流浪の月のレビュー・感想・評価
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繊細な演技
桃李くん、流星くん、すずちゃん、3人とも難しくて、パブリックイメージを損ねかねない役を、よく受けたなぁとおどろきつつ感心しました。
しかも、すごく繊細な演技は引き込まれてよかった。
カメラワークや色遣いと相まって、悲しみの深さがよく表現されておりました。
桃李くんがギスギスに痩せなきゃいけなかった理由は、観ても分かりにくいのですが、たまたま自分には知識があったので納得できました。
ネットに残った過去の事件……いわゆる「デジタルタトゥ」による、無関係な第三者の、元受刑者への差別と嫌がらせの描写は、フィクションとはいえ、なかなか嫌なものがありました。
ただ、後になって冷静になって考えると、現代の疑惑に対するいろいろな反応がおかしくないだろうかと。
週刊誌が本人への裏取りなく誹謗中傷記事を載せていることと、子どもの親の被害届もなく裁判所の逮捕状もなしに、警察が任意同行ではなく逮捕して連行しているあたりがどうにも違和感があり。
映画の表現だとそんなところが気になって、原作を読みたくなってしまいました。
たぶん、小説なら瑕疵はないんじゃないかorこのモヤモヤが解消されるんじゃないかと期待して。
引き込まれる
キレイな月ですね
間もなく50歳になりますが、「愛」がどんなものなのかは分からずにいます。
が、更紗と文が終盤に至った感情や空気には、これが「愛」なのかと思わせる雰囲気がありました。それが愛だとしたら、やはり愛にはいろんなかたちがあるんだと改めて気付かされました。二人の関係もその一部に過ぎないんでしょう。
散々な悪態つかれた亮に対し「これまでありがとう」と言い、唯一の拠りどころである文に対し「迷惑かけてごめんなさい」と口にする更紗が印象的でした。
「親ガチャ」の影響を受けた二人が「社会ガチャ」とも言える環境に流されていく。最終的にそれを受け入れられた二人は羨ましくも見えました。そんな存在と出会えた二人、キレイな月を一緒に見上げられた二人はある意味幸せですよね。
「二人」の関係は他の誰が理解、評価するものではないし、自分の想いを大事にすることが何より大事であることを再確認しました。
最後に、この映画は難役をサラッと表現した広瀬すずさんの存在がなくてはありえない映画でした。
人生に絶望し、あきらめてきた二人が見つけた選択
15年前の誘拐事件。当時の被害者と加害者は再会を果たす。
心に傷を抱え、人生をあきらめてきた更紗と文二人でいる時こそ、自分らしさを出せている。
しかし、世間が許さない。全く言うことを聞いてくれない警察、悪意に満ちたマスコミ、一般人の攻撃。
再会して本当によかったのか?
なんとも言えないが、人生に絶望し、諦めてきた二人の最後の選択にどうか救いがあればと思った。
心に傷を抱え、被害者として上辺の同情と可哀想のレッテルを貼られ生きる更紗の不憫さ。
他人とのやりとりで見せるぎこちなさが上手い。
それと横浜流星の新境地。
更紗を束縛・支配しようとする面と裏切ってほしくないという心の弱さを持つ二面性。
中盤、再登場するシーンの姿には少し鳥肌がたった。
あまり魅力を感じない2枚目俳優だと思っていが、見事にやられた。
李相日×種田陽平作品
月はどっちに出ている
切なすぎる
最初から最後まで
どこも手抜きをしてない
切なすぎて、もどかしくて
最後は
あぁ、良かったなぁと少し救われました
諸手を挙げて良かったとは言えないですが
お互いが心の支えになれる関係になるなら
見守りたいです
俳優陣も凄かったです
松坂桃李は全般物静かでしたが
池でぎゅっと手を握り締めたところ
裸でうずくまったところの感情がたまらない
泣いちゃいましたね〜
横浜流星のクズっぷりも最高でした
まるっきり亮でした
救急車に乗る前に手を振りほどくところは
グッときてしまった
さらさのお二人にも感情移入しちゃって
映画の長さは全く感じなかった
心に残る場面は書ききれないくらい
たくさんすぎて困る
また、じっくりと見たい作品です
追記
先日、テレビ番組で
三浦友和が 流浪の月 良かったよ
と横浜流星に言ったとの事
同じ感想だったんだーとちょっと嬉しい
2人を取り巻く人々の微妙な機微と本音、徐々に露わになりぶつかり合う...
