最後の決闘裁判のレビュー・感想・評価
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男性優位で権力者優位の時代だな。
リドリースコット監督
マッドディモン ベンアフレックらが出演、脚本
実話を映画化 それぞれの視点で描く。
人は立場で生きているのがよくわかる。
馬鹿面の王に気を使い クラディエータのホアンキンを
思い出すね。アレックスロウザーが感じ出てました。
アダムドライバー気の毒だね。
ジョディカーマは、なかなか美人だね。
藪の中
一つの事件を3人の視点から描いていく構成が面白い。
まずカルージュ(夫)視点。
この視点で観客はこの映画の肝となる事件の大まかな流れを知る。
しかし、夫の留守中に事件が起きた為、肝心の事件の真相については何もわからない。
次にル・グリ(容疑者)視点。
この視点でカルージュ視点でも冒頭で描かれた戦の描写から始まる。
ここで、この映画の楽しみ方がわかる。
カルージュ視点ではル・グリをカルージュが救ったことに焦点が当たっていたがル・グリ視点ではカルージュをル・グリが救ったことに焦点が当たってる。
ここでお互いの意識の差から生まれる描かれ方の違いが出てくる。
さらに一つ付け加えると、冒頭の戦は敵の挑発に乗ったカルージュの突撃から始まるのだが、カルージュ視点ではこの戦の勝敗がわからない。
つまり、命令に背いてまで軍を勝利に導いた“英雄”なのか、命令に背いて軍を敗北に誘った“戦犯”なのかがわからない。
しかし、ル・グリ視点で冒頭の戦が敗戦に終わった事が分かるとカルージュの見方がひとつ変化する。
ここからル・グリ視点では中世ヨーロッパの価値観について知る事ができる。
当時女性はどんな扱いを受けていたのか。
それ自体を現代の価値観でどうこう言うのは違うと思うが、兎にも角にも当時は女性は男(父親や夫)のものという考えがあった事がわかる。
さらに、ここからル・グリ自体の女性にモテるが故の「自分が正しい」という主観が入ってくる。
「貴婦人だから嫌がるフリをしたが・・・」
マルグリットを襲ったことについて伯爵に釈明する際にル・グリが語った言葉だ。
この言葉から女性は皆自分と交わることを心の奥底では喜んでるはずだという自負が透けて見える。
上記の主観が入ることでル・グリ視点の中ではマルグリット自身もル・グリに気があるような描写がある。
マルグリットはル・グリに気があったのか?なかったのか?観客はその疑問を抱きながら「マルグリット視点」映画の字幕でいうところの“真実”に入っていく。
言うまでもなく上記の字幕に出てる真実とはマルグリットがル・グリに気があったのかどうかについてである。
マルグリット視点
このマルグリット視点が始まってすぐカルージュに違和感を覚える。
即ちカルージュ視点でのカルージュは「武勇一辺倒で世の中の立ち回りは下手で不器用なものの妻への愛は深い」のだが、マルグリットから見たカルージュは「悪い人ではないが世の中のことを知らず束縛も激しい乱暴者」なのだ。
ここでカルージュ視点にも主観が入っていた事がわかる。
ここから一つ一つマルグリットの心情がときほぐされていく様子には舌を巻く。
さらにル・グリを訴えることになった後にもマルグリットにいろんなしがらみがまとわりつくところも現代の価値観にどっぷり浸かった僕は非常に憤りを覚えた。
最後の決闘裁判の結果はお楽しみにしておく。
さて、マルグリット視点に行くまで、男2人の視点を見た時に思った事がある。
それは、ル・グリとカルージュは確かにマルグリットにまつわる事件がきっかけで衝突することになるが、マルグリットの事件がなくてもいずれ衝突していたであろうということだ。
即ち男2人のプライドからくる争いが高じて一触即発状態になっていたところに事件が起きたんだろう。
マルグリットがいようがいまいがこの2人はやがて決闘していたんだろうな。
それにしても「武勇に能力値全振りして他の才能がからっきしな故に出世できない」カルージュや、「上官にうまく取り入り文官としての才能を買われ、要領よく出世していく」ル・グリのような人たちは日本の戦国武将にもいそうなものである。
日本史が好きなだけに余計にそう思った。
むか〜し昔のお話ではありません
【決闘】
名誉の獲得・回復・紛争の解決恨みを晴らすなどの目的で
当事者双方が同意してあらかじめ了解し合った
ルールに基づいて行う闘争のことをいう
日本でも古くは武士で後に任侠による「果たし合い」
は行われていたが明治期に法律で明確に禁止され
数年前に高校生同士がSNSで申し合わせ殴り合いを
しようとした際「決闘罪」が適用され
話題になったことがある
14世紀のヨーロッパで実在した
「決闘裁判」のエピソードをリドリー・スコット
監督がメガホンを取り映画化した今作
感想としては
フェミニズムを押し出したかのような
テーマでありながら男性優位の時代背景を
つぶさに再現する事で当時の価値観を描写
しつつ今の社会の認識では改善したのか?
