劇場公開日 2021年12月17日

「うだつの上がらない男の精一杯カッコつける姿が愛おしい」私はいったい、何と闘っているのか kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5うだつの上がらない男の精一杯カッコつける姿が愛おしい

2022年1月17日
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鑑賞方法:映画館

うだつの上がらない男がカッコつけようとする姿は、見ていて辛くなることが多い。様にならないからだと思う。
本作の主人公・春男もうだつの上がらない男だ。勤務先の店長にいいように使われて、「この店の司令塔だ!」なんて持ち上げられるが、役職は主任どまり。周りの同僚や部下には慕われているが、努力が空回りしてしまう。家族に対してもカッコつけようとしたことが空回りする。その空回りの感じがたしかにつぶやきシローの感覚っぽい。ただ、安田顕が演じるとうだつの上がらなさが足りないのは仕方ないところか。
驚きの展開が待っているわけではないが、ちょっとした奇跡と春男のやさしさと、家族の愛情でいい話として十分成り立っていた。なるほど息子の何気ないセリフが伏線になるとは。春男のカッコつけは見ていて辛くなるのではなく、なぜだか愛おしくなってしまった。この微妙なあんばいの受け取り方が本作の評価を分けるところかもしれない。
あと驚いたのがファーストサマーウイカ。春男の部下を演じるのだが、見事な地味さだった。途中まで気づかなかったくらい。エンドロール見るまでわからない人もいるに違いない。映画界で徐々に存在感を増していることを感じた。
それにしてもカツカレーが食べたくなる映画だった。日本カツカレー協会(調べてみたらよくわからないがどうやら存在するみたいだ)が協賛しててもおかしくない。この協会にそんなお金はないんだろうけど。

kenshuchu