流浪の月のレビュー・感想・評価
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衝撃。見た後ボーとしてしまう
小説を読まずに見ました。
独特な世界観。過去と現在を行き来しながら伏線が回収されていく。時間が長いので集中力が切れないか心配でしたが、完全に没頭してしまい、全く長く感じませんでした。
広瀬すずのインタビューをたまたま見る機会があり、魂を削って演じたとか(?)。すごい伝わってきました。また松坂桃李も別人でした。脱帽です。最後まで緊張感をもって見れました。
ストーリーや演技、全てが衝撃であまり処理できてません。皆さんにも是非見て頂きたいと思いました。
この後は少し楽して観れるものを見たいかも笑。
やっぱ映画ってすごいなと思いました。
善と悪
居場所のない2人が出会い、惹かれあう。しかしこの2人には一緒になってはいけない決定的な理由があった。それは年齢。
こういった禁断のラブストーリーだと思って見ていた。そんな自分の読みの甘さに愕然とした。
文は小児性愛、いわゆるロリコンとして世間からバッシングを受けるが、居場所のない更紗にとっては唯一心を開くことのできる"愛すべき"存在。
そして男性として"ハズレ"である文にとって、肉体関係を排して自分を愛してくれる更紗は"愛すべき"存在。
この2人の間にある"愛"は、もちろん肉体関係でもなければ、恋愛感情でもない。
ただたまらなく相手を愛おしいと思い、相手のためならどんなことでもできる、そういう"愛情"なんだと気づくことができたのは、この映画を見終わって少し経った後だった。
亮くんは、恋愛感情と孤独からくる支配欲を取り違え、
文の恋人は、肉体関係がないことを愛がないことだと誤って結びつけ、
世間は、男女が2人でいることを恋愛や肉体関係と取り違えている。
そういう区画整理された感情を、まだ知らない子どもたちは、自分の意思を尊重してくれる相手を、純粋に"好き"と感じる。
この2人が穏やかに暮らせる場所は、いまの日本にはまだないのだと、自分自身ラブストーリーとして見ようとしていたことを通して、気付かされた。
「怒り」同様、情景描写は美しく、登場人物たちの生々しい表情は残酷に、この対比の映像演出が素晴らしい。
俳優たちの演技も圧巻で、更紗にだけ心を開く文を演じる松坂桃李さん、ほんとうの自分自身を抑えて周囲と接する大人になった更紗を演じる広瀬すずさん、おふたりの表情や台詞の機微が素晴らしい。
色気の群れ
日曜日に行ったのもありますが、300人近いスクリーンが満席になるくらいの大盛況っぷりでした。
面白いは面白かったのですが、どうも警察まわりの描写が気になってしまい、やや物語に乗れず…。
役者陣の演技、これはもう凄まじかったです。広瀬すずさんの色っぽさと怖さ、松坂桃李さんの優しさと共存していた悲壮さの表し方、横浜流星さんのダウナーな雰囲気、と演技合戦のレベルの高さに震えました。カメラワークや映像の美しさも素晴らしく、骨太な邦画の映像だなと思い嬉しかったです。
ただまぁ、邦画あるあるの警察描写がズタズタという…。フィクションにとやかく言うのもアレなのですが、文に対して一方的な感情や謎の正義感ばかりで動いていないかと思ってしまいました。
一般人がそういう撮影や悪戯(良くはない)をするのは目立ちたいとかの私利私欲があるとは思うのですが、それを警察がやっちゃあかんでしょ…と。
成人女性と同僚の預かっている子と過去に冤罪ではあるけれど罪に問われつつも、現在は普通に暮らしている一般人の図を疑ってかかること自体割と理解しかねます。最後の経営しているカフェに突撃して子供を無理やり引き離し、実力行使で文をねじ伏せる行為にも疑問符が。ここまで手が回らなかったのかなとは思いましたが、そこが引っかかってしまっては最後、集中力は蚊帳の外でした。
褒めるべき部分よりも懸念点が強すぎたが故に評価やや低めになりました。うーんお粗末様でした。
鑑賞日 5/15
鑑賞時間 12:05〜14:45
座席 G-4
想像
静謐な叫びと微かな救いを示す月の光
それぞれが深い痛みを抱えていて、だからこそ人生がうまくいかず、苦しみもがきながらかすかな愛をつかみ取ろうと苦闘する。そんな人々の姿を丁寧にそして静かに描いている。
饒舌な叫びではなく、ひとり密かに、誰にも悟られることなく、苦しみは暗闇や水の中で吐露され、それを月は物言うことなく見つめている。
原作が素晴らしいのだろうけど脚色も良い。役者も良くて松坂桃李をはじめ子役の白鳥玉季、横浜流星など物語に説得力を加えている。
監督の演出のうまさと、それを引き立てるホン・ギョンピョのカメラ。美しい静物画のようなシーンに目を奪われる。
そして原摩利彦の硬質なピアノ。前作の「怒り」の坂本龍一のような印象。とても良い。今後チェックしたい音楽家になった。
重く困難な問題だけど多くの人に普遍的なテーマを扱っている。
結末に微かな希望が見えたのが救いだった。
長くない150分間
松坂桃李だからこその
最後のシーンは衝撃。
■行き場のない小学生と孤独な大学生の同居は幼女誘拐?
