「人生をどう終わらせるのか」レット・ゼム・オール・トーク 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
人生をどう終わらせるのか
メリル・ストリープがスティーブン・ソダーバーグ監督といつの間にか素晴らしい作品を作っていた。イギリスの権威ある賞の授賞式に出席するために豪華客船に乗ることになった人気作家が、何十年も会っていない旧友2人と甥を誘う。旧友2人は、どうして今さらになって旅行に招かれたのはわかりかねている。物語は、彼女たち3人の長年のわだかまりが船の上で解けていくのかという点と、主人公の作家に秘密で船に乗り込んだ編集者と主人公の甥の恋の行方が同時に進行していく。その他、人気作家も同じ船に乗り合わせていて、限られた空間の船上でいくつもの人間が交錯していく。穏やかだけど、奇妙な緊張感のある物語にユーモアも交えながら人生の晩年のあり方を考えさせてくれる内容になっている。
何事も仰々しく起こりはしないがスリリングな作品だ。即興芝居の効果でどこに転がるかわからない人間模様に人生のリアルな一断面を感じる。名優たちの軽やかな芝居が大変に見ごたえがある。
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