と気付かされる造りはこれこそメッセージ性を
もつものだと感心しました
14世紀のフランスはパリ
シャルル6世の元で決闘に臨むジャンとルグリ
そしてマルグリットの姿から始まり
ジャン・ルグリ・マルグリットの視点で
順番に同じエピソードを辿っていきます
いわゆる「羅生門方式」
ジャンは地方の領主の息子で
ルグリは農家の出ながら
二人は戦場では互いに助け合う戦友で
ピエール伯に仕える従騎士(見習い騎士)
ところがピエール伯は明らかに
ルグリを優遇し戦い以外知らない
ジャンを嫌っていました
ジャンは脳筋の戦士で戦いは強いが
読み書きも怪しいほどの極端男
占領先の領地でかつての裏切り者の
土地で出会った娘マルグリットに
一目ぼれして婚姻し
嫁入りに用意された土地も
得ようとしますがそこが既に
ルグリの所有権になっている事を
知り徐々にルグリへの疑念が
生まれていきます
ある日ピエールはルグリを自らの
酒池肉林に誘い自らの領地の財政難を
打ち明けるとルグリは税の取り立てを
約束し牧師を目指しただけあって
学があるルグリは財政の立て直しを
実現してしまいます
ピエールはより気に入ってなんと
ジャンの父が亡くなった後の領主の
座をルグリに任命してしまいます
ジャンはもちろん激怒しますが
家来の運営や嫁に説得され田舎に
越します
そして数年後
ジャンはルグリととりあえず和解し
マルグリットをルグリに紹介します
するとジャンはピエール伯から海を越え
スコットランドへ遠征を支持されます
正直死んでもいいと思われている命令
ですがかわりに騎士の称号を得られる
とあり名誉の為に参加します
どうにか生き残りわが城に戻ると
マルグリットから留守の間にルグリに
暴行されたと告白を受けます
ここから章はルグリ視点に切り替わり
ジャンと和解した際に
読んでいる本の事などで会話を
交わしたにマルグリットに夢中になり
留守に押しかけて暴行
ジャンに言えば怒り出すことや
黙っているように言うなど好き放題
やった場面が出てきます
このシーンは後のマルグリット視点
でも再現されますがドアの閉め方や
マルグリットの逃げ方などが微妙に
異なりルグリからはマルグリットが
誘ったかのように見える対比的な描写で
それぞれの主観を表現していました
ただマルグリットの章では
チャプター表示のマルグリットの「真実」
の部分だけ残りあたかもマルグリットの
最後の章が事実であるかのように
描写されます
その章では
結局ジャンはマルグリットを愛していた
というより跡継ぎを産んでほしいとか
家の事ばかり考えている存在で
それでいて運営の能力も正直乏しい夫
である事実や
子供が出来ない事を悩むシーン
ルグリに襲われたことを告白したら
ジャンが激怒してきた事などが
わかり勇気を出して告白した事で
名誉を第一にするジャンは
決闘裁判をシャルル王へ申し入れる
決断をします
ルグリはピエールにもみ消してもらおう
としましたが王に直接話が行ってしまい
王の前での証言では
やってないで押し通すしかなくなります
この王シャルル6世も作中の描写で
見てわかるとおりの暗君(狂気王の名があった)
決闘裁判はあっさり承認されます
証言に臨むマルグリットのお腹は
事件から丁度6か月でふくらんでおり
マルグリットはジャンの母から息子を危険に
晒したことや女友達からはあなたも
ルグリを誘ったのだろうなど言われたい放題
そんな事は黙っているのが当たり前といった
風潮を押し付けてきます
ここに関しては14世紀の男尊女卑社会!
