「圧巻のアクト・オン・ステージ! ただストーリーとキャラの掘り下げは…。」SING シング ネクストステージ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
圧巻のアクト・オン・ステージ! ただストーリーとキャラの掘り下げは…。
擬人化した動物達によるミュージカル・アニメ『SING/シング』の続編。
前作での成功により、地元の大人気劇場となった「ニュー・ムーン・シアター」。
オーナーのバスター・ムーンとその仲間たちは、更なる成功を求めてミュージカルの聖地、レッド・ショア・シティへと乗り込む…。
○キャスト
バスター・ムーン…マシュー・マコノヒー。
ロジータ…リース・ウィザースプーン。
アッシュ…スカーレット・ヨハンソン。
ジョニー…タロン・エガートン。
○日本語吹き替え
ロジータ…長澤まさみ。
なお前作でマイクの日本語吹き替えを担当していた山寺宏一は、本作では高圧的なダンスインストラクターのテングザル、クラウス・キッケンクローバーの吹き替えを務めている。
吹き替え版での鑑賞。
近所の劇場では吹き替え版しか放映されておらず、選択の余地が無かった。
お願いだから字幕版と吹き替え版、両方上映して下さいな、MOVIXさん💦
両バージョンを見比べてみたいんじゃ〜!!
と、前置きはこのくらいにしてここから本文。
結論から言えば、めちゃくちゃ楽しかった✨😆
今回はお馴染みのメンバーがミュージカルに挑戦するのだが、そのミュージカルのクオリティがエグい!!
大迫力のステージ演出には、これがアニメだと言うことを忘れてしまう程の没入感を得ることが出来た♪
まるで本物のミュージカルを観ている気分。これはお家のテレビやタブレットの画面では味わえない感情だと思うので、とにかく劇場に足を運んで欲しい!!
声優陣も相変わらず最高♪
ウッチャンや長澤まさみなど、基本は前回の声優陣が続投(ジョニーのお父さん役を演じた石塚運昇さんは2018年に逝去された為、三宅健太さんに変更されている…😢)。なお、前作で山寺宏一が吹き替えたネズミのマイクは登場しないが、その代わりに山ちゃんには別キャラが用意されている。なんて特別待遇!
もちろん前作から続投している声優陣は素晴らしい。
ただ、今回特筆したいのはやはり新キャラを演じた2人、アイナ・ジ・エンドと稲葉浩志✨👍
BiSHって聴いたことなかったんだけど、アイナ・ジ・エンド歌上手ぇーーー!!
しかもただ上手いだけじゃなくて、ちゃんとギャル狼のポーシャになり切っていた。
セリフの喋り方も最高!あの世の中を舐め切っている感じが堪らんね😏
そしてそして!なんと言っても今回のベスト・アクターは、引退したレジェンドロック歌手のクレイ・キャロウェイを演じたB'zの稲葉浩志さん🎤🎶🤩
この発表を見た時、マジで驚いた。稲葉さんが声優に初挑戦!?というか、稲葉さん演技なんて出来るのか!?
いや〜、流石スター・オブ・スターズの稲葉浩志。なんでも出来るのね。愛する者を失った老ライオンの悲哀を演じ切っていた。
キャロウェイは物語の終盤まで全く歌わない。というか歌えない。
いつ歌うの?まだ?まだ?…と期待を煽ってから、大トリで遂に熱唱🎤♩♪🎶🦁
…いや、やっぱ凄えわ稲葉浩志。他の人たちも上手いと思ったけど、何かもうこの人はレベルが違う。一人だけ完全にネクストステージに行っちゃってる。
舞台演出は最&高👍
クライマックスはもうずっと泣きっぱなし😭
大トリがギター・ヒーローっていう演出がね…。ギター小僧としてはもうこれだけで「アリガトオオオオオオッッ」って感じです。
あと1時間くらい、このミュージカルを観ていたかった。
た・だ。
ストーリーに関してはちょっとこれは…。
なんというか、今作は前作以上に各々のメンバーに焦点を当てた群像劇という側面が強くなっている。
110分程のランタイムで、メインキャストそれぞれのストーリーに触れなければならず、そのため一人一人の掘り下げが浅くなっている。
例えばクレイ・キャロウェイ。
彼は15年間も引きこもっていたのだが、アッシュの説得によってムーン一座に加わる事になる。
…いや15年も引きこもり続けた人が、1日や2日の説得で心を開くかね?
アッシュの何がクレイの心を動かしたのか。もっとクレイの心の機微を描かないとドラマにはならない。
クレイのシークエンスは完全に『美女と野獣』(1991)のパロディになっているのだから、やはりそこは本家に負けず劣らずの人情を描いて欲しかったと思う。
特に気になるのは、本作の悪役であるジミー・クリスタル。
彼のキャラクター、かなりブレブレじゃなかった?
ショー・ビジネスに関してはプロフェッショナルな男として登場したかと思えば、すぐに親バカゆえに娘に主役を張らせようとするパパになり、さらにその後は冷酷なマフィアのボスになり娘の演技に全く興味を示さない。
どうも行動や理念に一貫性が見えず、キャラの魅力に乏しかった。
ちょっと思ったんだけど、ジミーのおかげでムーン一座がチャンスを掴んだのは事実な訳だから、彼を純粋な悪役として描く必要はなかったんじゃ無い?
また、ジミーとポーシャの関係性をもっと深く掘り下げていれば、父親の子離れと娘の自立という物語にも発展出来たはず。ポーシャの母親が出て来ていないことからも、何かしら裏に隠されたストーリーがありそうなのだが、やはり全て描くには時間が足りなかったのかな〜…。
ミュージカルは最高だが、物語の纏まりの無さは気になる。
時間の制約のためにストーリーが描き切れていない感じがしたので、一つ提案。
ストーリー2時間、ミュージカル1時間の計3時間として、この映画を再編集してみたらどうですか!?
ファミリー映画としては長すぎだけど、この作品にはそれだけの時間を割く価値があると思いますよ。
この『ネクストステージ』で物語は綺麗に幕を閉じた。
続編の必要は無いんだけど、まだまだムーン一座の活躍を見ていたい気もする。
本作もヒットしているようだし、多分続編は作られるだろう。『3』の公開まで、首を長くして待っていようかな🦒
おっしゃる通りだと思います!
音楽良し、声優良し、迫力良しの映画だけど、クレイとジミーの描き不足は確かに感じられました。この尺にどうしても収めたかったのだろうけど、ここをお粗末にしてしまったのは勿体ないですよね。私も3時間バージョン見たいです