシが残っていた
小松菜奈さんの代表作(レベチ)
2回目鑑賞してこの映画には魔法があると思いました😃
まつりロスになる😢
茉莉ロウソク🕯️の火が和人のロウソク🕯️に灯った🔥お話
茉莉の死闘と和人の覚悟
彼女の儚さから彼の夢が生まれた
ハンカチをお忘れなく。
新聞記者やヤクザと家族の監督と知り、ますます観たくなって初日に鑑賞。
小松菜奈さん、坂口健太郎さんら役者さんの演技に引き込まれ、話の中盤から涙が止まらず。
映像も綺麗。
言葉はなくとも表情だけでものすごく伝わるものがあり、心に刺さる。
お母さんに「生きたい!」と強い思いを伝えるシーン。
最後に主人公が夢を見るシーン。
とても悲しくて辛かった。
原作を読んでみたい。
生命の尊さを映像美と壮大な音楽で魅せる
マツリは重病を患い、カズは自殺を図った。生きたくて苦しんでいた者と死にたくて苦しんでいた者が相容れることで互いが生きてて良かったと思えた人生になった。桜吹雪の映像や壮大な音楽がよりいっそう生命を感じさせる作品だった。もし身の回りの人が余命宣告されたら私は何を思うのだろうか。
全80件中、61~80件目を表示