「多くの方に見てほしい映画。今週(大阪市は2週間遅れ)本命かな。」プリテンダーズ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
多くの方に見てほしい映画。今週(大阪市は2週間遅れ)本命かな。
今年158本目(合計222本目)。
今週は2日で8本も観ました。最初の「アイの歌声を聞かせて」がとても良かったのですが、前評判でもこの映画は着目していました。ただ、大阪市では2週間遅れで、まだ名前も知られていない監督の方なのか、かなりのミニシアター(ナナゲイ)でしかやっていないという状況のため、本映画がとても気になり、他を排してでも見に行きました。結果、正解だったと思います。
内容としては多くの方が書いていらっしゃる通り、(元)女子高生たちが「プリテンダーズ」をたちあげ、そこにあることないこと動画サイト(youtubeなどを想定している?)に投げたら、その虚偽がバレてしまいしっぺ返しを食らってしまい、彼女なりに(高校3年生のはずなので、18歳か17歳?)考えて「何をすべきなのか」を考えていく、という趣旨になります。
この類型の映画(SNSでバズる→不正が発覚する)は最近もありましたが(最近だと、「メインストリーム」)、本映画はこの「発覚したあと、迷惑をかけた方たちに何をしていくべきなのか」という点についてかなり強烈な問題提起と解決策が示されています。それ(映画内で描かれているもの)が最適解かどうかはわかりません(それは、神しかわかりません)。ただ、大人でもなく子供でもなく、高校3年生(相当)の子が考える内容としては妥当だし、しかも、主人公の心の成長が感じられるすがすがしい内容です。
多少、性表現などについて不穏当な表現がある(この映画、G指定です)ものの、それをおしのけてもかなりの高評価になるのでは…と思えます。
監督が名の知られていない方とのことで、公開されている映画館がとても少ないのですが、このように「内容的に考えさせる映画」がどんどん公開されることを願ってやまないし、そのような新人監督さんを受けいれてくださるミニシアターさんの存在にも感謝です。
下記の内容を考慮した上で、5.0を振り超える7.6(基礎点5.0+3.0 - 0.2 - 0.2)という評価にしました(5.0を超えることはできないので、便宜上の5.0扱い)。
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(加点3.0) 上記に書いてあることが全てで、とても考えさせる内容です。あまり名前など知られていないとのことなので、確かに不自然な点はあります(描写が途中途中、取り直しをしたのか接続が不自然なところなど)。一方で、「SNSがバズる→不正が発覚する」という趣旨の映画は、ここ1~2年で多く出ており、何番煎じになるの?という部分もあります。それは覚悟されていたと思います。しかしこの映画は、「そのあと、彼女たちがどのように何をすべきか考える」という部分の描写がとても練られており、非常に良質な映画だな、と思いました。
なお、「プリテンダーズ」(pretender(s))には「(特定の地位などを)(証拠もなく)主張するもの」のほか「偽善者」という意味があります(参考:ジーニアス大英和)。この意味は2つ含まれているのかな、と思います。
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(減点0.2) 序盤に、彼女たちが「バズるため」に、白杖をついて歩くシーン(それを助けてもらうシーン)があります。しかし、道路交通法上、白杖については、
・ 視覚障害をお持ちの方 → 義務
・ その他、政令で定める障がいをお持ちの方(聴覚障害、肢体不自由など) → 所持してもよい
・ それ以外 → 使用してはならない
…のであり(道路交通法)、本条文は罰則規定はありませんが、趣旨は「主に視覚障害をお持ちの方の交通アクセス権の保障」と考えるのが妥当であり(みんながみんな、それを所持して歩いたら、交通秩序が大混乱する)、また白杖自体はネット通販でも買えるものです。換言すれば、いたずらをしようと思えば(リアルでも)できるものであり、この点についての注意書きが最後になかったのは残念でした(罰則規定はなくても、法の趣旨を考えると真似をするのは妥当とは言えない)。
(減点0.2) 「プリテンダーズ」の虚偽がバレると、視聴者からの「仕返し」が始まります。しかし、これは私刑(わたくしけい)以外の何物でもありません。そして、動画配信者と視聴者の間には何らの関係もありません(たとえば、課金して見ているなどという事情なら、やや異なる)。それに憤慨するのは自由ですが、私刑はいかなる場合でも許されるのではなく、それ単独でも刑法や民法(ほか、行政法規一般)に触れるようであれば、「個別に」罰せられるものです(かつ、それを想定するような不穏当な仕返しを行っている)。
事実、実世界においても「何ら関係のない第三者が勝手に憤慨し勝手な正義感で無関係であるのに突如炎上させて仕返しをする」というのは問題視されているところであり(直接の被害者が民法上損害賠償を求めるのは理解できても、何ら関係のない人は、そもそも何の訴えの権利も利益もない)、この点についてはリアルでも問題視されているところであり、この点に関しても、問題提起がない(このようなことは許されない)というのは、やや描写不足には映りました。
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