「やるっきゃ騎士(ナイト)」最後の決闘裁判 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
やるっきゃ騎士(ナイト)
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法廷ものが好きで、「リーガル・ハイ」から「シカゴ7裁判」まで手当り次第に見ているが、この作品は予想に反して裁判ドラマの要素は少なかった。そもそも原題は「最後の決闘」だし。
構成こそ「藪の中」風だが、三者それぞれのパートが証言ではなく回想なので、事実関係の差異はほぼない(“信頼できない語り手”の手法が使えない)。陵辱の行為そのものが観客には明白に示されるので、あとは心理の機微とかの問題になってくる。
それにしても審問におけるセカンドレイプはひどい。決闘に負けたら妻も火あぶりとか、決闘場の観衆の狂騒ぶりとか、中世騎士社会の高潔のイメージとは裏腹のかなりの俗悪さである(そう言えば、同じ百年戦争中にはジャンヌ・ダルクも火あぶりになっている)。
ラテン語はラテン語のまま発しているのに、百年戦争の最中にフランス人が敵国の言語で日常会話しているのはやはり違和感があるな。
当時の再現性は見事と言うしかない。片や日本の風景は近代化が進みすぎて、時代劇のロケーションにはハンディが多い。
老獪な領主を演じたベン・アフレックはなかなか良かった。
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