と言ってしまうにはそんなに21世紀の社会で
無くなった事とは思えない部分があると思います
権力者が女性に手を出してなんて事件
しょっちゅうあるわけで
でついに決闘
ジャンが負ければマルグリットも火あぶり
という真実の告白の代償としてもあまりに理不尽な
取り決めながら死闘の末ジャンは勝利
マグルリットは「真実」を勝ち取るのです
ジャンも「戦いしかできない夫」ですが
その唯一出来ることで結果的に妻を守った
事になります
負けて死んだルグリは死体を引きずられ
大衆の前で逆さ吊り
遠慮なしに描写されます
で結局マルグリットのお腹の子は
どちらのという明確な描写はありませんでしたが
ラストのマルグリットの子は金髪でしたね
マルグリットは金髪
ジャンも金髪
ルグリは黒髪でした
ポリコレやフェミニズムといった描写が
映画にも影響してくるようになりましたが
映画内の世界観やテーマに内包して
しっかりひとつの作品として見せるところは
さすがのリドリー・スコットと思いました
ちょっと長いですがおすすめです
とてもよかった
『ベルセルク』を読んでいる最中なので、甲冑や武器などに特に注目して見る。甲冑はいかにも重くて動きが鈍るから、最低限にして身軽にした方が有利ではないかと思ったのだが、甲冑がとても防御に優れていることが分かる。クライマックスの決闘では、かなりの攻撃を防いでいる。アダムドライバーが歴戦の勇者に簡単に敗れるかと思ったら、ずいぶん健闘していた。決闘が非常に生々しく本当の殺し合いを見ているようだ。
アダムドライバーは真面目な男かと思ったら超絶にチャラい。領主にほぼため口でハラハラする。
迷信が真剣に信じられていて、常識みたいな扱い。
面白かったけど2時間半は長くて眠くなる。
藪の中
事実をもとにした話ということで、あまりエンターテイメント性は期待していなかったが、すごく面白かった。どこまで史実に忠実に作ってあるのだろう。
構成が芥川龍之介の「藪の中」(映画だと黒澤明の「羅生門」)を思わせる。思わせるというか、これもごうかんの裁判の話だから、そっくりだ。
一つの事件に対して、三者の視点から三様の「真実」が語られる。
中世の今とは違うルールと常識の世界が面白い。
特に、「女性」が「モノ」として扱われていた時代ということ。
また、宗教的な価値観により、現代からみたら冗談みたいな理不尽がまかり通っていたこと。
この事件の顛末は正義が勝ってスカッとする、みたいなことでは全くなく、「現実ってどろどろして複雑で理不尽だよね」ということ。
西欧の合理主義や実証主義的、宗教を徹底的にほかのものから切り離す考え方って、こういう時代に対する強い反省からきてるんだ、ということがよく分かる。
でも、現代もやはりまだ理不尽さがなくなったわけではない。
現代のごうかん事件の裁判も、女性の方の非を追求しがちという意味でこの映画に描かれているものと本質的には変わらない部分があるし、「女性はだまって事を大きくするな」という価値観のもと、女性が女性の敵になる、ということも現代でもおこりがち。
羅生門ではない
レイプシーン必要だったのかなぁ。
あまりにも生々しくて。馬の交尾も。
見せずに描く演出でも良かったのでは。
ベンアフレックが珍しい役回りだったけど、意外と似合ってた。
アダムドライバー ハンサムなんや。
砂の惑星とか、ゲームオブスローンズとか。西洋人てこの時代に憧れがあるんかな。
長尺だけど
逆によくこの構成を2時間半に収めたなと感心しました。
グラディエーターだと思ってたら500日のサマーだったみたいな。
ジョディ・カマーの最後の、生活は満たされているはずなのに何かを求めるようにも、空虚なようにも見える絶妙な表情には鳥肌が立ちました。
圧巻の決闘シーンも含め、もっと上映が拡大されるべき快作。
ヒロインの勝利にVサイン!
