劇場公開日 2022年3月4日

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「自分でも引くほと泣いた」余命10年 villageさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自分でも引くほと泣いた

2022年12月18日
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いわゆる「余命モノ」であることをタイトルでドーンと示している映画。この手の泣かせにかかるお涙頂戴系は、個人的にはあまり好みではない。生きたいのに生きられないなんて、そりゃ分かりやすく悲しいに決まってるわけで、そんなストーリーをわざわざ商業映画にするとなると、一歩やり方を間違えればチープでシラケたものになってしまうからだ。
たまたま好きな俳優が出ていて、Amazonプライム無料会員でなければ観ていなかったと思う。

でも、鑑賞した結果、自分でも驚くほど(引くくらい)泣いた。
何でこんなに泣いたのか、よく分からないけれど、まずは演出が凄く良かったんだと思う。あまり説明過多にならず、四季を彩った映像の美しさと、ギュッと凝縮した言葉のやり取りが特徴的だった。他の人のレビューコメントに、「10代の頃なら多分泣けたけど今はそれほど…」という意見があったけど、個人的にはむしろ大人になったからこそ泣ける映画じゃないかという気がした。家族の大切さや色んな視点で見られる年齢になってこそ、家族のシーンも一層泣けた。
あと、脇を固める俳優達の演技が素晴らしかった。松重豊やリリー・フランキーは、台詞が少なくても哀愁や優しさが滲み出ていて、それだけでまた泣けた。もちろん主演の2人も期待どおりだった。
予定調和なストーリーで驚くような展開はないけれど、登場人物1人1人の思いを噛み締められる、上質な映画だと思う。

village