「 ふたりだけのセイフティーネット」流浪の月 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
ふたりだけのセイフティーネット
コメントしずらい作品である。それこそ下手な表現をすると偏見と差別につながってしまう。
原作も読んだが、映像にすると拡散された誹謗中傷も含めて、よりどきつくなる。
どんなにそれが純粋な愛情で、お互い心が通じて、守り合っているものであろうと、それが親、家族、夫婦、恋人といった定番の愛情関係でないとだめな世の中なんだ、と痛感する。
映像にすると、原作よりも一層、大人になりきれず、はずれものの青年が、少女に愛情を注いでしまったという誤解が生じてしまいがちだが、そういった見方はするべきではないと思う。
むしろ、定番の愛情関係がDV、モラハラ、虐待等で崩れ去っていく中、その愛情関係からはじき出された者同士が、ふたりだけのセイフティーネットを築き上げ、手探りで魂の救済を図ったんだという気がした。
逆に、愛情は親、家族、夫婦、恋人等で育むものという幻想に未だ縛られている私たち世間に、一石を投じた作品だという見方が当たっているかもしれない。その切り口だと、納得感でじわーっと充たされる。
閲覧数
-
コメントする