扱っているテーマが、性の人権問題であるが故に、重い雰囲気は否めなかったです。性を強要した男性、された女性、その夫の3人の視点が、それぞれ1章ずつ展開されますから、実に判りやすかったです。同じシーンを何度も観ますから、ある意味この映画を3回観ているような気になります。その3回を観ても、性を強要した男性は悪であるということは隠しようがないのが、真実の重みであると言えます。1380年代の話ですから、日本で言えば室町時代で足利将軍家が支配していた頃です。高等宗教はすでにあれど、女性の地位は低かった時代の話です。そんな古の実話ですが、最後まで途切れることなく集中して観れるというのは、監督の見事な手腕でしょう。決闘裁判で勝利した夫は、名誉のために歓喜し、ヒロインは女性の人権の勝利について喜びます。その微妙な心の中の想いが、見事に表情で演じられているところには舌を巻きました。この作品は女性の幸福対男性の欲望や名誉欲との戦いです。ラストにはきちっと女性が勝利したことに、思わず画面に勝利のVサインを捧げました。
最後の最後。
見応え充分な構成と映像でした。しっかりエンターテイメントとして観れた。
今家で風呂入りながら回想してましたが、
原案、原作とかの情報まるでなしの前提ですが…、
深読みしすぎかもしれませんが…、
何も知らずに生まれてきたお子…、
髪の色が…、
まさか⁉️
ママの色ですよね、きっと。w
豪華でゲスなエンタメ
1.冒頭、史実に基づくと出るが、14世紀の史実なんてどこまでアテになるのかな?
2.決闘シーンよりも第1から第3章のレイプシーンから裁判シーンが長い。違いはわりと分かりやすかったが、重複する部分が多いので、ゲスい内容に辟易。
3.お姑さんが出掛けてる間の出来事なので、手引きしたのは姑ではないか。姑の嫁イビりにしてはえげつなさ過ぎ。
4.現代風に同意の有無の不確かさを匂わしたり、結婚して5年経つのに一回も妊娠しなかったのに、今回妊娠したのは旦那との交接では得られなかった絶頂感があったからではないのかとか、女性がエクスタシーに達しないと妊娠しないとかの程度の低いクドい裁判内容が女性に対する蔑視・偏見に溢れていて、かなり不愉快に感じた。
5.この時代の貞操帯の必要性は実感できた。
6.どちらも負傷し戦闘不能になる可能性が高いと思った。そしたらどうジャッジするの?その場合、妻の処遇はどうなるの?と考えてしまった。
7.王様カールⅥ世がアホで、お妃も不細工なのが唯一のギャグ要素だった。
8.吊り下げられたアダムドライバーのあれはリアルちん○なのか?
9.馬の交尾シーンもこの映画のゲス感を増した。断末魔の馬のカカト落としシーンはなかなかよかった。
10.美女が裸で生きたまま焼かれる魔女裁判みたいなシーンもどうせなら見たかった。
11.訴えてもどうせピエールが握り潰すから、国王の耳に入るまで皆に言いふらすみたいな発想はSNS時代ならともかくね~と思ってしまった。
3回ループは辛かった
主人公、主人公旦那、友達で同じ日時を3人それぞれの立ち位置で描いているのですが、そのシーンの尺が長くて見ていて苦痛でした。
主人公がレイプされた日の3人の行動を別々に見てから、ようやく決闘裁判へ。
最後は馬上から剣術の格闘戦が楽しめます。
個人的には面白いけど、ほぼ同じ1日を3人立ち位置ごとに分けて見せる部分が長くて疲れました。ほぼ同じシーンが3回繰り返される映画は初めてでした。
ジョディ・カマーファン以外はおすすめできないかも?
