劇場公開日 2022年9月16日

「人間ドラマと推理の絶妙なバランス」沈黙のパレード トラヴィスさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5人間ドラマと推理の絶妙なバランス

2022年9月18日
iPhoneアプリから投稿

冒頭。とある催し。
ほぼ台詞の無いそのシーンだけで
今回登場する人物の人柄や関係性、
空気感が伝わる秀逸な始まり。

結果、傑作劇場版前二作に続き本作も見事でした。
高いハードルを満たす傑作。

本作の素晴らしさは
人間ドラマと推理のバランスの絶妙さ。
どちらかと言えば人間ドラマに
比重を置く演出姿勢に好感が持てます。

推理作品ではトリックの
斬新さや面白さが重視され、
事件を起こす人間の心情が
軽視されることがあります。

本シリーズでは真実が語られるとき、
そこには誰かに対する想いが
時として司法すら無力に思える
人間の切実な思いが感じられます。

やや、都合の良い偶然があっても
それを帳消しに出来るレベルの
人間ドラマと見応えある推理が
とても満たされた娯楽時間を与えてくれます。

そして福山雅治が作品に寄り添い書き下ろした
エンディングに流れる「ヒトツボシ」
感情の弁が崩壊します。切なすぎる名曲。

哀愁滲む表情を観ているだけで
涙腺が刺激されるずん飯尾さんの芝居。
テレビで福山雅治さんが今回の主役と
言っていたのも頷けます。

トラヴィス