「ちりばめられた沢山の問題」流浪の月 Normanさんの映画レビュー(感想・評価)
ちりばめられた沢山の問題
更紗は更紗だけのものだ。
人は見たいようにしか見ない。
印象的なセリフです。
世間から見たら誘拐犯。
あの頃の少女からしたら救いの手。
世間から見たらロリコン=気持ち悪いのレッテル。
彼からしたらここまでも悩んできた辛い思い出。
母親からハズレとされて、見てもらえてなかった事から
初めて自分をしっかり見てくれたのが少女だったから、
そこにいつのまにか惹かれて恋心が生まれたんじゃないかとと思いましたが、シンプルにロリコンだっただけじゃないかと言う人もいるかもしれません。
見る人によって受け取り方は変わる作品なのかなと。
本当に心配している人もいるんだよと言ってくれた店長の仕事先に、彼女を本当に心配してくれてる人なんていたんでしょうか?
なにもないと証言しても通らない世界で
週刊誌に好き勝手書かれて、また再び誘拐犯扱い。
沖縄に旅行に行った職場の女の人も、すごく仲良くしているように見えたけど、実際は子どもより自分の恋愛が優先で、連絡も取れなくなり帰ってこず。
小さい子にロリコンってなに?と聞かれたふみくんは
【小さい子しか好きになれない人のことだよ】と。
『じゃあふみくんのことじゃないね、サラサちゃんのこと好きだもんね』
【そうだね】
という会話も印象的ですが、
冒頭で、ふみくんの家にいるとき幼少期のさらさちゃんに
『ロリコンってつらいの?』と質問され
【それよりも辛いことが人生にはある】
みたいな会話をしていたのですが
あの会話は、ふみがさらさちゃんにロリコンを打ち明けていたのか、どういう経緯であの会話になったのかわかりません。
普段全然笑わないふみが唯一すごく嬉しそうに笑ってたのは、預かった女の子と遊んでいる時でした。
スポットが2人に行きがちですが
噂好きの職場の人、少女の母親、ふみの母親、
さらさの彼氏など、色んなところに沢山の
人の愚かさや、悩みや、問題が詰まった作品だなと思いました。
ふみの彼女もすごくかわいそうな結果となってしまって
できない理由は自分がロリコンだから、大人もできるかなと思って試しただけと、彼女を突き放すために
酷い言い方をしてましたね。
半分本音と半分嘘の演技力がすごかったです。
ふみの病気ってどんな病気だったのか
あとで検索しようと思いました。
裸になった時にこの役のために体つくりをしたのかな?
股間部分がおかしいくらい小さくて
その病気が原因で彼女とできなかったんだと
思うのですが、その病気の詳細がわからず。
後から調べて、なるほどなとなりました。
その病気が人に知られることを恐れていたんですね。
ロリコンと言うより、子どもならそういうことも
関係なく、人と人で一緒にいられるからシンプルに子供が好きということあるのかもしれません。
だから楽しそうに遊んでいたのかなと。
すごくガリガリで、肌も荒れてて、目の中も真っ黒で
演技はすぎて、引き込まれます。
横浜流星さんも、目つきの変わり方など
すごい演技力でした。
動くたびに怖いってなりました。
ナイフで刺しに行くのかと思ってハラハラしましたが
自殺をはかってましたね、彼がどれほど追い込まれてたかなんて、こちらにはわかりません。
人は知らないところで知らない悩みを沢山抱えてて
繊細で儚くてもろいけど、一つの光さえ見つければ強くなれるなぁって思いました。
10歳と19歳は犯罪で
25歳と34歳は犯罪じゃない。
分別がつく年齢かそうじゃないかなのか。
なんだか不思議な感覚になります。
原作を読まなければわからないことが
たくさんありそうです。
ラストの唇ケチャップを拭うシーンも
あれだけ見たら、え?ちょっとロリコン?ってなるかと思いきや、小説では
性的興味が沸くのかどうか確かめるためにしたが
特になにも感じなかった、と書かれているそうです。
自分の感情がどういうものなのか確かめていたのですね。
きっと単純に性的な気持ち抜きの好きが、
出てきていたのかもしれません。
この先の2人にどうか幸せになりますように。
そんな作品でした。
あと、広瀬すずさんと、幼少期役の女の子が
とてつもなくそっくりですごかったです。