劇場公開日 2021年11月12日

  • 予告編を見る

「あの世に行ったら信玄に国を大きくしたことを褒めてやろう。そして、信繁と三人で語り合おう。」信虎 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0あの世に行ったら信玄に国を大きくしたことを褒めてやろう。そして、信繁と三人で語り合おう。

2021年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭、甲陽軍鑑は偽書なのか?と問う。その姿勢には好感を持つ。同時期ではなく、やや遅れて、しかも口述をもとに纏められた書物は、編纂者の意図が大きく反映され、誰かを持ち上げるか貶めるかの目的が色濃い。この映画も、そんな人物評価(跡部や長坂に批判的)だった。
で、主人公の無人斎道有こと、信虎。いままで正直、メインを張るようなキャラではない印象だった。それは地元の意向で記録映画的に残しておきたかったのだろうと推察する。だから、どうしても、物語の進行が地味だった。戦国時代に興味がなければ退屈な内容だった。ただ、細部にこだわりが見える点には頭が下がる。登場人物は脇役に至るまで丁寧に演出してるし、衣装や甲冑もいい。何より、信虎の乗っていた馬がサラブレットではなく、ポニー(というのかな?例の小さな)だったのが、見栄えではなく史実にこだわりが見えた。
これまでのドラマや映画ではたいてい、追放された、で終わっていた扱いだったので忘れていたが、81歳まで生きたとはな。息子信廉の描いた肖像画そのものの、アクの強い信虎だった。

栗太郎