「まだ『クライ・マッチョ』を見ていないのに情感を使い切ってしまいました」スティルウォーター グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
まだ『クライ・マッチョ』を見ていないのに情感を使い切ってしまいました
私にとっては『マンチェスター・バイ・ザ・シー』と同じくらいに心を揺さぶられるヒューマンドラマでした。まだ『クライ・マッチョ』を見ていないのにこんなに情感を使ってしまって大丈夫⁈と心配になるほどです。
(以下、ストーリーには触れませんが、ネタバレ嫌いな方はご注意❗️)
父「人生は冷酷だ」
娘「ここは昔と少しも変わらないわね」
父「俺にはすべてが違って見える」
それまで信頼関係を失っていた父娘は最後になっても噛み合わない。
『釈放』という共通の目標(いやらしい言い方をすれば、表面的な利害関係の一致)を達成した後の平穏なはずの日常には、安定よりもぎこちなさのほうが優るという皮肉。
父がこれまでの人生で一番充実していたのは、娘の無実を晴らすための活動が停滞し、当てもなく準備期間としてアルバイトに精を出していた〝かりそめの日常〟の期間。
平和な日常の平凡なルーティン(同居人の娘の送り迎えなど)こそが、何よりの生き甲斐と充足感をもたらすのだ、ということがこんなにも分かりやすく描かれていることにビックリです。
フランスの、どちらかというと知的な階級に属する人たちのアメリカ観などもユーモアにまぶして描かれていてクスっと笑えます。
色々な要素が過度でなく、それでいて分かりやすく、かつ深く沁みてくる。
ヒューマンドラマとしては少し異例と思えるような希望の無さも、実際の人生においての想定としては、むしろ説得力があると思います。
第一印象としてこの映画をどう思うかは人それぞれだと思いますが、しばらく噛み締めたくなるという意味では少しでも多くの方に見ていただきたい映画です。
今晩は
私と似た感想ですね。
今日観た映画は「今作」で一気にヤラレて、「クライ・マッチョ」で、ヤラレテ、「アイム・ユア・マン」でヤラレテ・・、満足しました。
(普段は、許容量がないので、多くても二本なんですが・・。今週は大作が多すぎです・・。けれど、総て面白き作品でした。)
厚みとしては今作が一番だったかなあ。(個人的な意見です)。
微笑みが一切ないマット・デイモンの演技。善性溢れるヴィルジニー親子の姿。娘を持つから響いたのかなあ・・。重厚感ある佳き映画でしたね。では。