強く生きようとする女性の物語
中世ヨーロッパ、男尊女卑の顕著だった時代に強く生きようとする女性の物語。
何かのインタビュー記事で監督が言ってた様に「羅生門」を意識する物語になってることからも、どの視点から描くかにより凄く印象が変わる物語の様に思いました。そのための3幕構成だったように思えます。
権力がなく負い目を持つ家系の子として成長した聡明な女性が、この時代にどの様に生きる選択をするのか?
その女性が愚直で世当たりが下手で感情の激しい男に嫁ぐことに。その中で起こる事件。
この時代に彼女の起こした行為は、この後の社会をかえるため一石を投じたことは間違いない様に思えます。
それにより今の社会が出来てるのだから。
もう一つ裁判により命を賭けて闘う2人の気迫が凄まじく高揚感を覚え、またその後の扱いの違いに考え深いものを感じました。
色々な見え方
それぞれの章で、各人物からの視点で描かれていて、自分を美化しているのが面白い。
キャラクターの見え方が全く違っていて、話の流れは大きく違わないんだけど、ここまで印象変わるか、という感じ。
それを実演している役者さんがまた凄い。
男の見栄だったり、女性側の葛藤だったり、演技と話と演出のバランスも相まって、良く見えたな。
見応えがある作品でした。
目に焼き付いたのはケツ。
最も敬愛する映画監督の一人である、サー・リドリー・スコット作品でございます。今回もリアリティ追求です。女性の権利や生き方が真のテーマと言う、得意分野です。
三人の異なる視点で振り返っていく事件のあらまし。
かつての親友ル・グリが、領主に取り入り自分を貶める卑怯者だと嫌悪している夫は、妻への乱暴もさることながら、この事件は「ル・グリがもたらした災厄」だと考えており。夫の視点で振り返る「真実」は、彼の単純な思考や頑固さや、世継ぎを生むことと持参金が妻への期待だったと言う中世的男尊女卑思想の持主である事実も、同時に描写されます。
文武両道に秀で、女性を虜にする外見の持主であるル・グリは、マルグリットも自分に好意を持っていると思い込み、マルグリットが一人になった機会を見て訪問。最終的に、マルグリットを力で押さえつけて乱暴するも、それ自体が悪い事だとは考えていません。
マルグリットの視点が「真実」として描写されていきますが、それは事件のあらましだけではなく、当時の女性たちがおかれていた状況、社会的地位、戦争に明け暮れていた時代背景、封建社会の地主達の生活実態、などなども描き出して行きます。
この脚本の建付けは、「同じシーンを少しだけずらすようにして2回・3回と繰り返す」と言う展開になる訳ですが、これを「ダルイ」「冗長」と感じる人もいると思います。個人的には、興味深かったし面白かった。
ル・グリの狼藉を夫に告白した場面。夫の振り返った事実では「君を守れなくてゴメン」なんですが、マルグリットの真実では、夫は怒るばかりで、挙句、妻に床に入るように命令。優しい言葉など、一言も発しない。
ル・グリの命を救ったと思い込んでいるカルージュ。カルージュの命を救ったのは俺だと思っているル・グリ。決闘へ臨むことへの躊躇の無さは、両者ともに自身へのうぬぼれを持っていたが故。
決闘以降は、リドリー・スコットらしいリアリティ追求劇場にございます。天国と地獄です。欧州的残忍性です。
と言うか。最後は。
アダム・ドライバーのケツですよ。
ついこの前、フリー・ガイで、痺れるような二丁拳銃を見せてくれたジョディ・カマー。この時代のドレス、似合い過ぎです。まぁ、話それますけど。二丁使いと言うと、007 No Time To Die でもアナ・デ・アルマスが、ワルサーPPKとH&KのMP7A3のかっこ良すぎる2丁使いを見せてくれました。が、年一はジョディ・カマーですね。バイク背面二人乗りでジャンプしながらの2丁銃、カッコ良かった。
良かった。とっても。
一本の劇場映画として。
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(10/20 追記)
