劇場公開日 2021年11月27日

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「【”こんな所にはもう、居たくない。監督も良心の呵責はないのか!”と北朝鮮を欺いて入国したコメディアンは言った。ブリュガー監督はこの作品で、本当に北朝鮮の暗部を描き出したのか。疑問が残る作品である。】」ザ・レッド・チャペル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0【”こんな所にはもう、居たくない。監督も良心の呵責はないのか!”と北朝鮮を欺いて入国したコメディアンは言った。ブリュガー監督はこの作品で、本当に北朝鮮の暗部を描き出したのか。疑問が残る作品である。】

2022年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

ー マッツ・ブリュガー監督作は、「誰がハマーショルドを殺したか」も「THE MOLE」も面白く鑑賞した。では、今作はどうだったか・・。-

■ 知られざる北朝鮮の人々の素顔を暴くため、マッツ・ブリュガー監督は異文化交流と称し舞台公演の許可を得ることに成功。
  韓国系デンマーク人で脳性麻痺を持つヤコブとシモンの2人のコメディアンと共に北朝鮮に向かう。
  熱烈な歓迎を受ける一方で、行動は常に母のように接する案内役の女性パクによって監視され、本番までの間、北朝鮮の意思により2人のコントは幾度となく修正された。
  そんな中ヤコブは、金日成広場での軍事パレードに強制的に参加させられる。
  軍事パレードの圧倒的な威圧感にブリュガーも恐れる中、障害を持つヤコブだけが金一族により独裁政権が誕生したその聖地で、一人反旗を翻す。・・オフィシャルサイトより抜粋。

◆感想<Caution!  内容に触れています。>

 ・マッツ・ブリュガー監督が”異文化交流と偽って、北朝鮮に入国したのは北朝鮮の見えざる暗部を暴くためであった筈だが、今作では北朝鮮の、笑顔を絶やさない案内役の女性パクに巧みに操られ、強制収容所などの、実態に迫る事が出来ていない。

 ・一方、北朝鮮の首都、平壌の異様さは印象的である。誰も歩いていないゴーストタウンの様な街。商店もない。(説明では、商店は建物の中にあるとの事である。)
 それが、祖国解放戦争勝利記念日などになると、整然と大軍が一糸乱れぬ歩調で行進し、マスゲームが、繰り広げられる。

 ・又、マッツ・ブリュガーとヤコブとシモンを歓迎する子供たちや若い女性達の不自然なまでの笑顔・・。

 ・そんな日々を過ごす中、脳性麻痺を持つヤコブとシモンは北朝鮮と、マッツ・ブリュガー監督の姿勢に疑問を持って行く。
 そして、公演は無事に終わるが、ヤコブは北朝鮮の大軍が行進する前で、車椅子に乗りながら、マッツ・ブリュガー監督と、北朝鮮に対し、反抗的な態度を毅然として取る。

<2009年の作品が、漸く公開された訳であるが、マッツ・ブリュガー監督の作品制作姿勢に疑問を持った作品。
 勿論、北朝鮮は忌むべき国家であり、擁護する気はさらさらないし、北朝鮮の不気味な一面は確かに垣間見えた。
 只、監督の”北朝鮮が行ってきた悪 ―それは、多数の人民を餓死させたり、朝鮮戦争を勃発させた事だったり、強制収容所に反政府の人間を収容している・・- を暴く!という想いが空回りしている事である。
 作品の構成も粗いし、ヤコブとシモンのコメディもあまり笑えない素人レベルで寒い。(あれでは、北朝鮮の演劇家から、修正されても仕方あるまい。)
 それでも、脳性麻痺のヤコブの”北朝鮮も、マッツ・ブリュガー監督もオカシイ”と言う姿勢や、見せた行動は、尊いと思う。
 一つ、心配になったのは、彼らを常に監視しつつも、笑顔で接していたパクさんたちは、あの恐ろしき国家から、粛清されていないだろうか・・、と思ってしまった作品である。>

NOBU