ポップコーンを買わない方がいいです。
天晴!広瀬すず
そんなことって、、、
広瀬すずの体当たり演技が印象的
役者の熱演は良いのだが、肝心の内容は薄い。リアリティ皆無の失敗作。
舞台挨拶中継付きの初日上映を鑑賞。
広瀬すずの久々の主演映画という事で楽しみにしていました。しかし、余りの酷い出来に驚愕。現実にはありえない、突っ込み所の多いエピソードが多過ぎて、感情移入も出来ません。役者陣は良かったのですが、監督と脚本がダメ過ぎて、肝心の内容が台無しになっています。原作自体がボーイズラブ小説が売りの女性作家が描いた妄想ファンタジーに近いのですが、それを監督が更に作り変えて、原作に無かった改悪場面が多く、更に混乱を招いています。
暗くて気分が悪くなるようなシーンがやたらと多く、2時間半と長いわりに説明不足。それぞれの人物描写や過去や背景などが深掘りされてないため、内容が薄く感じます。広瀬すずのベッドシーンも酷いもので、気持ち悪く不快な描写がやたらと長くてウンザリ。ストーリー上の設定や意図があったにしても、もう少し綺麗に撮ってあげる余地はあったはず。前半も疑問だったが、後半は更に「このシーン、必要か?」と疑問に思う所が多く、違和感が増してくるし、あそこで警察が介入してくる事自体が、リアリティが無さ過ぎて、お粗末な展開に呆れるばかり。ラストの展開も蛇足感があり、結局は彼らの愛がどこまで本物なのかも伝わってこないまま、尻切れトンボみたいに終わってしまいます。
俳優さん達は本当に素晴らしい人ばかりでしたが、制作サイドが駄目な印象です。若手人気女優でトップクラスの広瀬すずも、ようやく久々に主演映画が出来たと思ったら、こんなダメな映画に出演させられて、無駄に汚れ役をさせられて、酷い目に遭わされてる・・・という痛々しい気しかしません。この監督自身、心から伝えたいものなんて、それほど持っていない人なのだと感じました。そうでなければ、こんなに薄っぺらく意味不明なダメ映画にはならなかった。何よりも脚本をこの監督に書かせたのが、大失敗だったと言えるでしょう。別の腕の立つ脚本家に任せれば、もっとマシな映画に仕上がったに違いありません。
終演後に舞台挨拶中継があったのが救いで、それだけ楽しめたという感じでした。日本には良い俳優が沢山いる事実を改めて認識しました。それだけに今回のこの映画の内容の中身の無さや、出来の悪い脚本には、本当に残念。とても人にオススメなんて出来ない、気分が悪くなるだけの映画です。ひたすら暗くて不快で、本当の愛すら描けていません。その代わりに、心を病み過ぎてる?変な人物ばかりが、それぞれ異常な行動に走る。そんな場面を増やして、余り物事を深く考えないタイプの観客を引き付ける。そんな安っぽい技法や演出で、内容の薄さが誤魔化されてる感じがあります。広瀬すずの無駄使いみたいな映画でした。次回はもうちょっとマシな監督の作品に出てほしいですね。あと、多部未華子が結構重要な役で出ているのに、何故か出番が思ったよりも少ない。これも別の意味で多部未華子の無駄使い、と感じてしまいました。
これだけ酷い内容なのに、絶賛してるレビューが異常に多いのが不思議。
関係者やサクラが多いのかもしれませんが、それだけではないような気もします。「内容がよく理解出来ない」と言いながら、「俳優の演技が上手いから」とか言って、高得点をつけてる人が多く見られます。「自分の好きな俳優が頑張ってるから、悪い評価はつけたくない」みたいな感じでしょうか。
この映画では広瀬と松阪、メインの2人が何度も酷い目に遭わされる場面が繰り返されて、重苦しくて救いようのない不幸のどん底みたいなパターンを執拗に見せつけられます。冷静に見ていれば、本当は好きでも愛してもいないダメ男と同棲して、婚約までしてしまう時点で、主人公自身に大きな問題があると分かるし、わざわざ自分からトラブルを招くような異常行動をしてる事が分かるので、全く共感が出来ません。
更に冷静に考えていくと、こういう現実性の無い妄想ファンタジーの物語自体も問題だと分かるし、更にその原作を作り変えて改悪している監督も、問題だと分かります。こういう明らかにおかしな映画を見て「可哀そう!(涙)」「素晴らしい!迫真の名演技だ!」とか「何かよくわかんないけど、深いかも」「何かわかんないけど、考えさせられる」とか言って、ひたすら号泣して大感動してしまう人達。そんなパターンがツボの思考停止した日本人が、実は思った以上に多いのかもしれません。「今年の映画でベスト1位だ!」なんて言ってる人までいて、実に恐ろしい限りです。
人に勧める感じ、じゃ無いけど面白い
ワンランク上の作品
疲れた夜の上質体験
原作未読で、お疲れ気味の平日の夜に鑑賞。
150分もの作品を観るのは久々のため、少し心配もありましたが、最後まで引き込まれてしまいました!