リドリー・スコットによると、黒澤の「羅生門」に触発されたマット・ディモンが企画を持ってリドリー・スコットの元を訪れた事が、この映画の始まりだったそうで。今もなお、黒澤明は世界の映画界に影響を及ぼしているという事を証明する作品、って事ですね。
演出に関して言うと、「徐々に明らかにされていくギャップ」って言う点にリドリー・スコットらしい技巧を感じました。
1stストリーは夫であるカルージュの視点。次がル・グリの視点になる訳ですが、2ndの冒頭は、1stとほとんど同じ視覚・セリフで始まりますが、徐々に1stとの「食い違い」が出て来ます。ここにル・グリと領主ピエールのやり取りが挟み込まれ、「ル・グリの真実」は明かされて行くと、「同じセリフのやり取り」が、見るものに1stとは全く異なる解釈を与えます。
徐々に、カメラの角度・視野が1stとは異なるものになって行き、その相違はマルグリットの3rdストリーで決定的になります。マルグリットから見るカルージュ。マルグリットから見るル・グリ。屋敷の扉の、あちら側とこちら側の差。会話内容の差。などなど。ギャップは、どんどん拡がって行き、決定的な差となるのが暴行場面。
話はサクサク進むんですけどね。3つの物語りで3人の「人間」を浮き彫りにした上で、あの決闘場面があり、雌雄決着後のギャップになる訳ですが。
いや。なんか、やっぱり。リドリー・スコットの撮る「映画」って面白いです。
じっくり眺める価値のある映画であることは間違いないですし、若い人にお勧めしたくなる、映画って何なのかを知る絶好のテキストの様な作品でした。
言葉が見当たらない
余りにこの映画が内包する事柄についての考察が浮かびすぎて
何か頭がまとまらない
よくレビューで見るように登場人物(ジャン、ル・グリ、ジャンの妻)3人の言葉から真実を浮かび上がらす、という意味では羅生門っぽいのだけど
個人的にはこの3者の視線というのは余り生きてなかった感じもある
この映画で描かれた女遊びに興じる貴族、それにこびた生き方をして女を大切にしないル・グリ、忠誠心が強く頑固な男ジャン、そしてジャンの妻
その4人を通じて腐敗した権力構造、その構造に利用される騎士、
取りいるのが上手いだけの男前、能力はありながらも認めてもらえない女性を描いていて
そこから始まる物語で男尊女卑、嫉妬、妬み、暴力、など
美しくない人間の感情を全て洗い出そうかというような作りになっている
物語が進むにつれ、物凄い拒否感が高まっていって
そのピークが誰も得をしない決闘という形によって
感情が爆発するとゆうか、発散するような感じがあった
今年観た映画でなかなかここまで精神を揺るがす作品はなかった
結局ね、決闘しても誰も得しなかった気がするよね
何も事実をわかってないで騒いでる領民とか負けて引きずられるル・グリの姿に
いったい正義ってなんなのだろうか?
って考えるのは
今の世の中のアメリカの都合で戦争が引き起こされ
アメリカの都合で戦場に放置される人々見てると余計に考えさせられる
この映画は色々な感情、視点で考察できてとても深い、物凄く
そう感じた映画だったな
まぁまぁ面白い。3視点を描く理由が分からなかった。 リドリースコッ...
まぁまぁ面白い。3視点を描く理由が分からなかった。
リドリースコットと聞いてもピンとこない。
オデッセイの監督だった。なるほど、マット・デイモンが繋がった。
マット・デイモンが出てることに気付かなかった。太ってたし、背が低いから別人に見えた。
ストーリーはシンプルで、旧友が妻をレイプしたが、旧友は否定するので決闘で決着をつけましょう!という話。
凄い時代だ。原始人か?決闘では真実を知る神が勝たせてくれるそうだ。負けると妻も処刑。
決闘なんてやりたくもないけど、この時代では自分の主張が絶対に正しいなら、神は必ず勝たせてくれるのだから、恐れず決闘に挑めるのかもしれない。
3視点で描く理由がわからなかった。そうしないと話が持たない?