10歳と19歳。
9歳差のカップルは普通ですが、対象が10歳だと幼女誘拐。
でも更紗と文の関係性は洗脳でも誘拐でもなく。2人の関係性は子供の時から大人になっても何変わらず。
恋人でも友達でもない独特な距離感の関係性。文は一人は嫌だけど恋人も友達もできず孤独。更紗は実質帰える家が無い。
更紗に居場所を与えて自由にさせてくれた文。
文を孤独から救ってくれた更紗。
実質、誘拐ではないのに、世間は文を犯罪者の変態扱いし最後まで文を偏見で見て罵るばかり。
「人は見たいようにしか見ない」
更紗の言葉が印象的でした。
残り15分、ココから短時間でどう結末を迎えるのか?という場面から、衝撃的な結末を迎えます。
最後は更紗と文が離れ離れで終わらなくて良かった。
■松坂 桃李さんの役作りが凄い
松坂 桃李さんは「孤狼の血 LEVEL2」でヤクザと対決していたのに、今回は静かで穏やかで優しくでもちょっと暗く元気が無い文役。
痩せた事もあり、キャスト一覧を見るまで文が松坂 桃李さんだと気が付きませんでした。
■広瀬すずさんの「ねえ文?」
広瀬すずさんの「ねえ文?」というセリフが印象的でした。
彼氏の亮君(横浜流星)といる時と違い、「ねえ文?」と明るく奔放な子供時代の更紗本来の一面が現れリラックスしている感じが表現されていて、何度も出てくる「ねえ文?」というセリフは一番印象に残っています。
■細かい部分は時間枠のせいか端折りアリ
見ていくと色々??という部分はあります。小説と違う部分もありますし、映画は2時間30分でまとめる必要があるのでしょうがないとは思いますが、細かい部分が作りこまれていればさらに良かったかもしれません。
個人的には楽しめたので良い映画でした。
人の毒々しいところを丁寧に捉えた作品
広瀬すずと松坂桃李
あーなるほどね
松坂桃李の演技と役作りがとにかく凄いと思いました。広瀬すずと横浜流星の濡場はかなりハードでびっくりしました。横浜流星のDVの場面や生活が荒む場面を観て、かっこいい流星から脱皮し演技の幅が広がったなと感じました。
広瀬すずは濡場もあり暴行にも性的暴行にもあっているにもかかわらず、その表情からは歩んできた人生の悲愴感がいまいち伝わらくて、この映画を通してそこだけが噛み合わず浮いている気がして気になりました。可哀想な子ではないと言いつつ、可哀想な子の表情であって欲しかったです。体当たりが勿体なく感じました。子役のかたのほうは若干悲愴感伝わりましたが。今後に期待したいと思います。
最終的に、なるほどそういうことかー。と納得したものの、演技や役作り、話題性、豪華な俳優、全て加味せず、ストーリーだけ考えると幸せなサクセスストーリー的な要素は皆無で、生きづらさ、性的暴行、毒親、病気など暗さがギッシリ詰まっている為、観終わってからその暗さとかやり切れなさがじわじわ効いてくる映画です。
ぜひ原作を読みなさい、ホントは面白いよ!と思わせるつまらない作品
いつも映画を鑑賞料で評価しているのでいくらかと言えば「200円」。わたくしシニアなもので1200円にて鑑賞。ので、今回の鑑賞料が200円なら納得します、という意味です。無駄な時間でした。まぁ年金くらしなので無駄な時間ばっかですがw。
映画終了とともに脚本は誰なのかぜひ確認したくて見ていたら、なんと監督本人じゃないですか。脚本家には向いていない方?なのか、それともほんとは書き換えたかったが原作がちんけすぎて致し方かなった?のか、、、。脚本のせいで期待した主演のおふたりがあまりにかわいそうなほど。そういう意味では脚本によって大したことない俳優が名優とか言われてしまうこともあるんだなぁと勉強になりました。
最後の5分で「これは大ドンデン返しがあるのか?」と思ってしまったほどの桃李さんの全裸シーン。ここでビンタくらわされたら参りましたの1本負けだったはずなのに、そのシーンの後エンドロールが終わるまで、多分余命長くない私の寿命が「ざまあみろ!」と今話題のかかと落としの連続技を私にみまっているのでした。(でも、あの全裸はいったい何だったのですか?。何かの障害があるとか重要な意味があったの?。それに画面が暗すぎて全くもって何が写っているのか分からなかった。)
もしかしたらずっと付きまとうイマイチ感は、ひょっとしたら「ねぇねぇ原作読みたくなったでしょ^^」という深遠なステマじゃなかったんかと、5月も半ば過ぎたというのに足元にガスストーブを点けて期待作だった200円の映画を反芻しているじぃさんでした。
最後ですが、李監督の次回作はきちんと期待いたします。
