「戦車が砲撃で破壊される映像は迫力満点。ロシアの国威発揚映画だが、皮肉にも今侵略されて闘っているウクライナ兵への賛歌になったか」1941 モスクワ攻防戦80年目の真実 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
戦車が砲撃で破壊される映像は迫力満点。ロシアの国威発揚映画だが、皮肉にも今侵略されて闘っているウクライナ兵への賛歌になったか
バディム・シメリェフ 監督による2020年製作(142分)ロシア映画。
原題:The Last Frontier、配給:アルバトロス・フィルム。
独ソ戦のモスクワ攻防戦において、戦いに派遣された20歳前後の若者を中心とした約3,500人の士官候補生たち(訓練途中)の殆どが死んでいく物語が描かれている。
主人公は、問題児ながら凄腕の砲撃兵(アルチョム・グビン)。彼の恋人で、前線での看護師を演ずるリュボフ・コンスタンティノワが何と言っても可憐で、自ら彼にキス責めをする主体性・積極性もgood。彼女の幼馴染で主人公の恋のライバルで親友になっていく歩兵(イゴール・ユディン)も、重要な役回りだが、2500/3500名死亡ということで、当然ながら3名とも死亡してしまう。
戦争によって引き裂かれる恋愛、友情、夫婦愛、家族愛、さらに母子愛も丁寧に描かれていて、日本の戦争映画もみたいと思っていたが、泣かせるんだとの強い意志ゆえか、そのパワーとしつこさは日本映画以上か。
戦争シーン、激しい空爆を受けるところ、特にドイツ戦車を砲撃攻撃で破壊するシーンの迫力は、なかなかであった。息子を亡くした女性医師の1人が、前途ある若者達を全員殺すのと指揮官に迫るシーンは意外であったが、映画全体としては祖国を守るために死んでいった英雄達を英雄視した国威発揚様のロシア映画ではあった。ただ皮肉にも、一方的に侵略され今まさに戦っているウクライナ兵達に捧げられた映画とも思えてしまった。
監督バディム・シメリェフ、製作イゴール・ウゴルニコフ、バディム・ザドロジニ、脚本バディム・シメリェフ 、イゴール・ウゴルニコフ、撮影アンドレイ・ガーキン、音楽ユーリ・ポテイェンコ。
出演
アルチョム・グビン、リュボフ・コンスタンティノワ、イゴール・ユディン、アレクセイ・バルデュコフ、エフゲニー・ディアトロフ、セルゲイ・ベズルコフ、ロマン・マディアノフ、エカテリーナ・レドニコワ、セルゲイ・ボンダルチュク、グラム・バブリシビリ、ドミトリー・ソロムキン、ダリア・ウルスルヤク、ダニール・スピバコフスキー。