「間違った道」クライモリ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
間違った道
オリジナルの『クライモリ』(2003)はほとんど覚えてないのですが、単に猟奇殺人が繰り返されるのではなく大いなる理由があったという設定に驚かされました。南北戦争前に建国宣言された新国家。国に見切りをつけて大勢の人間がアパラチア山脈の森の中に建設した自給自足の共同体だったのだ。
南北戦争には全く無知なので偉そうなことは言えませんが、会話の中でも奴隷制に反対なのかどうなのかといった部分が見受けられました。戦闘においても連合国脱退問題でも激戦地だったようで、その時にアメリカそのものから逃れようとしたためなのでしょうかね。1959年なのは微妙でしたけど・・・
そんな様々な思惑がある共同体でしたが、足を踏み入れた6人の若者グループも多種多様。主人公のジェニファーの彼氏ダリウスは黒人だし、インド系ゲイカップルもいる。最もアメリカを象徴してたのは鹿頭の男を殺したアダムだったのではないかな?医者の彼女ミラを放っぽらかしなんてズルい面もあった。
それぞれの職業に関しても興味深いし、ジェニファーが就職模索中であることと生き残りを賭けての選択を迫られるところも面白い。もう食人族によるスプラッタームービーじゃない!人種差別、職業差別、性的指向差別も撤廃!オリジナル版で描かれなかった人間の行動分析なんてのも凄い進歩じゃなかろうか・・・あと、一度殺人を犯すと、どんだけ人を殺しても家族を守るため生き残るために正当化していくところ。ただ虚しさは残るけど。
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