マルグリットは強い女性だった。ジャンの元に嫁いできたけど、彼女は幸せだったのだろうか。
強姦されたと聞いて怒るジャンの振る舞いには、どうしても応援してあげたい気持ちがわかず、だからもしかして負ける?と思ったけど、勝ちました。
ジャンは決闘で足に深手を追って、出血多量で死ぬと言われてたのに、そのまま戦いを継続し、勝利後も治療せずに馬に乗る姿を見て、アホなのか?と思った。
男尊女卑が強い時代なので、男性の振る舞いには余り共感できない。
映像は素晴らしかった。いくらかけたらあのような映像を作れるのだろ?
マルグリットには脱いで欲しかったかな。
決闘シーンの迫力は、これぞリドリー・スコット。
マルグリットはこの時代の女性にしては自立心旺盛で自らを主張してやまない方だったのでしょう。筋肉バカの夫が死んだあと再婚せず30年間、女主人として頑張られたとこを見てもそうなんだろうと思います。
ラストカットで我が子を愛おしく見つめる瞳には、この子は私の子であって、あの筋肉バカの種だろうと色男の種だろうとどうだっていいって雰囲気を醸し出していて、美しさと狡猾さを合わせ持った感じがなんとも印象的でした。
これはマルグリードの映画ですね。
I spoke the truth
これに尽きる。
私は真実を話した。
それとも、
真実として私は話した。
どちらにしても、本人のみぞ知る。
再婚しなかったってオチ?に
真実として突き通してくれた
っていう真実があって、ホッとした。
それぞれの視点からの構成が
すごく新鮮だったのと
それぞれ視点で少しずつ
色んなとこが明るみに出てきて
観る人それぞれの価値観での
真実の見方ができる感じもまた、
すごく面白かった。
何より、何度も繰り返されるから
理解しやすかった。かな。笑
bad dick hunting NTR
世界丸見え!
非常にわかりやすいキャラクターによる事の顛末をそれぞれの主観による再現VTRでご覧ください
決闘のゴングが鳴る時 胸の高鳴りは最高潮
リア充パリピ 対 コミュ障マッチョ さーぁ勝つのはどっち?
全ての面が一級品の「みこすり半劇場」
【”汝、姦淫する事なかれ”14世紀のフランスで起きた事件を、騎士と妻、騎士の元親友の三者三様の視点で描き出す。中世の社会的規範、世界観の描き方も良く、最後の決闘シーンの壮絶な迫力にも魅入られた作品。】
ー 騎士カルージュ(マット・デイモン)と、美しき妻マルグリット(ジョディ・カマー)、カルージュの且つての親友、従騎士ル・グリ(アダム・ドライバー)が、三者三様の視点で、マルグリットに起きた事件を章立てで描く作品構成が秀逸である。
更に、1370年代フランスの時代考証(衣装、意匠・・)も細部まで見応えがある。ー
◆感想
・作品構成の秀逸さ。
観る側に
”誰が言っている事が真実なのか・・”
をグイグイと考えさせる。
・カルージュの回想シーンと、ル・グリの回想シーンと、マルグリットの回想シーンの微妙な、同シーンでの三人の台詞や表情の違いの見せ方。
・当時の男尊女卑の社会的考え方が今作の背景にある事は、間違いないであろう。
ー 真実を明らかにするために決闘して、負けた男の妻が偽証したとして、木に縛られて、生きたまま火炙りにされるって、どうなのよ・・。ー
・序盤でイキナリ描かれる、騎士カルージュと、従騎士ル・グリが、全身を鎧で固め闘うシーンの物凄さ。ガツンガツンと二人がぶつかり合う命を懸けて戦う姿のド迫力。
ー それを、足を括られて曝し台の椅子に座らされて観る、マルグリットの姿。
彼女は、夫カルージュが決闘で負けた場合、火刑に処されるのである。
それも含めて、興味津々で愉しんで見る、愚かしき王や民衆の姿。ー
<何が真実であったのか・・。
ラスト、マルグリットが漸く身籠った大切な男の子の髪の色。
中世の、”苛烈な神による、絶対的な裁き”のシビアさの描き方。
優れた脚本だけでなく、活劇としても、見応えがある作品である。>
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