流浪の月のレビュー・感想・評価
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2時間半…⭐︎
上映時間が長いので、正直 若干鑑賞を迷ったが、映画の配役が発表された時点で原作を読むことにした作品。
しかし、短く感じないまでも緩やかに まさに流されていくように物語は進む。
広瀬すずは、やはり何を演じてもそつなくこなす。
松坂桃李は、まさに原作の文そのもののような暗い洞窟のような目をして佇み、
おそらく相当 体を絞っての参加。
この二人が主役になった時点でこの映画のイメージは確立されているように思う。
映像が冒頭からとても美しく引き込まれてゆき、省略された場面ももちろんあるが、
沙羅が働くファミレスや文のカフェの様子もぴったりでほぼ原作に忠実に物語が語られる。
横浜流星が、DVに自分自身も苦しめられる役を熱演。
こういうタイプの彼を見たことがなかったので、すごく新鮮に感じることが出来た。
この原作だと、もう少し若い人が主役になり恋愛映画になってしまいがちだが、
さすがに、李相日監督、とても深い善悪の境界が滲み出ている。
本人達以外に誰にもわからない世界は、やはりある…
それは、誰にもジャッジ出来ない。
引き抜かれた木(原作ではトネリコ)に、自身を重ねる人は多いと思う。
でも、この物語は二人が出逢ったことが救いになっている気がしている。
文のそばにいる時だけありのままの更紗でいられる
主人公更紗を演じた広瀬すずと、更紗の少女時代を演じた白鳥玉季。似ているようで似ていない二人が全く重なって見える瞬間が何度もあった。
文のそばにいる時のありのままの更紗、引いてしまうくらい自由な誰のものでもない更紗。15年後の広瀬すずが演じている更紗はまるで10歳の少女のようだ。
月は欠けてもまた満ちてくる、その繰り返しであるが二人には幸せになってほしいと願わずにいられないラストだった。
昨年、吉永小百合の引き立て役で誰が演じてもいいような役柄で共演していた広瀬すずと松坂桃李。才能のある、そして映画スターとして華のある二人がこのような重く切ない作品で再度共演して素晴らしい演技を見せてくれた。映画ファンとして幸せを感じる。
もっともっとスクリーンで活躍してほしい。
内田也哉子さんはあまりにもお母さんに似てきすぎてなかなか普通の役は難しいだろうな。注意がそっちへいってしまう。
原作では更紗と文が「トゥルー・ロマンス」を見ていたと、今サイトのレビューで教えてもらったので、鑑賞前にDVDを借りて見た。見てよかった。本当によかった。ありがとうございました。
惜しかった
全体が1つの曲にそって流れる様な映画
トータルで素晴らしい
李監督の作品、それぞれの物語の「好き・嫌い」と言う主観はさて置き、全ておいて紛れもなく「映画」と感じるものを観させてくれる。特に今作『流浪の月』は脚本、キャスティング、演出と演技などトータルで素晴らしい。
オールラウンダーでどんな役でもこなし、この世代の男性俳優ではトップの実力と言える松岡桃李さんが間違いないのは言うまでもない。
対する広瀬すずさんも、彼女史上で最も「演技」が光る。生きていくために身につけた「(やり過ごす)笑顔」は、鑑賞している我々が彼女の事情と想いを知るにしたがい、その「痛み、そして凄み」を感じさせる。
また、『永い言い訳(16)』で映画デビューした白鳥玉季さん、透明感とはつらつさの裏に感じさせる「後ろ暗さ」。
そして、横浜流星さんの初めのシーンから一瞬にして感じさせる「いけ好かなさと暴力性」。
さらに、「こういう役をやらせたら」と、完全にハマっている趣里さんと三浦貴大さん(貴大、太ったなw)らが周りを固め、鑑賞者を違和感なく物語に没入させてくれる。
TOHOシネマズ日比谷は公開1週目のわりに小さめ箱でしたが(『シン・ウルトラマン』に割りすぎなんだよ。。)、平日(サービスデイ)朝一の回は客入りもまあまあで、客層は比較的年齢高めな感じ。そのせいか、中盤以降トイレ退出数名ありましたが、私的には150分十分見応えがあって長くは感じませんでした。良作です。
衝撃。見た後ボーとしてしまう
想像
静謐な叫びと微かな救いを示す月の光
それぞれが深い痛みを抱えていて、だからこそ人生がうまくいかず、苦しみもがきながらかすかな愛をつかみ取ろうと苦闘する。そんな人々の姿を丁寧にそして静かに描いている。
饒舌な叫びではなく、ひとり密かに、誰にも悟られることなく、苦しみは暗闇や水の中で吐露され、それを月は物言うことなく見つめている。
原作が素晴らしいのだろうけど脚色も良い。役者も良くて松坂桃李をはじめ子役の白鳥玉季、横浜流星など物語に説得力を加えている。
監督の演出のうまさと、それを引き立てるホン・ギョンピョのカメラ。美しい静物画のようなシーンに目を奪われる。
そして原摩利彦の硬質なピアノ。前作の「怒り」の坂本龍一のような印象。とても良い。今後チェックしたい音楽家になった。
重く困難な問題だけど多くの人に普遍的なテーマを扱っている。
結末に微かな希望が見えたのが救いだった。
長くない150分間
松坂桃李だからこその
人の毒々しいところを丁寧に捉えた作品
広瀬すずと松坂桃李
とても美しい物語だった
テーマは「居場所」だと思う。本作品の台詞で言えば「逃げる場所」となるのだろうか。逃げる人がいれば、逃げられる人がいる。逃げられる人は、次は逃げない人、逃げる場所のない人をターゲットにしようとする。そうして亮くんは更紗を選び、更紗はそうと知らずに亮くんと付き合う。
逃げる人が心を許せるのは、自分と同じ逃げる人だ。更紗は文を心の拠り所とし、文は更紗を受け入れる。「居場所」は土地ではなく、一緒にいる人にあったのだ。大人になった更紗は、漸くそれに気づく。文が子供時代の自分の居場所になってくれたように、これからは自分が文の居場所になる。多分、文も再び自分の居場所になってくれるだろう。どこに行っても、ふたりで同じ月が見られれば、それでいい。
とても美しい物語だった。
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