テンポは早くないし、セリフもあまり多くない。
でも表情や間合いなど、シーンごとに沢山のメッセージが発せられていたのだろうと思います。
まず冒頭から映像が美しい。。
他の方もレビューされていましたが、全体を通して、光や風、水、月といった不定形なものの描写が印象的でした。
昼間の自然光(文の部屋)や、夜の灯り(カフェ店内)も見所。暗闇の大画面で観られて良かった。
また主演のお二人は言わずもがな、どの俳優さんも見ごたえがありました。
キャスティングの経緯が気になります。
横浜流星さんを初めてきちんと観ましたが、とても演技派だったのですね。
白鳥玉季さんも難しい役どころを自然体で演じていて、これからの活躍が楽しみです。
(広瀬すずさんの子ども時代がぴったりすぎて、驚きました)
ストーリーについては、一般的な恋愛関係ではないということで(ソウルメイト…?)、表現の度合いが難しかったのではと思います。
外野からすると「本人たちが良いならそれで良いじゃん」となりますが、果たして実生活で、見知った人が同じ境遇だったら、、?
自分はそんな境地でいられるのか、邪推をしないでいられるのか、考えさせられました。
しいていえば、終わり方が少し唐突に感じました。「あれ、エンドロールになった!」と。
原作とどう違うのか気になります。
個人的には、更紗と文が仲良く「パプリカ」を観ていたのが一番のツボでした!
2つの笑顔
さてさて、やって参りました。化け物俳優・松坂桃李の新作でございます。本作も非常に楽しみにしてました。ただ、やはり重いのは勇気がいる。150分という邦画にしてはかなりの長尺のため、気合を入れて鑑賞。結果、素晴らしい作品でした...こりゃ日本だけに上映するのは勿体ないよ。
どうやら本作の撮影監督は「パラサイト 半地下の家族」の方らしい。お見事だった。光陰や焦点などのこだわりがすごく、映像だけで孤立感や閉塞感が感じられるようになっていた。登場人物がどのようなことを思っているのかがひしひしと伝わる、映画ならでは・映像化したからこそできる技法を多く採り入れていた。また、原作を読んでいない私からすると、どのような言葉遣いでこの繊細さを表現したのかが気になり、原作を読んでみたいなと思った。これほど実写化成功の作品はそうない。既読未読両者どちらでも楽しめると思われる傑作です。
そんな映像も相まってか、重厚感がとてつもなく、なのに時間を感じさせない作品で、最初から最後まで心持ってかれっぱなしでした。映像だけでなく、音楽の質もかなり高い。不意に流れる陽気な音楽でさえ少し怖さを感じさせてしまうほど、鋭く悲しい曲調の連続。おそらくこの映画、無声映画でも胸が締め付けられると思う。そのくらい、映像・音楽・編集・演出が今年の邦画、いや、全ての映画の中でも頭1つ抜けています。今年の映画を語る上で、この映画は欠かせないかなと。
広瀬すず主演の映画で面白いなと思ったのは「一度死んでみた」のみ。「三度目の殺人」も「ちはやふる」も全くハマらなかった少数派です。演技が上手い、っていうイメージも正直ないですし、松坂桃李も出演しているといえど少し不安でした。が、この映画でその印象は完全に覆りました。たった一つの「笑顔」という表情で、2つの想いを物語る。こんなにも孤独な愛想笑いを見たのは初めて。心の中に潜む事件を知る全ての人に対する「諦め」、文(松坂桃李)に対する愛ではない「好き」を強く繊細に表現。こんなにも上手い女優だったのか...。間違いなく、彼女の代表作となるだろうし、アカデミー賞も主演女優賞取るでしょうね。
松坂桃李もまた、怪演です。
この役のためにかなり痩せたらしく、おかげで変態色が強くなっている。傍から見たら変態ロリコン野郎だけど、中身は一緒にいると何故か癒される物静かなお兄さん。これを演技で見せれる彼は何者ですか?ラスト30分なんてもうなんと言ったらいいか...。胸が苦しくて苦しくて、一粒涙を流してしまった。改めて、天才俳優だということを実感させられました。
この2人以上に強烈なのが、カメレオン俳優・横浜流星。めちゃくちゃカッコよくて大好きな俳優なんですけど、今回はもうやばかった、!!目が怖い...。自分が更紗(広瀬すず)を守らなきゃと言って、次第に彼女をコントロールしていく。行動を制限し、暴力を行い、暴言を吐くのにも関わらず、傷ついた彼女を見て抱きしめ、致そうとする。いやもう、ゾッとするどころか、吐きそうになりました。ネタバレになっちゃうのであまり言えませんけど、横浜流星の映画と言っても過言じゃないくらいインパクト大でした。
拭いきれない違和感というのは残ったままで、世間と警察の描写がどうも納得出来ずじまいって感じはあったのですが、役者の怪演・映像美・脚本・構成・音楽などなど、世界に誇れるものが沢山詰まった秀作でございました。カンヌ国際映画祭に出品して欲しいな。見る際は覚悟を決めて、ご覧下さい。
全401件中、221~240件目を表示