「社会的マイノリティvs.未成年性加害」流浪の月 西田さんの映画レビュー(感想・評価)
社会的マイノリティvs.未成年性加害
大きくは、社会的マイノリティ(今作ではロリコン)への差別を風刺する作品。社会的に受け入れられないロリコン、当人達の実情をよそにバイト先や住居マンション、警察やネットから社会的圧力をかけられる。
とても印象深い文のセリフがある。幼少の更紗と文が離れ離れになる公園で2人が手を繋いでいるシーン。
「更紗は更紗だけのものだ。誰にも好きにさせちゃいけない。」
この【誰にも】にはきっと文自身も含まれているのだろう。文の折れない「強さ」と「優しさ」に心を打たれる。
ただやはりこれはあくまで映画として文、それから更紗の主観で見ていたからマイノリティへの差別を語れるのであって、客観で見るとやはりそこには未成年への性加害が疑われるのは自然だし、社会的圧力がかかるのも理解できないものではない。マイノリティの受容を叫ぶのは簡単ではあるが、社会の歯車に噛み合い受容されていくのは容易ではない。
細かいが気になった点。警察描写への違和感。さすがのさすがに現行犯にできるわけない描写多数。あと更紗と文の出会いである、雨の中の公園のシーン、「更紗が帰りたくない。」といった後の文のセリフ「いいよ」が2秒ほど早すぎた。食い気味の「いいよ」はあの場面では似合わない。違和感を感じてしまった。
しかしとにかく演出は上手で、時間が経つのを忘れ、画面に釘付けになり、没頭できる、深い映画だった。
レビュー初投稿、おめでとうございます🎉
警察の描写には違和感を覚えたものの、松坂桃李、広瀬すず、そして横浜流星の演技力と湿っぽい演出に胸がえぐられる作品でした。「ただやはり〜」からの文言、流石です。
「エブエブ」「マリオ」「怪物」もご覧になられたんですね!レビュー、楽しみに待ってます😊