「アーサー王の甥、サー・ガウェイン(デブ・パテル)。 その怠惰な性格...」グリーン・ナイト りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
アーサー王の甥、サー・ガウェイン(デブ・パテル)。 その怠惰な性格...
アーサー王の甥、サー・ガウェイン(デブ・パテル)。
その怠惰な性格からか、いまだ正式な騎士になれず、惰眠を貪るような毎日を送っていた。
いつもと同じく女とのけだるい時を過ごしていたクリスマスの日、ガウェインは騎士たちが集うアーサー王の円卓に招かれた。
宴もたけなわな中、人間とも精霊とも区別がつかない異様な風貌の緑の騎士(グリーン・ナイト)が現れ、騎士たちに「首切りゲーム」を持ちかける。
挑発に乗ったガウェインは緑の騎士の首を斬り落とすが、騎士は切り落とされた首を拾い上げて、ガウェインに「1年後に会おう。今度はお前が首を斬られる番だ」と言い残して去っていく。
さて、1年後・・・
といったところから始まる物語で、西洋でおなじみの「死神との約束」の物語。
この物語には、おおよそ活劇シーンはなく、どちらかというと怪談めいた雰囲気で進むのが特徴で、そこいらあたりは心得ておかないと、「全然つまらないじゃないの」なんてなってしまいます。
さて、1年後、約束を果たすべく決意したガウェインに、母親は呪を掛ける。
「魔術を掛けた緑の布を腹に巻いて行け、この布を巻いている限り、そなたの首はつながったままだ」と。
旅をする中で、ガウェインが必要とする3つのアイテム(腹布、大刀、馬)を失い、それが再び現れるのも約束事で、この手の趣向は現代のゲームにも取り入れらていることでしょう。
『セインツ 約束の果て』『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』のデビッド・ロウリー監督は、この物語を凝った画面と鷹揚としたテンポで描いていきます。
緑の騎士の館にたどり着いたガウェインは、「首切りゲーム」を再開すべく、緑の騎士の前に跪くが・・・
その後の映像表現は『チキンとプラム』『ラ・ラ・ランド』でも用いられた手法。
(ここではフラシュバックではなく、フラッシュフォワードだが)
で、オチがやってくる。
むふふふ、落語のようだね。
こういうの、好き。
劇中でも語られるが、緑の騎士は文明に対する自然の暗喩で、「自然は人間の文明を飲み込み壊す存在」というのが西洋的考え。
ここいらあたりは日本とは異なりますね。
また、騎士たる者は、死を賭してでも約束は守らなければならない、約束を守ることこそが騎士の務めで、その精神は現代の契約社会に通じているのでしょうね。
ちょっと暗いシーンが見づらいのは難だが、面白かったですよ。