「都会コンプレックス同士で連合し、郷土愛を高めていく」翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて てつさんの映画レビュー(感想・評価)
都会コンプレックス同士で連合し、郷土愛を高めていく
前作は、東京コンプレックスを抱える関東圏県同士が張り合い続けるおかしさと、出身有名人自慢が入り乱れたわかり難さが印象に残っているけれど、本作では、前作より早々と「だ」を接頭辞とする蔑称を使いながらも、関東圏でも埼玉県と千葉県とが連合しており、近畿圏に行っても、覇権を握る京阪神圏に対抗して周辺県が連合し、埼玉県代表の麗が滋賀県とのハイブリッドとして闘いに加わり、後に兄弟だとわかる魁たちと手を結んでいくところや出身地有名人対決もわかり易かった。神戸市長を演じている藤原紀香氏が和歌山県のフルーツ大使だと明かして、出身地偽装疑惑と騒ぎになるのは、本人の提案によるという。他にも多く出身地俳優が考慮されていたようである。現代版で、滋賀県出身の直子は麗たちの闘いを応援するのだけれど、ハイブリッドとしての依希は、麗とは対応していない。たこ焼きを詰め込んだら大阪弁しか話せなくなるというのはよくわからなかったし、闘いのために鮒寿司を投げつけるというのは良くないと思ったけれど、犠牲になった「とび太」というキャラクター人形たちを労るところ、通天閣に対抗して行田タワーを持ち出すところ、浦和と大宮との綱引き対決で勝敗を決めない工夫、発端であった湖づくりの水上公園での辻褄合わせ、武蔵野線開通まで各鉄道会社同士の結びつき、近年の埼玉県の人口増加傾向と渋沢栄一ブームを取り上げ、エンディングソングで埼玉愛が訴えかけられ、満足できた。日本大阪化計画というと、地域政党が全国展開を目論んでいるようで、やはり阻止してほしいところでもある。日本埼玉化計画とは、平和を広げるということになっているが、地理的に大都市からほど近いという条件が、どこでも当て嵌まるわけではないけれど、極端な過疎地でも、都会コンプレックスよりも、所与の条件のなかで、居心地の良さや誇りをみいだすことが大事だということなのであろう。