「自分を顧みて死にたくなった」ずっと独身でいるつもり? 古元素さんの映画レビュー(感想・評価)
自分を顧みて死にたくなった
「有難いお言葉の数々。本当にありがとうございます。でも、うっせぇよ!」「地元に帰って結婚して子供産んで、つまらない人生送れば?」「孤独死の7割が、既婚者なんだよ」「結婚すれば寂しさは消えるんじゃなかったの?ああもう、死にたい!」
現代の日本に生きる四人四色の女性たちが登場する本作。結婚して子供を設けることが幸せだと、女性を下に見る世間や男性に異論を唱える。自分が抱える寂しさを解消させるために結婚したいと願いつつ、親族から結婚や出産を薦められる私や、自分ばかり可哀想だと思い、他人を否定する私はひたすら死にたくなった。
慢性的な寂しさや嫉妬心からSNSの投稿に溺れるユキノ。そこにはこう書かれる。「一人に耐えられない寂しさで、結婚に逃げる(曖昧)」その矢は、物理的に一人で生きられるものの、世間の結婚という圧に悩んだまみに投じられたものだった。
以前壇蜜さんが結婚した際、こう話していたことが印象的だ。「一人で生きられると思えるようになったからこそ、誰かと共に生きてみたくなった(曖昧)」ユキノの言うように、結婚に「逃げた」場合は最初からうまくいかないのだろう。つまり私の考え方も、良くないのだろう。
まみが婚約者として相手を実家に連れていった際の、彼女の父親が私の父親と重なった。結婚して肩の荷が降りたと言いつつ、自らのパートナーを見下すような態度。誰かのために、自らを犠牲にするものなのか。結婚など考え方に正解はないからか終わりが曖昧ではあるものの、各々の幸せがひとつではないことは確かである。
またこの作品は、色んな人の思いを全て汲み取ることはできない、勝手な思い込みで何かを判断することは誤りだと暗に示している。皆何かを抱えながら生きている。他人の何かを批判するツールが無限にあるけれど、それを行う権利なんてない。
色んな人の叫びや背景から、ひたすら自分の小ささを痛感し死にたくなった。反省し、今後に行かせたらいい。