コンプレックスとトラウマの2人の純愛❣️
150分!長いなと観る前は思ったが最後まで全く飽きさせない。ラスト5分で超ビックリ!物語の根底にあるのは、子供時代のコンプレックスやトラウマ。そのような不遇の生育環境は大人になっても大きな影響を及ぼすことがある。更紗(広瀬すず)を誘拐して一緒に生活した文(松坂桃李)。逮捕されて少年院に入ったということは、文が18歳、更紗が10歳くらいの設定だろうか。誰もが文はロリコンだと思うだろうし、そのように見せる作り方をしている。そんな文に大人になった更紗がなぜ接近し、恋心を抱いたのか?子供時代と大人時代を行ったり来たりの撮り方で物語が進んで行きのめり込んでしまう。カーテンの揺れるシーンが印象深い。自分に無い明るさと自由さを持った更紗、寡黙だが優しくてわがままを許してくれる文。2人が純愛だったことはラスト5分で証明してくれます。最後に手をつなぎ月のように流れていけばいいよみたいなセリフ(うろ覚え)を更紗が言った時、意外にハッピーエンドだと思った。役者さんの演技も見所。重い影を背負った松坂桃李。かなり体あたりの大人の役を演じた広瀬すずさんはもちろん素晴らしかったが、DVの彼氏役の横浜流星の新境地を見た瞬間だった(スネ毛は意外に濃い)。趣里さんのチャライ役の演技も良かった。更紗の子供時代を演じた白鳥玉季ちゃん。今後も注目な子役です。文の母親役の内田也哉子さんの喋り方が樹木希林さんが乗り移ったのかと思うほどそっくりでビックリ❗️これから観る方は注目して下さい。ほぼラスト一言だけですけど。この作品は複雑な鑑賞後感を残したので、レビュー書くのに苦労しました。(勝手に書いてるだけですが)
とても美しい物語だった
テーマは「居場所」だと思う。本作品の台詞で言えば「逃げる場所」となるのだろうか。逃げる人がいれば、逃げられる人がいる。逃げられる人は、次は逃げない人、逃げる場所のない人をターゲットにしようとする。そうして亮くんは更紗を選び、更紗はそうと知らずに亮くんと付き合う。
逃げる人が心を許せるのは、自分と同じ逃げる人だ。更紗は文を心の拠り所とし、文は更紗を受け入れる。「居場所」は土地ではなく、一緒にいる人にあったのだ。大人になった更紗は、漸くそれに気づく。文が子供時代の自分の居場所になってくれたように、これからは自分が文の居場所になる。多分、文も再び自分の居場所になってくれるだろう。どこに行っても、ふたりで同じ月が見られれば、それでいい。
とても美しい物語だった。
三人の登場人物を通じて、社会病理を提起した心理映画
更紗と文、りょうの3人を軸としながら物語が展開している。
この映画は、恋愛を装っているが、恋愛を題材としながら、社会の病理を象徴的に担った3人 の心の軌跡が描かれている。
更紗は、家族(親戚)の息子から性被害を受け続け、性に対して拒否感を 持っている。文は母親の精神的虐待から、大人の女性を愛することに不安感がを持ち、小児愛の迷路に迷い込んでいる。
男を拒む女性と、女を拒む男性が、共感し引かれあう。しかし決して、この二人は互いを愛し合うことはないだろう。それは肉体的だけではなく、精神的にも共感はしあうが愛し合うことができない。何故なら、自分たちの過去の心の傷にとらわれ過ぎ、未来への共同志向がないからだ。
一方、りょうも問題を抱えている。それは、映画の最初のシーンにあった更紗との前戯や絡み合いで、うまく表現し暗示されている。それは、その後の更紗との展開でも描かれているように、恋愛を支配・被支配の関係ととらえている。共に協力する男女関係としての感覚がない。彼も、恋愛ができない種類の人間だ。
こうした人物(りょう)が生まれた家族背景は、映画には描かれているいないが、彼には強烈な劣等感があったはずだ。だから自分の劣等性を、更紗を支配することによって補償しようとしている。
映画の3人は、それぞれ違うようで、同じ種類の人間だ。自分の過去の暗い爪痕に捕まってしまった結果、今を真に生きることができず、他者へ関心をはらう余裕もなく、自分と自分の過去だけを見つめて生きている。そのため、他者への関心も、せいぜい、更紗と文が互いに 理解しあっている程度の狭い関係性の中にしかない。
それ以上の他者や社会への関心はなく、基本的に自分のことだけしか関心がなく、また過去の中でしか生きられないため、現実社会では、人間関係は薄く孤立している。
この映画は、現代社会の病理を、3人の登場人物を通じて提起した作品といえる。特に、心理描写がうまく映像化されているのではないだろうか、
全520件中、361~380件目を表示