「観客の想定を超える展開」BECKY ベッキー みっくさんの映画レビュー(感想・評価)
観客の想定を超える展開
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必要以上にバイオレンス描写を見せる映画はある。
「キック・アス」みたいに。
で本作。
前半はそんな感じ。
違うのはラスト。
主人公と敵ボスとの戦いのシーン。
人質になってた母子が逃げ出した&敵大男が戦線離脱したので、
「定番」な展開としては、
ベッキーと敵ボスが戦う
負けそうになった時、父親の婚約者が助けに来る
それでも負けそうになった時、敵大男が助けに来て、敵ボスを倒す
警察が来ると、敵大男を逃がす
ベッキーと婚約者は仲直りをする
という展開。
だが、本作はあえてこの「定番」を覆してみせる。
婚約者は助けにこない&仲直りしない
敵大男を射殺する
と。
これは、敵大男との「俺と違い、まだ引き返せる」という会話が「伏線」になっている。
つまり、「暴力」という一線を超えて「引き返せない領域」に来た、ということ。
そしてそれはオープニングで示唆されている。
ベッキーと敵ボスを対比させて描いている。
これはこの2人が表裏一体であることを示唆したものだろう。
となれば、敵ボスも敵大男もベッキーが殺す必要があったし、
婚約者と仲直りする必要もない。
ラストのカウンセラーの「暴力性が心配」というのが「ネタバレ」だろう。
そういう意味で、単なるアクション、単なる過剰な暴力表現の作品とは違う、深いテーマを持つ作品である。
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