「深さと美しさがある志が高い映画でした」余命10年 komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
深さと美しさがある志が高い映画でした
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(ネタバレですので鑑賞後に読んで下さい)
正直言うと、このような病気感動ストーリーはそこまで好きな訳ではありません。
興行収入的にもこのような題材は成功しやすく、安易な作りの作品も(汚く言えば観客を舐めた作品も)数多かったと思われるからです。
しかしこの映画『余命10年』は、初っ端の数シーンからその志の高さが分かる素晴らしい作品だったと思われました。
この映画では、普通であれば短期間に撮り終えるために作りにする季節感を、リアルに1年かけて映像に捉えています。
その四季の美しさはしっかりと映画を芳醇にしていたと思われます。
俳優陣の演技も、主人公の高林茉莉役の小松菜奈さんを初めとして皆さん素晴らしかったと思われます。
個人的には茉莉の姉(桔梗)役の黒木華さんが特に印象的でした。
1点だけ、茉莉の恋人の真部和人(坂口健太郎さん)が終盤のスノーボードに行った帰りで茉莉を追いかけなかったところは引っ掛かりがありましたが、そんなことはかき消されるくらいに素晴らしい映画になっているとは思われました。
今作の藤井道人監督はやはり才能ある監督なんだな、と僭越ながら改めて感じられる作品でもありました。
そしてここまで志が高く作品が出来たのも、実際に亡くなっている原作者の小坂流加さんの存在が大きかったのだとも思われました。
小坂流加さんの人生のリアリティに匹敵するためには、キャストスタッフ全体でこの作品レベルまで挑む必要があったのだろうと鑑賞後に思われました。
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