「明確な主張ある作品」ぬけろ、メビウス!! R41さんの映画レビュー(感想・評価)
明確な主張ある作品
主人公優子の心情がよく描かれている。
自分の世界で生きる出来事すべては自分の所為
この普遍的な観点を中心にした作品
さて、
この作品の作りそのものは多少甘い。
しかし、脚本はしっかりしている。
主人公優子
彼女の今現在の立場は、十分恵まれている。
しかしそれはすべて母の力
恵まれていても、自分が望んだことじゃないという思いが、優子の違和感を助長させる。
契約社員 婚約者 結婚式場の手配等々 すべて母によって遂行されていることに我慢できなくなる。
「全部お母さんの所為にしてしまう」
この言葉がこの作品の中心点だと思う。
優子は今まで生きてきて何かに真剣に取り組んだことはほぼなかった。
目の前にある楽しいことばかりを追いかけていた。
そうして今の自分がある。
でもその自分の今が気に入らない。
優子にはそれでも違和感をぬぐい捨てることができなかった。
母が決めた人生 専門学校も就職先も恋人も結婚式場さえも
不自由のない生活
でもそこに自分の意思はない。
どんなに他人から羨ましく思われても、そこに自分の意思がないというのは、どんなにつまらないものだろう。
したくしていているんじゃない。
この虚しさ
しかしそれは優子が気づいた「真実」
それなのに、
青山エイトとの出会いによって、再び触れる心
自分が出会ったこの事実は、本物だと思ってしまった。
人生によくありがちなミスリード
それそのものに「落ち」はないが、それを選択することで起きるであろう落とし穴。
「ナツキと付き合うな」
優子によってナツキは無二の親友
それを切ることなどできない。
この優子の強い意思こそ、彼女の中にあった唯一の方位磁針
これによって優子は何が間違っているのかはっきりする。
しかし同時に両方の男から絶縁される。
このことが、優子に夢を追いかけさせる原動力になる。
優子を見守る太一だったが、「また付き合うのは、ない」と明言される。
メビウスの輪
この奇妙なもの
メビウスの輪は、中心線を切ればねじれが2つになり、また切れば3つになる。
太一は「中心を切る」という言葉に輪をちぎって線にしてしまった。
「全然こんがらないんだけど」
「問題」とは如何に単純なのだろう。
問題を問題と考える限り、事態は余計にこんがらがる。
しかし、実際問題とは簡単に解決できる。
なぜなら、
すべての問題は、本人の頭の中だけで起きているからだ。
受験当日、優子は受験に反対する母の部屋の前で、自分の思いを告白する。
「……だから私の人生をお母さんの所為にしない」
ようやく自分自身を取り戻した優子の成長ものだたり。
非常にまじめな作品