「なんてことをしてくれたんだ。。。」デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING TAKEさんの映画レビュー(感想・評価)
なんてことをしてくれたんだ。。。
作品としては、完全に当時の視聴者だった当時の子供だった人たち、現在は大人になった人たちをターゲットにしているとしか思えないほど、作品への説明が少なく、見る人を選びそうな作品といえます。介護疲れによる子供への虐待、眼球破壊による流血、パートナーデジモンが融けて死亡する、などという本来子供向けとは言えないほど考えさせられる深みのあるメッセージが多い人気アニメだったものの正当続編作品とは思えないトラウマになりそうなシーンが多いダークな作品でした。
謳い文句は「デジモンアドベンチャーシリーズ完結編」と言っているが、
結局triでばらまくだけばらまいた伏線、新しい名称、行方不明のキャラなどは未回収のまま、楽しみにしていたファンたちをモヤモヤさせたまま。
今作の新キャラのルイとウッコモンを主軸にしていたけど、理解し合うために対話をして解決すると言っておきながら結局倒してまたデジタマからやり直す、という輪廻転生を冷凍食品並みの考えで平然と行って、これではパートナーデジモンの大切さがぼやけてしまうのではないか。「話し合った結果そうなった。」って。いやいやいや、そもそもウッコモンが何だったのかの説明もないし、モチーフがそういう名前とはいえ他にもっと言いやすく親しみやすい名前はなかったのか。過去にルイもウッコモンを「ウンコモン」と言い間違えていたけど、実際鑑賞していた僕もそう聞き間違えたし、ヒカリや宮子が「ウッコモン」「ウッコモン」と言っているのはすごく不快だった。そしてキモイ。
ラストなんて最悪です。デジヴァイスを、D3を、この作品を象徴するアイテムを消し去るなんて。「こんなものがなくとも絆の証明できる。」とか言ってるけど、じゃあこれからまだどこかに潜んでいる・または現れる闇の力を持ったデジモンが現れてもパートナー不在または足止めされて守り切れないときに護身用としてあったデジヴァイスが無くてもいいのか?デジタルワールドへの通行許可証のようなそれがなくとも容易にデジタルワールドへ行けるのか?もう完結したから必要ない、と思ってこんなことをしたのなら、前作の太一とヤマトの感動的パートナーデジモンとの別れの演出としてこれ以上ないドキドキをくれたデジヴァイスをこんなにあっさり消し去ってしまうなんて、デジモンシリーズのアニメスタッフのデジアド愛を疑ってしまいます。まるでデジヴァイスなんてあるからこんなややこしいことになったんだ!と言っているように受け取ってしまう最後でした。
そして一人のパートナーデジモンを倒したという仲間殺しをした直後なのに相棒であるルイも含めて全員大笑いして雪合戦をしてるなんて正気なのかと戦慄しました。こっちは迫力不足な戦闘を見終わって物足りなさを無理やりグッとこらえて行く末を見守っていたのに、もう終わりか?と拍子抜けでした。せめてスタンドバイミーのような余韻を作ってほしかった。
短い上映時間で完結編だというのなら、せめてtriでばらまいた伏線を8割でも回収して、ウッコモンのいう大いなる存在がなんなのかちゃんと説明をして、デジヴァイスが消えたあとも太一とアグモン、ヤマトとガブモンが再会できる希望があるかのような演出を見せて終わってほしかった。
ファンとしてはすっきりしない、何とも言えないtriの次に作る必要のなかったと感じさせられる映画でした。
この映画のターゲット層は20代後半~30代です。ダークな表現は子供たちの成長と現実から目を逸らさない強い意志を表しています。
ウッコモンのネーミングは後の続編にてわかると思われますが、少し名前について考えるとこのネーミングの意味がわかると思います。大いなる存在がイグドラシルやホメオスタシス、はたまた他の存在の関与なのかまだ分かりませんが、こちらも今後に期待。
他の意見に関しては、デジタマに戻ったウッコモンはまた4年後の閏年に復活するのかしないのか分かりませんが、それでも必ず再開すると分かりきっているのであのラストの雪合戦とエンドロール後のワンシーンがあるのだと思います。
最後にデジヴァイスが消えたのは、多分必要が無くなった、というのが理由なのでは。
光子郎の技術によりデジヴァイスの機能をスマホに移したりパソコンにデジヴァイスなしでゲートを開いたり(triやラスエボ序盤シーン)とデジタルワールドへの行き来はもうデジヴァイスに頼らなくてもよくなり、デジタルとリアルが近しい存在となった証なのかと思います。そして02最終回ラストシーンでは誰もデジヴァイスを持っていなかったことからも、デジモンとのパートナー関係ではなく、居て当たり前の状態になり、わざわざデジヴァイスを通じて繋がる必要が無くなり、デジヴァイスはいらない世界になったのだと思われます。