流浪の月のレビュー・感想・評価
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映像と演技は良い。ストーリーの奥行きがもうひとつ。
主演の広瀬すずさん、松坂桃李さん二人も、その脇を固める横浜流星さんや多部さんの演技も素晴らしい。特に流星くんは新たな境地ではなかろうか。子役も広瀬すずにしかみえないくらい演技は良かった。 150分だがだれずにみられるのは映像や演技のよさのおかげだと思います。 ただ更紗の過去の描写が少ない、文と恋人のくだりが不足気味、アンティークショップどうなった?など、たぶん原作では描かれていたであろうエピソードがなくて不完全燃焼感はあるのでもやもや。原作読むしかないか。 演技は良かったのだがストーリーの点からはもう一度見たいというほどでもない。
大きく荒れることのない湖の様な作品
原作泣かせです。 鑑賞後全てにおいて物足りなさが残ります。 何故初めに幸せな家庭を描かなかった? 幸せがあったからこその不幸だと思うのですが…? 原作の順序だった物語がバラバラに組み直されて観る者を残念な気持ちにさせます。 亮くんのDVだって1回っきり。 何度もDVと贖罪を繰り返すからDVの愚かさがわかるのに…(事務所的にNG?) アンティークショップにしても店終いするからこそのプレゼントなのにあれでは気前のいいジィさんw 多部ちゃんだって心に傷があってこその文との繋がりを求めるって設定なのに何も無し。 梨花ちゃんにしたって投げっぱなし。 梨花ちゃん出すのなら2回キッチリと預けさせて亮くんと文の違いをみせないと。 ラストのハッピーエンド?だって観せるべきだよね。 原作読んで期待した人にはちょっと残念かなと。
#36 成長できない2人の男
最近立て続けにテーマの重い暗い映画を観ているせいか、これはまだ明るいほうに見えてしまった。 フミもリョウもまともに大人になれない男で、そんな中でも世間一般的にはまともに見えるリョウと恋人関係を続けようと努力するも、結局フミに惹かれてしまう更紗。 今まで明るい元気な女子を演じることが多かった広瀬すずが大人の女を演じていて結構ドキドキした。 横浜流星クンがベッドシーンもダメ男も似合うから、余計酷い男に見えるのよ。 フミが物理的に成長しない出来損ないならリョウは精神的にわがままな子供のままで、対照的な男性を表してるのが面白い。 どっちも出来損ないなのにフミは犯罪者でリョウは表面化しないから社会的エリートっていうところが歪んだ日本社会を表している。 幸せに生きる場所は日本にはないと思うけど、フミと更紗には幸せに生きて欲しい。
胸が苦しくなるような「切ない」映画だった…
1つ目の「切なさ」は、 大学生の文が10歳の更紗を同居させたことで誘拐犯にされてしまうこと 自分の身の安全を守ってくれる「大人」と「家」が 「ない」と感じていた更紗に、安らげる「家」と一人ではない「安心感」を与えた文は、一生背負わなければならないほどの犯罪を犯したことになるんだろうか… そして、2つ目の「切なさ」は 文と更紗が子供の頃から抱える性的な問題 デリケートな問題だけに、絶対に人には知られたくない しかしそれを話せないことが、誤解やトラブルとなってゆく… ネットに本当かうそかわからない情報があっという間にとびかう時代 世の中には、少なからず「生きにくい人」、「行き場のない人」がいるんだろうな 文と更紗はお互いの存在自体が、唯一の「生きていける場所」なのかもしれない 松坂桃李と広瀬すず! さすがの圧巻の演技で、作品ががっちり成り立ってます 一皮むけたような横浜流星の演技も秀逸でした また、 画面に風、陽の光、水や雨などが、動きをもってきれいに差し込まれ、作品タイトルの「月」をよりシンボリックにひきたてていました そして、見終わったあとにその寂しげで冷たく光る月の映像が、しばらく心から消えない… そんな、余韻を残します
求めている真実の愛
色々と打ちのめされる作品でした 伝えたいことも色々感じました 出演者が美男美女? これはある意味卑怯的な作品… 全く知らない役者が演じていたら私的にはもっと良かったかと思います 私の心に残る作品のひとつになると思います
恩讐の彼方。
「流浪の月」 原作を刊行当時読んでいる作品の映画化。USENの宇野康秀氏が自身の製作会社で制作、そして依田巽氏のギャガが配給。六本木の有線ギャガ時代の豪華すぎる天空の試写室に、思いを馳せる。時間は、甘美で残酷で、その激流はすべてを漂白していく。 広瀬すずを見つめる2時間。ヒロインの子供時代の少女も存在感があって良い。李相日監督は、うまい。
本屋大賞を受賞した作品なのでどう描かれているか期待して観てきました。
兎に角、役者選びは成功したと思います。内容が少女拉致事件のその後を描いていて主人公の二人は支えあって暮らしてたのに誘拐事件になり数年後に合う事で本当は会いたかった二人だと思いました。松坂君は表情からじぶんを押し殺して生きてきた文を演じてうまいなと思いました。すずちゃんも上手いし、癖のある恋人を演じた横浜りゅせいくんも役者として新境地を得たと思います。撮影担当の韓国の人の描く画面はとても綺麗で、静かに燃える映画だと思いました(。怒り)とか李監督の描く世界で全てを切り落として説明しなくても伝わる映画でした。
濃密な150分、流浪の感情に心が騒ぐ
それは、今まで感じたことのない150分。凄く濃密であり、 不正解な部分ですら受け入れてしまいたくなる。まさしく「流浪」であり、その彷徨いに心が揺れ動く。 『怒り』や『フラガール』など、映画好きを問わずとも知られている作品を多く手掛ける李相日監督。しかしながら、私は今作で初鑑賞。妥協のない作品作りと圧倒的な描写力が持ち味だとは思っていた。実際、監督のアフタートークからも感じたのだが、凄く丁寧で誠実な作品作りをしていることが感じられる。求めていくもの一つ一つに妥協点がなく、それがフレームに収められている。だからこそ、観ているこちら側も逃れられず、濃密な時間を過ごすことになる。 誘拐された女児と誘拐犯。2人にしか分からない時間と、2人の気持ちなど到底分からない外の世界。その不可侵な領域に何とか適応としたり、藻掻いていく姿はとても苦しく、非常に繊細さが際立っている。痛みを覚えるような描写も多いが、小説をヒラヒラとめくるような暖かさも内在している。だからこそ見届けたくなってしまう。そして、言葉を失うほどに素晴らしい作品を観たように感じたのだ。 主演の広瀬すずさん、松坂桃李さんが本当に素晴らしい。監督も広瀬すずさんの活躍を「段々と上がるハードルを乗り越えていく姿を見てきて、また仕事がしたいと思った」と言っていた。それでもまだまだ伸びしろを感じさせると評していた。もはや彼女に「体当たり」など安々とした形容は要らないのである。 また、松坂桃李さんってなんであんなに明度を落とせるのか。俳優としての色気はそこになく、感情がゆらゆらと常に揺れている。最後まで圧倒されていた。 撮影監督のホンギョンピョ氏が魅せる、曖昧さに加担する心理が絶妙。なんとも言えぬ凄みに飲まれた。
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