劇場公開日 2022年9月16日

「湯川が変わったという人がちらほら見かけるが…」沈黙のパレード さこんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0湯川が変わったという人がちらほら見かけるが…

2022年9月17日
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「湯川が変わった!」「あんなキャラじゃない!」

え?一体今までのシリーズの何を見てきた?
草薙、内海、石神、岸谷、恭平。様々な人々とさまざまな物語を経てきた湯川が昔と変わってないわけないし、回を追うごとに人間味を増していく描写は入っていたはず。

こういう事を言う人はおそらくリアルタイムで視聴して以来、いわゆる復習をせずに観にきた人なんだろうな、と思う。完全に当時のドラマのイメージで止まってるんだろう。「ガリレオなのに数式書くシーンがない!!」なんて言ってる人たちもおそらく同類だろう。元より映画シリーズは原作に忠実なため、そんなコミカルなシーンは無い。

内容に対しては、正直原作派としてはどうしてもキャラクターそれぞれの背景が描ききれていない事が引っかかってしまった。特に「最後のピース」である重要人物が驚くほどあっさりと流されていて、少し残念だった。
でもあの内容をここまで纏めきれたのは凄いと思う。限られた時間で最大限に表現していたと思う。だけどやっぱり背景の描写が少ないと、キャラクターの行動の動機に説得力が少なくなってしまうように感じた。自分は小説を思い出すことで補完出来たが、原作未読派の人達はどうだったのだろうか。

物理関連の描写が少ないのは、うーん。これは確かにと思う。ガリレオの長編はどうしても科学より人間ドラマにスポットを当てられるので仕方がないと言えば仕方がない。
不動の名作でもある『容疑者xの献身』も物理要素は少ないので、そこはもう割り切って良いのではと思う。
でないと次作の『透明な螺旋』では更に物理要素は減っているので、もうガリレオから完全に離れることになるだろう、と思う。

さこん